ドラマ『白線流し 』の世界を訪ねて

白 線 流 し


テントウムシが、太陽を目指していく。

枝の先を、葉の先を、とにかく太陽に向かっていく。

天道を、昇っていく。

━━━━だから、漢字で “天道虫” 。

「何でか分からないけど、お日様に会いたい。お日様に向かって翔び立ちたい。」

小さなからだは、とりつかれたように枝を昇り、 空を探す。

固い前羽根の中に、 薄く透き通るもう一枚の羽根を隠して。

「準備は出来てる。もういつでも翔び立てる。」

枝の一番先端に着いた時、まるで赤い種が弾けるみたいに、羽根を広げて風に乗った。

翔んでいく時、 その背中に七つの黒い星をしょっていたのが見えた。

大空を心細く頼りなげに飛行する姿は、無防備で必死でどこか滑稽だった。

多分、誰も気付かないけど、 彼らにとっては些細な冒険の始まりなのだ。

七星天道虫は、太陽に辿り着けただろうか。

脚本 信本 敬子


 
上記の文章は、ドラマ『白線流し』の脚本を担当された信本敬子さんが、白線流しオリジナルアルバムの中で書かれていたものです。白線流しが最終章を迎える今、原点に立ち返ってみたくて掲載しました。ただし、ご本人の掲載許可を得ていないため、クレームがあり次第、削除してお詫びを申し上げたいと思います。
 

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