映画館がやってきた! 映画鑑賞記

麗しのサブリナ

■DATA (1954年/米 原題 Sabrina)
キャスト:オードリー・ヘップバーン,ハンフリー・ボガード,ウィリアム・ホールデン,他
スタッフ:監督:ビリー・ワイルダー

Story

 アメリカのとある大富豪のお抱え運転手の娘サブリナは、いつも木に登ってこっそり夢のような パーティーをのぞき見ていたが、 父は「月を望むようなことはやめなさい」と諭していた。
 ところが、富豪の次男への恋を忘れるために遊学したパリから帰ってきたサブリナの 「素敵なレディー」への大変身を見て次男が一目で恋をしてしまったからさあ大変。次男は 事業拡大のためにサトウキビ農園の大地主の娘と政略結婚の予定があったのに。
 なんとかサブリナの心を次男から引き離そうとサブリナをデートに誘う長男だが、いつしか 本当の恋に落ちてしまう。

感想

[2001.11.23] 鑑賞(DVD) ★★
 1954年作品。「麗しの」が付かないと、95年米のリメイク映画のことになるらしい。

 あまり見た覚えが無かったが、じつは無意識のうちにBSのオードリー特集で 見ていたらしい記憶がよみがえった(笑)
 「さえない娘が大変身して恋を得る」という映画は幾つもあるが、この映画の 唯一の欠点は、いくら質素な衣装をまとい、木陰から(というより木登りして) パーティーを盗み見てため息をつく「お抱え運転手の娘」という庶民な設定でも、 「見違えるほど美しくなったわ!」とビックリするには最初から 美しすぎるってことかな?などと思ってしまう(笑)
 『ローマの休日』で華々しく画面に登場してから、これが二つ目の主演作、 25歳の時の作品だというので、「ボロは着てても内側から輝いている」と 言うのは当然なんだけれど。
 ちなみに95年版で変身したのはジュリア・オーモンド という女優さんらしいが全然知らず。長男ライナスを「ハリソンフォード」がやっていると言うのが ポイントなのかな。
 考えてみれば同じオードリーの『マイ・フェア・レディー』というのも 「変身サクセス・ストーリー」なんだが、64年35歳の作品で、こちらは 「あっと驚く大変身」になっている。これは変身過程そのものを 描いているからということはもちろんあるのだけれど、妖精のようだった 彼女が「役者として」大きく成長した実力によるというか、別人のような 違いを演じ分けているといって良いと思う。
 三年後の67年には『暗くなるまで待って』で盲目の人妻を演じているのだから、 人妻と少女を同時に演ずることが出来たと言えるような。

 ともあれ、『サブリナ』といえば、サブリナ・パンツにサブリナ・カット。
 ハタと気が付くと54年と言ったら私の母親の青春時代ではなかろうか? どうりで、昔見せてもらった「アルバム」の中の母やお友達の写真には 「それらしき髪型」の娘たちがいっぱい写っていたような気がするね。 そういう時代だったんだなぁ。オードリー・ヘップバーンがどんどん 新作を出していた時代に生きていたなんてちょっと羨ましい気がする。
 今、そういう風に話題になる女優さんてちょっと居ないからね〜。 娘たちの眉毛がみんな安室になっても、こういう風には歴史に残らない。 たぶん。

■『サブリナ』の画質
 白黒である。カラー信号が完全にoffの白黒。
 ノイズや埃は全然無く、古いフィルムであることを全く感じさせないし、 圧縮っぽさもなく、白黒映画のDVDとしてほとんどパーフェクトなんじゃないか。


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文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!