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第15回 2001年 3月15日 ダニエル・モロー(ドキュメンタリー映像作家)
「ベリーの森に生きる人々とその食文化」
 第15回目の講演会は、ドキュメンタリー映像作家ダニエル・モロー先生を講師に迎え、美しいスライドと音楽を交えてフランス中央部に位置するベリー地方の風物と生活が紹介された。講師の生まれ故郷でもあるベリー地方は、パリから南へ約250キロ、フランスの国土のちょうど真ん中にあって、豊かな自然と文化に恵まれた古いフランスの「心臓部」でもあり、その深奥の「心」とも言えるような古い文化を保ってきた地域である。森と、ゆるやかな丘と、数えきれない池が、この地方の生活を支えている。ブルジュのサン=テチエンヌ大聖堂は、12世紀後半から建設された典型的なゴチック様式の教会で、1992年にはユネスコの世界遺産に指定されている。ここは、ジョルジュ・サンドやショパン、バルザック、プルースト、パトリス・ド=ラ=トゥール=デュ=パンなど、ロマン主義時代以来の多くの著名な文学者や芸術家が暮し、愛した土地だった。またそこには、古い職人の歴史があり、革や羊皮紙、婦人のブラウス、陶器などのすぐれた手仕事の伝統が現在まで伝えられている。
 豊かな自然の故に、食生活も他では見られない野生味溢れる食材がそろっている。穀類、豆類、ワイン(サンセールがとくに有名である)、また森のジビエ、鹿、猪、ウサギ、あるいはエスカルゴやトリュフなどが、日々の食卓を飾り、人々の食文化を彩っている。ベリーの森は昔、貴族たちが狩を楽しんだ場所で、その伝統を受け継ぐ森の幸がいまも人々の生活を豊かにしているのである。また、そうした貴族たちが狩のために建てたシャトーがそこかしこに昔のままに残っている。作家、文人たちが好んだシャトーも、観光化されないまま、保存されている。貴族的な文化と庶民の素朴な文化が調和の中に交じりあっていることが、この地方をさらに魅力あるものにしているといえるだろう。(なお、第3回講演会で藤原直子先生がとり挙げられた『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』を注文したベリー公ジャン・ド=フランスはこのベリー地方の公爵だったことも付け加えておきたい。)
(以上、モロー先生のメモに基づいて、彌永が記しました。)

(文責・彌永信美)


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