1.ハイトコレクタの機構と構造
各部の構成と名称 左、中外観。ダイアフラム
DSの時代は各高圧配管はφ4.5が使用されています。
アンチロールバーに接続された、ボールジョイント部を押すと高圧インレット回路とサスシリンダ回路が繋がり、ボールジョイント部を引くとサスシリンダ回路と高圧リターン回路が繋がり車高を調整します、ちなみに最高車高の場合は高圧インレットとサスシリンダ回路の接続で固定になります、したがって約175Kgf/cm^2の圧力が掛かることになる訳です。
スプールバルブ部 バルブボデー ダイアフラムとディレイ機構
バルブスピンドル
スプール(糸巻き)バルブの利点は加工精度は高いものが必要だが、接触部が無いので長期に渡り性能を維持出来る、1系統でも数種類の作動が可能 ちなみにハイトコレクタは3ポート、3ポジションの切り替えバルブなんです。
スピンドルの寸法は下記のとうり
スピンドル外径 φ6.365
ハイトコレクタボデーの中心にはバルブボデーが有り隣の穴は両側の空気溜り内の空気が行きさせる通路が設けられています。
バルブ内径 φ6.38
バルブとスピンドルの隙間は15/1000ミリと結構高精度なものです。
ハイトコレクタは先に述べたとうりの切り替えバルブなんですが、そのままでは反応速度が速すぎて、車の挙動は不安定になることが考えられるため、反応に若干の遅れが出るようにバルブ両端に空気溜りを設けそこにゴム製のダイアフラム(ダッシュポット)を付け減衰機能を設けてあります。
この辺の味付けを1955年までに完成させていたのですから、油圧の基本はすでに完成されていたのでしょう(第2次世界大戦中の飛行機は油圧で操縦していたのですから当然のことかもしれませんね)
DSの時代と現代のハイトコレクタの大きな違いは配管径の違いで、DSφ4.5 PSAの時代になるとφ3.5と小さい径になっていきます、これは年を追うほどにに作動を穏やかにするように市場が要求していったのではないでしょうか?
ハイトコレクタはOHが可能で右のようにセットになったキットも存在します組み込みは
分解の逆の手順にて作業します。
注意点としてゴム部品と金属が接触する部分には油を塗布し捩れ、傷を付けないようにします。
具体的にはダイアフラムとバルブスピンドルの組み立て時、ハイトコレクタ本体とダイアフラムの組み付け時も同様にLHMを塗布します。
そのときダイアフラムに回転方向のストレスを残さないように組み立てる必要があります。