映画館がやってきた! 映画鑑賞記

ロード・オブ・ザ・リング

■DATA (2002年/米 原題 THE LORD OF THE RINGS - THE FELLOWSHIP OF THE RING)
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Story

感想

[2002.3.3] 字幕版(VC市川#1) ★★☆
 限りなく最高点に近いのだが、吹き替え版への期待と、三作合わせたときのために 押さえておこうという評価になる。というくらいに最高(^^; ともあれ、ほとんど 期待を裏切らない出来だった。
 レイトショーで客席はほとんど満席。興行的にはこりゃ結構快調な滑り出しかも 知れない。普段見ない白人系外人さんの客がやたら目に付くのは、 ヨーロッパでの原作ファン層がことごとく劇場に足を運んでいるのかな?と思われ る。そのへん、土壌の違いがきっと有るんだな。
●原作から脚本へ
 原作では(邦訳で)文庫4冊になっているものを三時間にまとめているのが 「脚本の出来はどうなのか」という興味を呼んでいたわけだが、もちろん大胆な 省略があり、省略されたエピソードが好きな原作ファンには言いたいことも一つや 二つではないだろう。でも原作の一冊目(上1)あたりは、ほんの導入部の歴史解説で 読み進む気力を無くしてしまう人が多発するくらい退屈(むしろ全巻読破した後でな いとよくわからない世界解説が巻頭にある)で、やっとのことで旅に出たかと思うと、 毎日黒い敵に追われて逃げるのワンパターンが延々…。というので、馬鹿正直に原作 通りだと寝てしまうだろうこと事実。で、脚本は盛り上がりどころを上手く拾って ハイテンポに格好良く仕上げている。
 エピソードの詰め込みすぎで、目まぐるしい。ホビット庄、躍る子馬亭、裂け谷、 モリア洞窟、ロスロリアンの森などの主要な舞台がどんどん入れ替わって「もっと ゆっくり見たい」というストレスは感じる。三時間の上映時間でどこにも緩みがない のは「凄い」というのと「疲れる」というのが背中合わせ。
 原作では第一部にはほとんど顔を出さないエルフの王女「アルウェン」が映画では 大活躍し て「アラルゴン」とラブシーンまであるのは、原作第三部で彼女が突然出てきた印象が あるためで、この忙しい映画の中でわざわざエピソードを追加しなくてもとは思うが、 三部作最後への流れの中では原作者トールキンが前半で女性を書いて居なさすぎ、 後半とのバランスが悪いための補完。理解は出来る。
 戦闘シーンは多い。
 長い旅であることを強調したいためか、原作では敵も味方も休み休み何日もかけて の追走劇で 「瞑王側もけっこう甘いぜ」と思うが、映画はいちいち休んでいるシーンはないので そのぶん強烈に戦いが多い。個々の敵のビジュアルもなかなか怖くて良い。殺陣も 激しく隙がない。
●ホビット身長の謎
 ホビットの身長は1mくらいだが、ちゃんとそう見える。CGを利用しているシーンも あるのだと思うが、演出とカメラワークで見せているカットも多く、それはわかるの だが違和感がないのは立派だ。

●字幕のこと
 戸田奈津子である。違和感は少ない。戸田訳の常として原語の響きと親和性の 高い言葉を当てているので、原作本(瀬田訳)とは違う固有名詞も多いのだが、要所 で日本語+カタカナ語…というか英語のふりがなを使っているのが、効果的だっ た。
 英語の聞き取りの手助けに日本語字幕を活用しようという態度で見ている人には いい線行っている訳かと。
 ただし、冒頭数分間の歴史解説パートは、字幕を一生懸命読んでいると画面を見る 事が全然出来ないくらい話が濃いので、いちど吹き替え版を見に行きたい。前編に わたって目まぐるしい画面が多いので、字幕を見ているとおいて行かれそうで、 こういう映画こそ吹き替えの良いところを発揮すべきだと思う。

吹き替え版

[2002.3.30] 吹き替え版(AMC舞浜#8) ★★☆

 近場の劇場では金曜までで吹き替え版が終わってしまったので、早起きして 一時間かけて舞浜に。
 最近、 魅惑のFotR日本語字幕の頁 というホームページが出来たが、ネット上では「字幕より吹き替えが断然優れている」 という論調が主流で、私も以前から超大作は字幕と吹き替えと両方見ているので、その 比較も楽しみにして見た。
 吹き替えは、画面の隅々まで見ることが出来てなかなか良いと思うが、声優の演技は 悪くないけれど、オリジナルの芝居持つ重厚なテイストが軽くなってしまうところが 時々気になった。つまり「格好良さ」が足りない。
 翻訳がどちらがよいかという議論は「大差はない」と思う。
 複数の人が喋っているシーンでは、どんな作品でも吹き替えの方が絶対情報量が 多い物だが、通常のシーンで映画の印象が変わるほど翻訳の差があるとは感じな かった。あるいは、思わず笑うような珍訳とかも無い。
 たとえば『スター・ウォーズEP1』の「小惑星ナブー」とか「ボランティア軍」 の用語は耳にした瞬間に「え?」と多くの人が思っただろうけれど、『指輪』には そこまで大胆で後世に残るような訳は無い。それで良いんじゃないかと思う。
 三度目をどちらで見るか…と言ったら私は字幕版が良いな。芝居が英語のリズム 感の上に乗っているように思うから。

 ところで、休日の朝イチの吹き替え上映は子供率とそれに付随するジジ・ババ率 が高く、一時間経過した頃からひっきりなしに席を立つ子供、大人がいて真剣に 映画を見る雰囲気としては全く、ダメダメだった。そもそも子供向けにはやっぱり 指輪より、モンスターズインクだろう。
 春休みに入って興行成績では、1,2位逆転してしまったようだけれど、4月以降は また指輪が再浮上する可能性もあるので楽しみに見守りたい。
●吹き替え版キャスト

指輪グッズ

指輪の通販サイトっていくつもあるらしい。公式には一個20,000円のパンフレットに記載されているやつだけなのか?それにしても、アチコチに怪しいレプリカがある。
 しかし、考えてもみよ、指輪は「はめてはいけない物」である。
 つまりもっとも正当なレプリカには「鎖」が必要ってこと。そぢゃないと、 ダークサイドに引き込まれるよ。
  • ちょっとしょぼい指輪 - 既存の結婚指輪に文字彫り込んだだけなのでは(^^?
  • ヤフオクを「ロード・オブ・ザ・リング、指輪」で検索すると他にもぞろぞろと 業者の出品がある。『タイタニック』の「ハート・オブ・オーシャン」のレプリカより 遙かに業者が多いのは作るのが簡単だからか(^^;;
     これら、到底権利者と契約して居るとも思えないが、オリジナルをケチケチと売る のが良くないのである。パーッと売ってくれよ。
     あとは「葉っぱのブローチ」希望。これはオリジナルはピンバッジしか無く、 海賊版の方が期待できる。
     ブルボンには「エルフの薄焼き菓子」希望。買うよ、絶対。


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    文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!