【保管ファイルNo.9】1999.11.27 葛飾区公式ホームページより
葛飾区の地域情報化におけるインターネットの活用に関する検討結果報告書
平成11年7月 葛飾区地域情報化政策検討委員会
問い合わせ 政策経営部情報調整課 рO3(3695)1111
*******1、インターネットの活用に関する検討の基本的な考え方
(1)検討の根拠
平成10年6月に策定された『葛飾区地域情報化基本計画(平成10年度版)』の中で、本区のインターネットの事業の進め方を[第1ステップ]から[第3ステップ]の3段階に分け、段階的に着実に導入していくとしている。
(2)検討の目的
本委員会での検討は、この計画に基づき、[第1ステップ](ホームページの開設)の実現を図ることを目的とした。
(3)葛飾区ホームページの位置付け
葛飾区ホームページは、『区民と区との情報交流に有効な手段』としての本区が事業主体となった公式ホームページである。
(4)検討の内容
導入の[第1ステップ]で、「庁内の部署にインターネットに接続するパソコンを整備し、情報提供を主な内容としたホームページを開設して、提供情報の充実を図る」とされている。このため、[第1ステップ]の実現が図れるように、次の内容について検討を進めた。
@葛飾区ホームページは、本区のオフィシャルなホームページであるため、本区のホームページとしてふさわしい内容について検討する。
Aホームページで発信する情報は、常に最新のものでなければならない。このため、常に最新の情報を提供していくよう、その更新について検討する。
Bインターネットは、不特定多数の者からアクセスされるオープンな環境で利用される。このため、インターネットを適正かつ円滑に運用できるようなガイドラインや区が発受信する情報の個人情報の取扱いについてのガイドラインについて検討する。
Cインターネットに接続するためには、プロバイダーとの情報機器を接続する必要がある。このため、接続するプロバイダーのセキュリティ管理や適正なコストについて検討する。
(5)検討の方法
具体策については、委員会の下にメディア活用部会(以下「部会」という。)を設置し、検討させ、報告を求めることとした。
2、部会での検討項目
委員会は、平成10年7月22日に会議を開催し、次の項目を部会で検討するよう決定した。
(1)ホームページの作成に関すること
(2)ホームページのコンテンツ更新に関すること
(3)ホームページを開設し、運用していくためのガイドラインに関すること
@個人情報の取り扱いに関するガイドライン
Aホームページの運用に関するガイドライン
Bその他、必要なガイドライン
(4)インターネットの接続に関すること
3、検討経過
委員会については2回、部会については、平成10年度7回、平成11年度5回、合計12回会議を開催し、検討を進めてきた。
4、検討結果
委員会は、部会が葛飾区インターネットの活用に関することについて検討し、結論を得た次に掲げることを委員会の検討結果とする。
(1)ホームページの作成に関すること
本区のホームページとしてふさわしい内容について検討した結果、次のことを目指すこととした。
@職員の手作りによるホームページの作成を目指す。
Aホームページの立ち上げ当初から、区の全組織が参加するホームページの作成を目指す。
(2)ホームページのコンテンツ更新に関すること
本区のホームページを運用していくうえで、常に最新の情報を提供していくために、その更新について検討した結果、次のとおりとした。
@ホームページの作成は、広報課が行う。
なお、ホームページ開設当初は、各課からの作成依頼が大量となることが予想されるので作成手順を検討し定めることとする。また、運用段階での新規、更新、削除などの随時処理についても今後検討し、作成手順を定めることとする。さらに、コンテンツの更新において、計画書等の作成委託をする場合、仕様書に納入物件として、電子情報を搭載したものを追加することが望ましいため、印刷製本物の二次使用について定めることとする。
A本区のホームページと他のホームページとをリンクすることができる。だだし、リンクを行う場合は、その基準を作り運用を行うこととする。
(3)ホームページを開設し、運用していくためのガイドラインに関すること
本区がインターネットを適正かつ円滑に運用でき、発受信する情報の個人情報の取扱いについてのガイドラインについて検討した結果、次のとおりとした。
@本区がインターネットを適正かつ円滑に運用するために必要な事項を運用基準として定める。この中で、葛飾区インターネット運用においては、個人情報は発信しないこととする。また、電子メールについては、受信のみとし、発信は行わないこととする。さらに、本区のインターネットの運用にあたり、個人情報の取扱い上の疑義がある場合の審査機関として、[葛飾区インターネット運用審査会]を区の内部機関として設置することとする。
A本区が開設するホームページの運営について必要な事項を運用基準に基づき、運営要領として定める。
B区民等から電子メールを受信するための取扱いについて必要な事項を運用基準に基づき、取扱い要領として定める。
(4)インターネットの接続に関すること
ホームページを既に開設している区が契約しているプロバイダから見積書等を取り、比較・検討した。
以 上
(趣旨)
第1 この基準は、区の地域情報化を推進するため、インターネットの適正かつ円滑な運用に関し必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2 この基準において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)インターネット 区側のクライアントパソコンとプロバイダー(インターネット回線接続業者)側のコンピュータ(サーバー)との間を通信回線で接続し、国内及び海外の通信回線と接続した通信ネットワークであり、情報の受発信、検索及び収集を行うものをいう。
(2)ホームページ 区政情報をインターネットを利用して発信するために編集したものを、プロバイダーのWWW サーバー(マルチメディアデータを扱うデータベースシステム)に格納した情報で、WWW ブラウザー(ホームページ閲覧用ソフトウェア)を使用して見ることのできる画面をいう。
(3)電子メール 区がホームページ上に用意したページを使用して区民等から意見等を収集するために、プロバイダーのメールサーバーを通じてメッセージを受け取るシステム又は区の事務執行上必要とする情報をやり取りするために、プロバイダーのメールサーバーを利用する通信システムをいう。
(4)個人情報 個人が識別される情報で、文書、図画(動画を含む)、写真、フィルム、録音テープ、磁気ディスク等に記録されているもの又はされたものをいう。 ただし、次に掲げる情報を除く。
ア 法令の規定により何人でも閲覧することができるとされている情報
イ 公表することを目的として作成し、又は取得した情報
ウ 写真又は図画で、その内容が主に風景を取り扱ったものであり、個人情報が特定できないと判断できる情報
(5)課 区長部局に属する部等の課等(葛飾区組織規則(昭和40年葛飾区規則第4号)第8条の課をいう。)、福祉サービスセンターの課、福祉事務所の課、保健所の課、保健センター、建設事務所、収入役室、教育委員会事務局に属する部の課及び室、教育研究所、葛飾図書館、郷土と天文の博物館、選挙管理委員会事務局、監査事務局並びに議会事務局をいう。
(接続方法)
第3 インターネットへの接続は、プロバイダーのホスティングサービス(プロバイダーのサーバーを賃借するもの)を利用する。
(プロバイダーの選定)
第4 プロバイダーの選定に当たっては、次に掲げる事項を満たしていることを条件とする。
(1)インターネット接続サービスを行うホストコンピュータ(サーバー)が、データ保護のための十分な機能を備えていること。
(2)情報の破壊又は盗取を目的とした外部からの侵入者や不正使用者に対して、これを防御するシステムを取り入れていること。
(3)他社で開発された暗号技術などを即時に利用できること。
(4)トラブルが発生した場合、即時に対応できる体制であること。
(インターネットの利用範囲)
第5 インターネットは、次に掲げる事項に限り利用できるものとする。
(1)ホームページを開設し区政情報を発信するとともに、当該ホームページ内の専用ページにおいて区民等の意見等を電子メールで受信すること。
(2)インターネット上に公開されている区民福祉の向上に有益な情報や区の事務事業執行に必要な情報を検索又は収集すること。
(インターネットの運用)
第6 インターネットの利用を円滑に行うため、インターネット運用管理者(以下「運用管理者」という。)を置く。
2 運用管理者は、政策経営部情報調整課長(以下「情報調整課長」という。)とする。
3 インターネットを利用する課(以下「利用課」という。)の長は、インターネットを利用する際、あらかじめ運用管理者と協議しなければならない。
4 運用管理者は、利用課の長に対して、必要な指導及び助言を行うことができる。
(利用課の長の責務)
第7 利用課の長は、インターネットを適正に運用するため、法律、条例等のほか、次に掲げる事項を遵守し、必要な措置を講じなければならない。
(1)区がプロバイダーに登録したID又はパスワードを、第三者に対し公開しないこと。
(2)インターネットの利用により発生が予想される障害(ウィルスの侵入等)に備えること。
(3)個人情報を発信しないこと。
(4)政治活動、宗教活動及び商業活動を行わないこと。
(5)区の名誉を損なうおそれのある情報及び公序良俗に反する情報を取り扱わないこと。
(6)著作権の保護に留意し、著作物等をその作成者の事前の承諾なく取り扱わないこと。
2 利用課の長は、インターネットを利用する者(以下「インターネット利用者」という。)が前項各号に規定する事項を遵守するよう管理し、及び監督しなければならない。
(インターネット利用者)
第8 インターネット利用者は、利用課の長がその利用を認めた所属職員とする。
(ホームページの運営)
第9 ホームページの開設及び運営については、葛飾区ホームページ運営要領に定めるところによるものとする。
(区民等からの電子メールの受信)
第10 区民等からの電子メールの受信は、葛飾区電子メール取扱要領に定めるところによるものとする。
(委任)
第11 この基準に定めのない事項については、情報調整課長が別に定める。
付 則 この基準は、平成11年11月1日から施行する。
(設置)
第1条 区が利用するインターネットに関し、その情報の取扱いについて審査するため、葛飾区インターネット運用審査会(以下「審査会」という。)を設置する。
(所掌事務)
第2条 審査会は、区が利用するインターネットの運用に当たり、個人情報の取扱いその他必要と認められる事項について、該当事項を主管する課の長からの依頼に基づき、その内容を審査する。
(組織)
第3条 審査会は、会長及び委員をもって組織する。
2 会長は、政策経営部長の職にある者をもって充てる。
3 委員は、政策経営部情報調整課長、政策経営部広報課長及び会長が指名する課長の職にある者をもって充てる。
(会議)
第4条 会長は、必要に応じ審査会を招集し、会議を主宰する。
2 審査会は、過半数の委員の出席がなければ、開催することができない。
(関係職員の出席)
第5条 会長は、必要と認めるときは、関係職員を会議に出席させることができる。
(その他)
第6条 この要綱に定めるもののほか、審査会の運営に関し必要な事項は、会長が別に定める。
付 則 この要綱は、平成11年11月1日から施行する。
(趣旨)
第1 この要領は、インターネットを利用した区政情報の提供を目的として区が開設するホームページ(以下「ホームページ」という。)の運営に関し必要な事項を定めるものとする。
(ホームページの運営)
第2 ホームページの運営に当たっては、その活用方針の策定、事務取扱窓口並びに機器等の設定及び利用における技術的支援を政策経営部情報調整課長(以下「情報調整課長」という。)が行い、ホームページの作成等を政策経営部広報課長(以下「広報課長」という。)が行うものとする。
2 ホームページのコンテンツ(ホームページの構成に必要な一切の情報をいう。以下同じ。)は、政策経営部広報課(以下「広報課」という。)が管理する。
3 前2項に定めるもののほか、ホームページの運営に関し、協議を必要とする事項があるときは、情報調整課長及び広報課長が協議して決定する。
(コンテンツの作成)
第3 ホームページに掲載しようとする情報を所管する課(以下「所管課」という。)は、コンテンツのうちホームページに掲載しようとする所管課の情報(以下「所管課情報」という。)を作成し、広報課に送付する。
2 コンテンツの作成、送付等に関し必要な事項は、広報課長が別に定める。
3 前2項に定めるもののほか、コンテンツの作成に必要な作業は、広報課、情報調整課及び所管課の協力により行うものとする。
(事前確認)
第4 広報課は、所管課から所管課情報を受領した場合は、ホームページに掲載する前にその内容を確認するものとする。
2 広報課は、前項の規定による事前確認に基づき、当該所管課に対し所管課情報の修正又は取下げを指示することができる。
(委任)
第5 この要領の施行に関し必要な事項は、広報課長が別に定める。
付 則 この要領は、平成11年11月1日から施行する。
(趣旨)
第1 この要領は、葛飾区が開設するホームページ(以下「ホームページ」という。)を利用する区民等からホームページに関する意見等を収集するために送信された電子メール(以下「メール」という。)の取扱いに関し必要な事項を定めるものとする。
(利用方法)
第2 ホームページを閲覧する区民等が、インターネットを利用して意見等を区に対して送信する場合、ホームページ内の専用ページを利用することを原則とする。
2 前項の専用ページは、意見等を記述した者の氏名、住所、連絡先電話番号、意見等の定型化された内容とする。
3 電子メールで区に寄せられた意見等は、非公開とする。
(メールの受信)
第3 メールの受信は、当分の間、広報課長の指名した職員が行うものとし、インターネットに接続した広報課内のパソコンで行うものとする。
2 受信したメールは、印刷して文書化し、パソコンに蓄積したメールは、速やかに消去するものとする。
(メールの送付)
第4 文書化したメールは、その内容に基づいて、当分の間、広報課担当職員が所管課に送付する。
(メールの取扱い)
第5 送付されたメールは、所管課において処理する。この場合において、返信を必要とするメールの処理については、電子メールを使用しないものとし、その旨をホームページ上に記載する。
(委任)
第6 この要領の施行に関し必要な事項は、広報課長が別に定める。
付 則 この要領は、平成11年11月1日から施行する。
≪平成13年1月22日廃止≫
(趣旨)
第1 この基準は、区における文化、産業、衛生、教育、観光、福祉等の情報をホームページ上でリンクし、区民に提供することに関し、必要な事項を定めるものとする。
(覚書等)
第2 「葛飾区ホームページ」にリンクを設定し、又は、「葛飾区ホームページ」へのリンクの設定を行おうとする場合は、区と覚書等を取り交わすものとする。なお、その決定に当たっては、第3及び第4に規定する事項を遵守するものとする。
(接続団体等の選定条件)
第3 「葛飾区ホームページ」と他のホームページとをリンクさせることができる団体は、次の各号の区分に応じ、当該各号に掲げる団体とする。
(1)「葛飾区ホームページ」から他のホームページへ行くためにリンクさせる場合
@ 官公署及びその外郭団体
A 公益法人
B 葛飾区が補助金等で助成している団体
C その他区長が特に有益であると認めた団体
(2)他のホームページから「葛飾区ホームページ」へ行くためにリンクさせる場合
@ 前項の@からBまでの団体
A その他区長が特に有益であると認めた団体等
(接続先ホームページの掲載内容)
第4 「葛飾区ホームページ」と接続するホームページは、次のすべての事項を満たしていなければならない。
(1)公序良俗に反しないこと。
(2)個人、団体等をひぼう又は中傷する掲載内容でないこと。
(3)個人、団体等に不利益を与えないものであること。
(4)営業又は売名行為でないものであること。
(5)著作権法、その他関係法令に抵触していないこと。
(6)政治活動及び宗教活動を行っていないこと。
(7)掲載内容が、「葛飾区ホームページ」を補完し、相乗効果を与える内容であること。
(費用負担)
第5 リンクの設定、変更、解除等に伴い発生する費用については、当該ホームページを管理する団体それぞれの負担とする。
(責任の帰属)
第6 リンクしたホームページの運用に伴い発生した損害等についての責任は、当該ホームページを管理する団体等に帰属する。
(接続の解除)
第7 区がリンクを設定したホームページ又は葛飾区にリンクを設定したホームページの内容が第3及び第4に規定する要件を欠くこととなった場合、区は速やかに解除する。なお、区がリンクを設定したホームページを解除した場合、「葛飾区ホームページ」に解除した旨を当分の間掲載するものとする。
(期間)
第8 リンクする期間は、1年間とする。ただし、特に申し出のない限り、更に1年間更新とするものとし、その後もまた同様とする。
(サーチ・エンジンの特例)
第9 サーチ・エンジン(インターネット上での情報検索専用ユーティリティ・プログラム)については、本基準の適用除外とする。
(協議)
第10 リンクについて、この基準に定めのない 事項については、広報課長及び情報調整課長の協議の上、広報課長が定める。
付 則 この基準は、平成11年11月1日から施行する。
[参考記事](1999.11.30 毎日新聞)
荒川が
電子の川に 豊かな水量で首都圏を流れる荒川が、デジタル情報を大量に発進する「電子の川」に生まれ変わりつつある。建設省荒川下流工事事務所による光ファイバーの河川敷埋設事業がその推進役だ。インターネットを使い、防災情報のやり取りから住民同士を結ぶ電子コミュニティーまで、大規模な流域情報ネットワークの創設が期待されている。そこには、旧来型の河川行政からの脱皮を図ろうとする建設省の思惑も込められている。
光ファイバー埋設 ネットで河川情報
◇リアルタイムで
荒川には1993年度から昨年度まで、東京の河口から上流の埼玉県に向けて左右両岸に各33`の地点まで光ファイバーが埋設された。総工費約22億円。大量のデータを高い品質のまま送れる光ファイバー網の充実で、インターネットやケーブルテレビを通し、河川情報をリアルタイムで流すことが可能になった。河川敷には1`ごとに光ファイバーに接続できる「端末」も設けられた。端末は高さ70aほどの石柱の中にあり、パソコンなどをつなぐことで、河川情報をいつでもどこからでも機動的に送ることができる。
◇人気ホームページ
光ファイバーの埋設事業と並行し荒川下流工事事務所がホームページ「ARA」(http://www.ara.or.jp/)を開設した。荒川の「あら」から名付けられた。当初は、インターネットがやっと一般に広がる兆しが見え始めためたころ。行政としてはいち早い取り組みだった。アクセス数は当初こそ1カ月に数千件程度だったが、昨年11月にコンテンツを変えたところ一気に急増。現在は、毎月10万〜11万件と、行政が運営するものとしては異例の人気ページに成長した。
◇魅惑のコンテンツ
「ARA」は、河川敷の光ファイバー機能をふんだんに使ったコンテンツが自慢だ。
荒川を24時間監視する防災用カメラ10基のライブ映像は、インターネット画面上で自由に見ることができ、うち3基のカメラは、だれでも自宅のパソコンから遠隔操作することができる。
GIS(Ground Information System)と呼ばれる地図情報システムを使った画期的な電子投稿も話題を集めている。
"双方向機能"を究めようという工事事務所の公募に応じ、流域住民たち約90人が参加して「荒川モバイルクラブ」を結成。会員たちが、自分の撮った荒川の写真や記事を電子メールで送ると、即座にホームページの地図上にアップロード(掲載)される。地点をクリックするだけでそこの写真や記事を自由に見ることができるという趣向だ。道端で見つけた花や小動物などの写真と記事が主だが「地図上には常時200件の投稿を掲載し、月20〜30件の情報が寄せられます。」とホームページの管理担当者。電子カメラの貸し出しもあり、工事事務所はさらに活動の輪を広げたいという。
記事、写真の投稿も
◇担い手は「素人」
会員に目立つのは、これまでパソコンとの縁が薄かった主婦や定年退職した男性たち。我田美福(わがたみよし)さん=会社員=もパソコンはまったくの素人だったが、荒川を紹介する情報誌でクラブの存在を知り、まず応募。パソコンを購入し、家族と一緒に練習し始めた。
「ちんぷんかんぷんだった」と言う我田さんだが、これまでに小学生と荒川で船に乗った体験などの写真と記事数本を投稿した。「テーマが荒川とはっきりしているので、取材の楽しみがあります。デジタル写真もきれい」と楽しんでいる。
電子メールを通じ、「娘と2人で失敗しながらキーをたたいた未知の世界は興奮しました・・・まだパソコンが未熟なため、(投稿のほかにしていることは)知人とのメールの交換ぐらい。でもこれからはクラブを通じて新たなコミュニティができるかもしれませんね」と期待を膨らませる。
◇「参加する行政」ヘ
工事事務所は、インターネットを使い、防災情報の提供やコミュニティーマップの整備実験も行ってきた。実験は今年度で終了する予定だったが、昨年7月に発足させた「荒川コミュニティ・ネット推進協議会」(会長、月尾嘉男・東大工学部教授)はさらに充実した流域情報ネットワーク作りのために実験期間の延長を求めており、前向きに検討を始めた。
同事務所の田畑和寛・流域情報ネットワーク整備室事業計画課長は「行政から情報を一方的に出すのではなく、市民からも情報提供をしてもらうことで、今以上に市民生活に密着した荒川を作り出せるはず」と話し、別の建設省幹部も「河川行政と言えば、住民との間に対立が生じることが多かった。これからは対立ではなく、参加する行政が求められる」と期待する。
河川行政はこれまで、人を川から遠ざけるものだったとの批判がある。建設省も最近は「親水」を唱え、人と川を近づけようと方向を変えつつあるが、三重県・長良川河口堰のようにいまだ住民との対立が解けない事業もある。
荒川での取り組みでは、ホームページに「チャット・コーナー」を設けることも検討しているが、「批判の声ばかり多くなったら」と、まだ慎重な声が内部にあるのも実情だ。行政側が住民の率直な声を受け止められるようになった時、本当の″参加型行政″が見えてくるのかもしれない。
【保管ファイルNo.11】 (1999.12.13) 兼松信之さんに聞く
『"雇用における年齢差別禁止法"の制定を』への疑問
前にメールで戴いた『"雇用における年齢差別禁止法"の制定を』について、兼松さんに教えて頂きたいことがあります。(区役所職員に限定して考えることにして下さい。)
兼松 区役所職員に限定ということなので、かなり難しい質問ですね。教えることは到底出来ませんが、私なりの見解として聞いて下さい。
――応募の年齢制限を撤廃した場合、給与体系はどうなりますか。退職金、年金等の関係をふまえて。
兼松 これは、民間でも同様ですが、雇用システム全体について年齢差別をなくす場合と、現状の雇用システムを極力維持しながら採用条件の年齢制限だけを撤廃する場合とでは変化の度合いは大きく異なります。前者の場合は、給与体系からも年齢差別をなくすことになりますので当然、年齢給なども廃止されるドラスティックな変革となるでしょう。一方、後者の場合は、今までと同様の給与体系を維持するか(これは困難でしょうが)、あるいは、例えば応募要件から年齢制限をなくした採用試験を受けた新規採用者に限り、年齢給などを適用しない方法も考えられます。いずれにしても、憲法25条に謳われている「健康で文化的な最低限度の生活」を維持するために、年齢に因らない代わりに社会保障的な配慮(家族手当、住宅手当などを現状より充実させること)が給与体系に加味されることまで否定するものではありません。
退職金・年金の問題は「定年制の廃止」と密接に関係しており、ここまで踏み込むのであれば、これらも小手先の改革では済まされないでしょう。退職金の(給与への上乗せによる)前払いを好む若者も多いと聞きますし、年金は働いているうちは支給せず、退職後、多少上乗せして支給することも考えられます(結果として全支給額は少なくて済みます)。
――年齢による定年制を廃止した場合、(ア)人事の停滞(イ)新入職員の採用数の圧縮、にはどう対処すべきでしょうか。
兼松 定年制を廃止したからといって、それが即、人事の停滞を招くとは思えません。定年制をなくすというのは、個人に対してより一層の努力を促すことを意味しています。それは、年齢差別の撤廃が給与体系にも影響し、年齢に応じて給与を支払うという制度がなくなることからも明らかです。則ち、一種の成果主義になるのですから、人材活用の点ではむしろプラスになるかも知れません。定年制がなくなっても人はいつか必ずリタイアするのですから、新入職員の採用手控えの必要性は一時的なものです。何年か後には、今と同じペースで人はリタイアするのです(?)。 (年齢差別の撤廃を進めれば、終身雇用の保障も見直される可能性があります)
――第三セクターを立ち上げた場合、そこの固有職員と区の職員との関係はいかにあるべきでしょうか。
兼松 米国の「雇用における年齢差別禁止法」では、同じ仕事に従事する労働者はパートであろうとアルバイトであろうと、待遇面で正社員と差別されないことになっています。これを参考にしてはいかがでしょうか。
ところで、人は何を基準に職業を選択するのでしょうか。「ある職業につけば、努力に比べて見返りが多い」という理由だとしたら、それが通用する社会は決して好ましい社会とは言えません。例えば、政治家が自分の子供に後を継がせたがるのは、今それが「おいしい職業」に成り下がっているからでしょう。もし役人になる理由もそうだとしたら(そう思えるフシがあります)、多少の反対があっても、それを「努力と見返りが妥当な線」まで戻すのは当然ではないでしょうか。今、民間では倒産・リストラは当たり前です。お役所だけが「蚊帳の外」を決め込み、終身雇用・年功序列にどっぷりと浸かっていていいものでしょうか。