Part of Nobumi Iyanaga's website. n-iyanag@ppp.bekkoame.or.jp. 6/1/98.

aabmfjlogo picture

最近の南フランス事情

岡山隆

 1997年10月23日に行なわれた早稲田大学名誉教授・岡山隆先生の「最近の南フランス事情」に関する講演の要旨。

 まだ外貨事情がよくなかった1950年にアンジェ大学、のちにパリ大学に留学(国際経済学専攻)した。ちなみに一つ前の船で遠藤周作さんがフランスへ到着。そのころ仲がよくなった友人のアヴィニオンのシャトーを訪問したことから南仏との関係が始まった。

 南仏は、ラングドック、プロヴァンス、コート・ダ・ジュールとイタリアに連なる一つの圏を成しているが、ここではラングドックは割愛することにしたい。この地方の東ではアルプスが海に落ち込み、さながら三陸海岸並の複雑な地形となっていると思えば、ローヌ川に運ばれた砂によって形成されたカマルグの湿地帯が形成されているなど、山、川、平野とも変化に富む。オリーブ(緑色)、ヒマワリ(黄色)、ラベンダー(紫色)と平野部の色彩はさまざまで、空の色とあいまって、画家を引き付けてきた。セザンヌ(エクス・アン・プロヴァンス)、ゴッホ(アルル)、マチス(ヴァンス)のほかピカソ、シャガール、デュフィなど枚挙にいとまがない。さらにこの地方にはサハラ砂漠からの南風のシロッコ、ローヌ渓谷からの北風のミストラルが吹くという極端な対照性を示している。
 この地方は古来から、ケルト人、ギリシア人、ローマ人その他さまざまな民族がやってきて、遺跡も方々に残されている。中世の一時期、法王庁が置かれていたアヴィニオンはとくに有名である。あまり知られていないのは、ボーで発見されたボーキサイトを使ってこの地で初めてアルミの精練が行なわれたこと、ニームからデニム(Serge de Nimes) が始まったこと、カマルグの牧畜が開拓時代のアメリカに影響を及ぼしたことなどである。この地ではまた闘牛が人気を博していることも付け加えたい。
 ここのところ、暁星時代の旧友たちにせがまれて家族連れでこの地方を案内する役割をおおせつかっている。

(まとめ・吉武)


日仏会館図書室友の会・ホームページへ | 通信目次ページへ


Go to NI Home Page


Mail to Nobumi Iyanaga


This page was last built with Frontier on a Macintosh on Mon, Jun 1, 1998 at 23:40:21. Thanks for checking it out! Nobumi Iyanaga