手放しでは真っ直ぐ走るのに、なんとなくハンドリングが落着かないことが
あったり、中立付近で遊びが多い場合は 油圧バルブの調整をしましょう。
用意するもの
12のソケットレンチ、マイナスドライバ、他一般工具
パワステラックとコラムの接続部近傍の箱型ゴムカバーをずらすと、調整ネジが見えてきます。
調整ネジは 左右二本で、時計方向に締めると遊びが減少します。
HEX12のロックナットを緩め、マイナスドライバでボルトを回転させて調整します、調整後はロックナットを締め付けます
私の場合、中立からハンドル外周で片側10ミリ程度の遊びを設けました。
これは、適正値かどうかは不明ですが、良い感じになりました。
DSのパワーステアリングの解説
左の図はE.T.A.I DS初期型のマニュアルの抜粋なんですが、ここにもお約束通りに3ポート3ポジションのスプールバルブが使われています。
さて上右ピニオンバルブ断面図を見ると、前述の2本のボルトはプッシュロッドを介してスプールバルブを操作しています、左の油圧回路図を見ると、1本のスプールバルブで油圧の供給、保持、開放(排出)を制御しています。
パワーアシストの実際
ステアリングを静止している時は左右のスプールバルブは閉状態を維持しています、ステアリングを操作している間、例えば右に操舵している最中においては右のスプールバルブは押されて高圧配管と左側のシリンダが繋がり高圧油圧を導きます、このとき同時に左側のスプールバルブは開放され奥のリターンスプリングとシリンダ内の排出油圧によって排出位置に操作され右シリンダと戻り配管が繋がり右シリンダ内のLHMを逃がします。
この一連の動作によってパワーアシストが成立しています。
セキュリテイについて
DSのパワーステアリングはセキュリティに関しても、熟慮されていまして、例えばプッシュロッドの調整ネジが緩んでも、油圧の戻り回路は確保でされるのでステアリングのロックは起こりません。
左に操舵する場合は右の逆の組み合わせと順番で作動しています。
次に調整に際してのポイントなんですが、前述の調整ボルトを締めすぎるとスプールバルブの動きが阻害されるのですが 特にLHMの逃がし回路が閉鎖されるために切り替えしの際ステアリングが異常に重くなる現象が起こりますこれが片側にだけ起こる場合は操舵とは反対の調整ボルトを戻すことによって、スプールバルブの戻り側の回路が復活します。
とにかく調整に関しては合最初はネジの回転数を1/4回転づつ回し核心部に近くなったら、1/8回転くらいに抑えて調整しましょう。一度は最高ポイントを越えた範囲まで調整すると対象システムの全体像がより把握出来ると思います。そして最高と思えるポイントまで戻します。
調整後は再びゴムカバーを固定します。
参考文献 E.T.A.I DS19:1956-1965/-/E.T.A.I DS23
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