映画館がやってきた! 映画鑑賞記

から騒ぎ('93)

■DATA 原題:MUTCH ADO ABOUT NOTHING/1993年/アメリカ
監督:ケネス・ブラナー,音楽:パトリック・ドイル
キャスト:ケネス・ブラナー(ベネディック),エマ・トンプソン(ベアトリス), デンゼル・ワシントン(ドン・ペドロ),マイケル・キートン(ドグベリー), キアヌ・リーブス(ドン・ジョン)

Story

 中世ヨーロッパ。アラゴンの大公■ドン・ペドロ(=デンゼル・ワシントン) 一行は領主レオナートの家に招かれた。
大公の臣下●クローディオ(=ロバート・ショーン・レオナルド)は 領主の娘●ヒーロー(=ケイト・ベッキンセイル) と結婚したいと思っていた。これを知った大公は恋のキューピッド役を買って出て、見事 ヒーローとクローディアは結婚することとなった。
 めでたさに浮かれた大公とクローディオらとヒーローは、女嫌いの大公の臣下 ▲ベネディック((パドアの貴族)=ケネス・ブラナー)と、男嫌いのレオナートの姪 ▲ベアトリス(=エマ・トンプソン)をくっつけようと画策し、これに成功。

 しかし、大公が気に入らない 異母弟の■ドン・ジョン(=キアヌ・リーヴス)は、クローディオの縁談を破談させよう と企む。彼の計画は見事成功し、クローディアはヒーローをふしだらな女と 勘違い。結婚式で罵倒。列席者全員が大騒ぎになる。
 ベアトリスは従姉妹の名誉を守るためベネディックにクローディオとの決闘を 依頼する。しかし、陰謀に加担したドン・ジョンの部下の話を耳に挟んだ三人の夜警が 真実をレオナートに伝え、決闘は避けられる。

 修道士フランシスの知恵で、ヒーローは絶望のあまり死んだことにして葬式を出す。
 そして婦人を面罵したクローディオにお灸を据え、心を試す。

感想

[1999.12. 2 レンタルV(Asmic)]
 どたばた恋愛コメディー。登場人物が交錯してちょっと面倒だけれど、大爆笑(^^)
 二組のカップルと、確執する異母兄弟の6人がメイン・キャスト。
 主役は「ヒーロー&クローディオ」だが、恋に浮かれる二人を横目に 「僕の理想はもっと高い、簡単に結婚なんかしないぞ」とか言っている理屈屋の ベネディック(=ケネス)が、「ベアトリスはベネディックに首っ丈なんだが、 プライドが高いので 知られたく無いんだ」という噂をコロっと信じて恋の虜になり、同じく口から先に 生まれたような負けん気の強いベアトリスも、同様に噂を吹き込まれてコロっと行って しまうのが、ばかばかしくて良い。
 このへんの演技は役者としての見せ場であり、ケネス・ブラナーがこの役を 取ったのは良くわかる。
(ちなみに、ケネスと相手役のベアトリス(=エマ・トンプソン)は、実生活で夫婦だそうで)
 大公の異母弟の根暗なドン・ジョン。なんか見たことがある顔だな〜と思っていたら、 なんと「マトリックス」のキアヌ・リーブスだった。93年の映画なので5,6年前の顔。
(出番は少ないし、悪役だけれど、マトリックスで好きになった人はこれも 良いんじゃないでしょうか?)

 とにかく、テンポがよくてケネス・ブラナーの「笑っちゃうほど真面目」という キャラクターの演技が絶妙。三人の夜警や、警官のコミカルな動きは、映画だと 不自然だが、シェイクスピア劇の映画化と思ってみれば楽しめる。独白の多い所 なんかも演劇的。
 終盤の策略の中で「修道士がヒーローを死んだことにする」という下りがあり、 「シェイクスピアの修道士って困ったことは死んだフリして解決する物?」と 思ったら何だか笑えて…(^^;
 げらげら笑って、しかし何となく知的な気分も残す逸品。

 ビデオは4:3のトリミング版。VHS的な浅い画像で決して高画質ではない。
 これではもったいないので、ぜひDVD化していただきたい。


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文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!