映画館がやってきた! | 映画鑑賞記 |
コンピュータプログラマーとしてニューヨークの企業で働くネオ(キアヌ・リーブス)は、
裏の世界では凄腕のハッカーとして活躍していた。 ある日、彼のパソコンのモニターに謎のメッセージが表示される。 「起きろ、ネオ」「マトリックスが見ている」 謎の女トリニティ(キャリー=アン・モス)に導かれて、ネオはモーフィアス (ローレンス・フィッシュバーン)という男と出会い、真実の世界を見せられる。 我々の認識する1999年の世界は、本当は2199年で、過去に起こった人間とコンピューターの 戦争の結果、敗れた人間はコンピューターが 作り出した仮想現実「マトリックス」の中で「生活している」と思わされているが、 実体はコンピューターのエネルギー源「生体電池」としてカプセルの中で栽培され ているのだ。 そして残された少数のレジスタンスは、救世主を捜していた。それがNEOだった。
NEOは、モーフィアスから仮想現実をコントロールして戦うことを学び、
彼らと共にコンピューター
の放った監視プログラム、エージェント・スミス(ヒューゴ・ウィービング)と戦う
ことになる。 |
特撮的に美味しいところ…、ワイヤアクション、超高速移動、弾丸のストップモーション、
etc.は本編の美味しいところはほとんど予告編に出尽くしているので、本編は「お、あの映像だ」
という感覚で、特撮の衝撃はない。
予告編でも秘密なのは、MATRIXに対するリアルワールドの
有様であり、かなりこってりとしたB級ホラーSFテイストで、世界の設定もサイバーパンク
というよりは、ホラーじゃないかと思う。
人間は生まれた瞬間から培養液で満たされたカプセルの中に浸されて、コンピューター
を活動させる発電器の熱源として栽培されている。という映像はかなり不気味な絵柄で、
インパクトがあるが、科学的な必然性の説明もないのでSFとは思えない。ついつい、
バイオ的な熱源を利用するなら、人間を栽培するために使用している栄養素を直接
発酵させてガスを燃やした方が効率がいい…なんてことを考えてしまう(^^;;
そもそも、電池の熱源にリアルなバーチャルワールドを与えて活動させることの
コンピューター側のメリットもわからない。
しかしながらこの映画の一番の見所は、ワイヤーアクション込みで、主人公NEO
(キアヌ・リーブス)の怒涛のカンフー・アクションとガン・アクションではないかと思う。
そういう意味で、観客の心の中に主人公が乗り移って、映画館から出ていく人がみんな
肩で風を切って、颯爽と歩み去るような、そういう高揚感はたっぷり味わえる。
グッズコーナーに、映画の中で使われたのと同型のコート(男物=Neo,女物=トリニティ)が
展示されており、通販で4万円。ただし、キアヌと同じくらい長身(180-190cm)でないと、
裾がもの凄く長いのでズルズル。ついでにきりっとした細面でないと似合わないだろうな(^^;
この映画のラスト、決して終わっていない。というより明らかに『ネオの物語の始まりで
しかない』と思っていたら、2,3の制作構想はすでに存在しているらしい。やっぱり
「エピソード1」である。続編でこの世界の設定の謎のいくつかでも明らかになることを
期待している。
米国ではすでにDVDも発売されているので、早く国内版も出してもらってみっちり鑑賞
したい物だ。
この「プレミア云々」を別にしても、ここのTHXは凄い。
最近では立川のTHXスクリーンでスターウォーズを見たが、この時の印象より
さらに凄く、一歩足を踏み入れた瞬間の静けさたるや、まるで『測定用の無響室』で、
あまりの静けさに不安になるほど。ついでにオマケのポップコーンをかじるのも
はばかられる雰囲気(^^;
この異様な静けさが、マトリックスの「白い電脳空間」の空白感に実に効果的
だった。果てしない空白の恐怖。
そして異常なまでの定位感。この上映のサウンドシステムはDTSだったが、
ロゴ・サウンドから圧倒的。銃撃戦で飛び散る銃弾の弾道は音が見えるようだし、
飛び散る薬莢の硬質な音、数の多さが凄い。そしてタイトな低音。
有楽町界隈で映画を見ていると、「やっぱりホームシアターの精密な音は良いな」
と思うのだが、ここのマトリックスのサウンドを聴くと到底かなわないと思い知る。
有楽町はただ音量が大きいだけ。ぼよぼよ。
画も、おやっと思うほど明るくて、今まで暗いシーンばかりの映画だと
思っていたマトリックスの隠れていたディーテイルが掘り起こされるよう。
ともあれ、ここで上映される映画の全てがTHXなのだから、もう他の 映画館には行きたくなくなった(^^;
ところでこのビデオ、黒が猛烈に白い。そのぶんTVの明るさを絞ったりすると 今度はさっぱり暗いところが見えなくなる。この酷さには泣けます(^^;
文:唐澤 清彦 | 映画館がやってきた! |