Part of Nobumi Iyanaga's website. n-iyanag@ppp.bekkoame.ne.jp. 4/9/05.

aabmfjlogo picture

第14回

G・ルフランの労働史観

小野崎 晶裕 作新大学教授
2000年11月29日(水曜日)

 簡単な自己紹介の後、以下のような順序で講演が行なわれた。
1「G・ルフランの労働史観について」 2 イザベラ・バード著「ロッキー山脈踏破行」について 3 小野崎晶裕著「夢魔」について 4 読書経験より選出した面白い本について。

 「ルフランの労働史観について」がメインなので、この講演に約一時間を要した。ルフランの主著である『労働と労働者の歴史』を取り上げ、その解説を主眼としたのだが、最初に訳者あとがきより、ルフランがこの主著を通じて何を伝えようとしたのかをテーマにした。次いで、当時の書評を配付し、外部の識者から見たルフランのイメージがどのようなものであったのかを検討した。さらに、ルフランの主要著作一覧を配付し、『労働と労働者の歴史』が彼の著書に占める位置を指摘し、その背景をなぞってみた。
 講演の内容は次のようである。著作の傾向の分析(具体的な労働運動に関するものと人間の歴史にかんするもの)。時代区分(「道具の時代」と「機械の時代」)。歴史観(予言の誘惑)。先史時代の仕事と日々(ブローデルとの比較)。ファラオ時代の職業と書記(職業による階級分化、権力について)。ギリシャの職人と奴隷。中世の職業と専門化。「道具の時代」の終焉。労働に関する諸問題の変化(ルフランの悲痛な告白)。最後のことば。
 ルフランは人間の労働の意味を問うという観点から人類の歴史を俯瞰するという壮大な視野の下に、「人間とは何か」という究極のテーマを扱った歴史家であるという認識を最後にして、ルフランに関する講演を終了した。
 イザベラ・バードの『ロッキー山脈踏破行』についてと、『夢魔』、読書体験についての講演は、時間の都合で簡単に紹介する程度に終わった。バードについては、その人柄や、当時のアメリカとイギリスの比較、自然に対するバードの飽くなき憧憬と山男ジムとの淡い交情などについて、「山と渓谷」に掲載された「名著再読」の書評を配付して解説した。
 『夢魔』についての講演は、発表当時の書評を配付し、著者としてもっとも重いテーマとして設定した人間の夢と狂気と愛について、簡単なコメントをした。
 最後の読書経験による面白い本については、とくに「きだみのる」に関するコメントがもっとも多かった。その理由は講演者がかつて一度きだみのるに会ったことがあるのと、最近「きだみのる論」を発表したことによる。
 以上の講演が終了した後、自由な質疑応答に入った。

(文責・小関武史)


日仏会館図書室友の会・ホームページへ | 公開講演会・要旨ページへ


Go to NI Home Page


Mail to Nobumi Iyanaga


This page was last built with Frontier on a Macintosh on Sat, Apr 9, 2005 at 5:41:36 PM. Thanks for checking it out! Nobumi Iyanaga