■■■AYAの観劇記■■■



ミュージカル
「チャーリー・ガール」





2002年  4月 4日(木)〜 4月30日(火)     東京 帝国劇場
2002年 10月 2日(土)〜10月22日(日)     大阪 梅田コマ劇場


観劇日:2002年10月5日(土)(1階6列44番)

劇場 :大阪 梅田コマ劇場


HP主人 森(=SUN)筆。

今回から金子さんのコラムが文末についてきた。
<金子のよしなしごと>
というタイトルだ。

今回初回のテーマは「父の日」だそうで。
何故この時期に「父の日」?
というのはさておき、
愛情が伝わってきます。

幾つになっても、親の前では子は子供。
私は只今演出中の舞台を稽古するにつれ、
やっぱり そんなことを思うのです。
舞台と直接関係あるわけじゃないんだけどね。

その舞台「輝く午後の光に」の御案内は、
上記タイトルをクリックください。

ってなことで、金子さんの劇評いってみよう。




ミュージカル
「チャーリー・ガール」


作曲・作詞:ジョン・テイラー/ディビィット・ヘネガー
   原作:ロス・テイラー
   脚本:ヒュー&マーガレット・ウィリアムズ/レイ・クーニー
   翻訳:丹野郁弓

   演出:山田和也

   協賛:三井住友VISAカード




<主な配役>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

シャーロット〔愛称チャーリー〕:愛華みれ
    ジョー・スタッドホーム:錦織一清
      ハドウェル伯爵夫人:初風諄
        ウェインライト:太川陽介
       ケイ・コナー夫人:森公美子
           ジャック:鈴木綜馬
       シャーロットの姉:春風ひとみ・植田チコ


<解説>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「チャーリー・ガール」は、
ロンドン近郊に大邸宅を持つハドウェル家で繰り広げられる、
ひと癖もふた癖もある登場人物たちが織りなす魅力いっぱいのストーリー展開に加え、
チャーミングなミュージカル・ナンバーと華麗なダンス・シーン、
そして抱腹絶倒間違いなしのあきれるほどナンセンスなシチュエーション。
明るく楽しさにあふれた‘ミュージカル・コメディー’の傑作です。

 ロンドンでの初演(1965年)では2201回の大ロングランを記録し、
1986年にはリバイバル上演されました。このロンドン・ミュージカルの傑作が、
実力派のキャストを得て梅田コマ劇場に登場します。

(ちらしより)

<ストーリーと主な配役>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 ハドウェル伯爵夫人(初風諄)は亡き夫から豪壮な邸宅
「ハドウェル・ホール」を引き継ぎ、
その維持費用を稼ぐために観光客に開放している。
伯爵夫人は遊園地や動物園、クラシックカーの博物館を設置、観光客の誘致に務めていた。
「ハドウェル・ホール」はちょっとしたテーマ・パークである。
 伯爵夫人の末娘、シャーロット〔愛称チャーリー〕(愛華みれ)は
クルマのメカをいじることが好きな活発な女の子。
恋に憧れているくせに、男性に対して臆病で、
発育不良と姉二人(春風ひとみ・植田チコ)にからかわれている。

 そんなチャーリーを影からひそかに見つめている男がいた。
この「ハドウェル・ホール」の管理・運営を一手に任されている
ジョー・スタッドホーム(錦織一清)。
以前からチャーリーに思いを寄せているのだが、打ち明けられずにいた。

 ある日のこと、ジョーはフットボールくじで大当りを取り、高額賞金獲得の権利を得た。
しかし、チャーリーが金持ちの男を嫌っているのを知るジョーは賞金の受け取りを拒否!
くじ会社のウェインライト(太川陽介)は大弱り。

 伯爵夫人の大親友で、アメリカの石油王の未亡人、ケイ・コナー夫人(森公美子)が
ドラ息子のジャック(鈴木綜馬)を連れて現われた。
ジャックはシンパンとショーガールなしの生活は考えられないというプレイボーイ。
コナー夫人はこの息子に我慢できるのはイギリスの伯爵令嬢であると考え、
伯爵家の三令嬢のひとりと結婚させるつもりでいた。
億万長者との縁組は、ハドウェル伯爵夫人にとっても望むところ。

 やたらに軽く、調子のよいジャックを、
こともあろうにチャーリーが一目ぼれしてしまう!
しかし、ジョーはまだ、思いを伝えられずにいた・・・。

(ちらしより)


<感想>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「心温まる古典的なハッピーエンドのミュージカル」

 金子、今回はまじめにプログラムを買った。
1000円也。
しかし、写真が多いのはいいが読むところ、ナシ。
よって、ナンバーなどはきちんと書きます。

「古典的な」と書いたけれど、東宝はよく古いミュージカルを見つけてくるものだと思う。
(例「アイリーン」)このミュージカルも1965年初演・・・古い。
なんか、「ミー&マイガール」(来年帝劇で上演ですね、関西にはこないのかな)の方が
ずっと新しく感じてしまった。
初めからハッピーエンドが絵に描いた餅のように見えてしまうのが
「オペラ座の怪人」など現在ミュージカルと一線を隔てている気がした。

 さてさて、芝居、特にミュージカルは観てから
「あ〜あ、なんだかしらなかったけれど楽しかった」というものと、
観てから、例えば「エリザベート」だと、
「愛と死・・・愛しあうことなどあるのだろうか」
という深いテーマを投げかけられるものの2つに分かれると思うのだが、
この「チャーリー・ガール」は完璧に前者。
実はカード会社の貸切でSS席12000円のところ8900円で観たのだが、
それぐらいが妥当だと思えた。
そんな軽くてハートウォミングな作品。
正直チケット代が高いこともあって、2回行こうとは思わなかった。
でも、とても楽しかった。
あとは人別に。


 チャーリーの愛華みれ(タモさん)。
明るくて、素直で、誰からも愛されるチャーリーは、
タモさんの持つキャラクターとぴったりあって、
女優第一作としては柄のあった役の選択でよかったのではないだろうか。
コメディーも宝塚時代から「ハウ・ツゥー・サクシード」のバドなどお得意であったので、
ドレスを着ていても、近眼なので眼鏡をかけてしまうところなど面白かった。
しかし、最後の少しの時間のショータイムでは、
完璧にガールではなくて、レディーだった。
一つ苦言を言わせてもらえるのなら、やはり歌の高音部が不安定で、
歌詞が聞き取りにくくなってしまうのは精進していただきたい。
次は、もう少し大人の作品に挑戦するのもいいだろう。
(「ゴースト」に決まっているが)まずまず、順調な滑り出しで、
この次のミュージカルに期待したい。


 コナー夫人の森さん。
いやあ、とにかく豪快だった。
ボディも(失礼!)成金趣味の下卑たところも、息子を尻にひいているのも、
二日酔いしてヨガで出来なくて、1パイントの迎え酒
(多分麦茶かウーロン茶だと思うが)を舞台上で一気飲みするところ、
など1幕は笑いを全部持っていかれた感じだった。
歌はいうまでもないし、
「ラ・カージュ・オ・フォール」のダンドン婦人以上に適役だと思う。
とにかく、面白かった。


 伯爵夫人の初風さん。森さんとのシーンでのお上品さの差や、
1幕の終盤での大勢の紳士にエスコートされて、
昔を思い出すシーン(「私だって」)の歌詞の一部の「奥様は少女の頃に戻られたよう」
というところの馥郁とした余裕、には金子「おお、元祖マリー・アントワネット様〜」
とその気品に圧倒されてしまった。
その上、この役はジョーがチャーリーを愛しているのだと告げると
「あなたは私の息子のようなもの。当たって砕けなさい」
と応援する人間愛にも満ちている。
その辺りも人間としての暖かさが感じられて実によかった。
やはり、怖い「エリザベート」のゾフィーよりもこちらのほうが適役に思った。


 ペネロープとフィオーナの春風さんと植田さん。
チャーリーと大違いの金持ち狙いのお色気ムンムンの姉たちだが、
最終的にはちゃんと愛する人を見つけてちゃっかりしていた。
特に、ボディースーツ姿になったときの春風さんは、スレンダーでびっくりした。
あれほど細ければこそ、ドレスを着こなせるのよね、と金子、わが姿が情けなくなった。


 ウェインライトの太川さん。
「エニシング・ゴーズ」以来、ミュージカルに欠かせない人材になってきたように思うが、
(来年の「キス・ミー、ケイト」楽しみにしています)
やはりこの人は舞台に出ると、ぱっと明るい印象を与えるのがいい。
今回は、フィオーナへの片思いと、ジョーが言うことを聞いてくれないので、
執事に成りすましてお屋敷に居座る設定だが、
錦織さんとの掛け合いやアドリブも楽しかったし、
「フィッシュ・アンド・チップス」のナンバーも、
中心のジョーの邪魔にならない程度で楽しかった。


 ジャックの鈴木さん。
正直、今までは四季時代の「李香蘭」の杉本や「エリザベート」のフランツといった
真面目なイメージがあったのだが、今回はそのイメージをがらりと変えさせられた。
ジャックは女たらしで、うぬぼれ屋で、宝塚の男役並みの(!)キザり屋。
こんな、弾けた綜馬さんが見られるとは思ってもいなかった。
歌にいたってははっきり言って、全員のなかで一番歌詞がはっきり聞こえた。
博多座で一路さんと「キス・ミー、ケイト」をされるそうだが、
あの声の「ソー・イン・ラブ」も是非聴いてみたい。
来年8月大阪は誰がされるのでしょうか。
今後、東宝ミュージカルの大きな力になることは間違いないと思う。


 さて、最後にジョーの錦織さん。
プログラムの舞台歴を読んでいると、今や「東宝演劇(ミュージカル)の若きプリンス」
といった感もするが、彼が重宝される理由はきっと、
それぞれの役に対してのアプローチの柔軟さ、だと思う。
昨年の同じ梅田コマ劇場での「カルメン」のホセと全く違う、
チャーリーにその恋心をなかなか告げられない、奥手のジョーそのものであった。
よく考えれば、このミュージカルは
「お嬢様チャーリーになかなか好きといえないジョーがチャーリーのハートをつかむ物語」
で考えようによってはジョーのほうが、主役ともいえなくはない。
金子など、「あー、ジョー、早くチャーリーに『君を愛している』っていいなさいよ」
とじらされる一方だった。
「器用な役者」という言葉があるが、ニッキはこれに当てはまるのではないだろうか。
しかし、その裏には大変な努力があることは見て取れる。
例えば、「フィッシュ・アンド・チップス」のナンバーでは
ジャグリングするシーンがあるのだが、
「あー、こういうのも沢山稽古したのだろうな」と感じられた。
この努力が分からなくなるほどならば、本当の「東宝の帝王」(女王が誰かは言わないが)
になれるのだろう。
まだ若いのでいっそうの鍛錬をお願いしたい。
しかし、彼は宝塚OGといったい何人仕事しているのでしょう。
「宝塚OGキラー」という感もする。


それでは、感想を終える。
今回からコラムもつけましたので宜しければお読み下さい。


<金子のよしなしごと>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 今回から、コラムみたいな感じで毎回、感想につけて、
日ごろ思っていることなどを点描していきたいと思います。
タイトルの「よしなしごと」は『徒然草』の初めのほうの文から借用しました。
「たわいもないこと」の意味です。
ということで、感想と違って楽しんでいただければ幸いです。

 今回のテーマは「父の日」
 毎年、皆さん、父の日のプレゼントはなににしようか迷われるのではないでしょうか?
金子はまず、ベルトを贈ったのです。
すると「こんなもの貰ってもねぇ」と言われ、そこではたと考え付いたのが観劇。
「舞台を観て、感動を記念にしてもらおう」なんてね。
最初は劇団四季の『オペラ座の怪人』をチケットとって、1人で行ってもらったのですが、
「どうだった?」ときいても 「ファントムが可哀想や」の一言。
これではイカン、と思いました。
1万円以上のチケットでこれなら意図に沿わなかった・・・。
やはり私と2人で行って、色々説明して、
四季より安い宝塚でも感激してもらおう、と決めました。
以後、毎年1回、ご招待しています。
(2回はいい、とのことです)父の観劇歴をひもとくと・・・

「エル・ドラード」→
主題歌を「小学生レベルの曲や」といっていたが、
本当の水を使ったセットや、豪華さに、次の日タダ券でいった
「スーパー歌舞伎より、宝塚のほうが豪華だし、皆若いしいいわ」とのこと。

「ハウー・ツー・サクシード」→
「あんな上手く出世できるわけがない、宝塚が求めるところのロマンだな」

「ミケランジェロ」→
退職した元小学校の図工の教師のためか、題名を言った途端これに決め、
大道具の彫刻やスライドの説明が「どこどこにある」とかいって1人芸術していた。

「ガイズ&ドールズ」→
どうも隠れリカファンであるようである。
詳細は「ガイズ〜」の感想へ。

来年「傭兵ピエール」→
ざっと、来年前期の演目をいうと、「それなに?」と聞いてきたので、
「宙組で副題がジャンヌ・ダルクの恋人だって」というと。
「女帝(ハナちゃんのこと)のジャンヌ・ダルクか、
 相手役(おいおい女帝が相手役なのに)は和央ようか?
 うん、あの人、歌も芝居も上手いからそれでいい。」とのことで決定。

 ま、今回はこんなところです。
このコーナーについての感想・リクエストなどありましたら、
どんどん下のメールアドレスへどうぞ。
それでは今回はここで終わります。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□劇評■筆者□□□□
金子亜矢
bacew609@jttk.zaq.ne.jp
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