映画館がやってきた! 映画鑑賞記

ラヂオの時間

■DATA

Story

 ラジオドラマの脚本コンクールで入選した一本の脚本。
 順調にリハーサルが終わるが、本番直前、主演女優のわがままで、設定が 熱海の温泉街のパチンコ屋の女店員から、ニューヨークの敏腕女弁護士に 代わってしまう。
 「その他の設定は一切変わりません、固有名詞を変えるだけですから」 と生ドラマは開始するが、よりリアリティーを、とプロのライターが 設定をいじったことから、話はどんどん歪み、混乱に乗じて相手俳優まで 「僕もかっこいい職業にしてもらおう」と勝手に設定を変える。
 果たしてこの話の結末は!

感想

[2000.9.25](DVD) ★★
 以前ビデオで借りて見て、これは絶対面白い!と思った作品。それが 特典盛りだくさんのDVDになって帰ってきた。
音声5.1ch化 … ラジオスタジオ内の音声がけっこう大胆に、5.1ch 各チャンネルにばらまかれている。面白いのだけれど、うちのリアSPが貧弱な せいか、角設置で低音を稼いでいるせいか、背後で呼ぶ声が「もわ〜ん」と 肥大している。当然センターとメインLRの音質差もありありわかる…センター は壊しちゃったけれど(^^;…ので、センターはoff
 弾丸や爆発音がサラウンドするDVDより、実はとっても再生が難しい一枚と 言えるかも知れない。
監督の解説 … ドラマの中でCMや天気予報を読んでいる八木さんという 女性と三谷監督の掛け合いで全編を見ることが出来るのだけれど、サービス精神 旺盛な監督のことで、これがとても面白い。
 コメントされたシーンをちょっと巻き戻って見ていると本編よりずっと長時間 掛かってしまうが、興味が尽きない。
 解説の中に、ラジオ局の音声について触れられている箇所がいくつもあるが、 これも「ラジオ弁天オンエア音声」というトラックがあるので、生放送が 大変なことになっている間に流れるCMや天気予報などが実際に聞けて面白い。
映像特典 … これも沢山あるが、「馬場監督とのトーク」が長いの だけれど「実は三谷監督は放送作家時代に台本をめちゃくちゃにされて、 それで当時サスペンスとして書いていた「ラジオの時間」という舞台が こういう内容になった」という話をはじめとする、業界の裏話が山ほど聞ける。
 「外国の番組でのインタビュー」なんか、英語のインタビューにすらすらと 答えている割に、発音が完全なカタカナで、身振り手振りも面白く 「西洋人から見た日本人」をパロディーしているとしか見えないし、 話の内容もやけにでかくて、監督のサービス精神爆発。笑える笑える。
 特典を順に最後まで見ていくと、「内緒の映像」にアクセスするための 隠しコマンドの説明なんかも有り、出来ることはすべて詰め込んだ という感じの楽しさ。

 本編内容については、非常に完成度の高いコメディーで文句の付けようがない。
 順調に終わったラジオドラマのリハーサルに続く、役者のわがまま、不穏な空気。 そして、本番が始まってからのテンポ感の良さと、矢継ぎ早のアクシデントの洪水。 音楽も実に自然に、冒頭のほのぼのした曲から、緊迫感あるアップテンポの曲に 切り替わって盛り上げている。
 すべてがハッピーエンドに終わってから、それまでの緊張の息抜きが出来るような 間を作って終わっていくところも悪くないと思う。
 すべてのネタがなかなか良いし、放送業界の裏側をのぞく楽しみも味わえるし、 実際にベテラン俳優がそれぞれの個性を生かしたキャラクターで出演しているので なんだか「本当の話」みたいに思えるのも良い。


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文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!