- 1837年 ヴィクトリア女王18歳で即位。20歳でアルバート公と結婚
- 1861年 公が腸チフスで他界。病的なまでに深い服喪生活に。
- 1864年 アルバート公存命中の従僕、ジョン・ブラウンが呼ばれる
ブラウンは陛下の馬と共にオズボーン宮に呼ばれる。
「陛下が乗馬でもして気晴らしが出来れば」という側近達の苦心の末の
策だった。…という所から物語は始まる。
このときヴィクトリアはすでに45歳くらいであるし、ともかく毎日
喪服で暮らしているので、宮廷の物語といってもとにかく暗い。侍従
達も女王陛下の前では何か答えるとき以外は自分から口をきいても
いけないという状態で、華やかさのかけらもない。
女王はジュディ・デンチ(恋に落ちたシェイクスピア)で、ブラウン
ともども、派手さとは無縁の俳優だ。しかし、二人が心を通わし、
徐々に女王の顔に笑顔が(彼の前だけではあるが)戻ってくるところは
なんだかほっとする。
しかし、政治の世界では女王の長い不在と「ブラウンのえこひいき」
をネタに王政を覆そうとするもの、早く王になりたい皇太子、
アイルランド独立運動などが渦巻き、元祖パパラッチまで出没し
女王の身辺を騒がす。
そんな中で、女王を守ることに命を懸けるブラウンと世間の目の
対立は日々深まっていき、ブラウンの行動の逐一が大衆紙のゴシップの
タネになるまでになり、女王はMrs.ブラウンと揶揄される。
映画はひたすら、女王の心の支えとして一生を仕えたブラウンの
純粋さを描いていて「至上の恋」と副題されるのもそのプラトニック
な関係故か。
ともかく二人の関係を取りざたされながらも、ブラウンの心の支えで
ヴィクトリアは公の場に復帰する。身分は一従者でしかないブラウンの
存在は、その死後女王の側近がもみ消すのだが、側近自身が自らを悪人
と呼ぶところに、ささやかな救いがある。
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