映画館がやってきた! 映画鑑賞記

レ・ミゼラブル

■DATA
監督:ビレ・アウグスト,原作:ビクトル・ユーゴー/レ・ミゼラブル
キャスト:リーアム・ニーソン (ジャン・バルジャン), ジェフリー・ラッシュ(ジャベール警部),ユマ・サーマン(ファンテーヌ), クレア・デーンズ(コゼット),ハンス・マセソン(マリユス)

Story

ストーリー 1812年、フランス。トゥーロンの徒刑場で19年の刑期を勤めた後、仮出獄の身となったジャン・バルジャン(リーアム・ニーソン)は、保釈の届けのため徒歩でディジョンの警察へ向かっていた。5日間歩き続けた末、ディーニュの町までたどりついた彼は、どの宿からも門前払いを食った末、一人の老司教(ピーター・ボーン)から客人として温かいもてなしを受ける。だが長く過酷な服役の間にバルジャンの心は野獣のように荒れ果てていた。夜明け前、彼は銀食器を盗むと司教館から姿を消す。憲兵に捕われて連れ戻された彼は、司教の意外な言葉に驚く。「食器は私が彼にあげたものだ。銀の燭台も持っていくよう言ったはずだよ」。バルジャンの魂に大きな変化が生まれたのはこの時だった。許されたことへの途惑いと、良心との葛藤に心乱れながら、彼は旅を続ける。 9年後。過去を葬り、生まれ変わったバルジャンはヴィゴーにいた。5年前、破産した煉瓦工場を買い取って建て直したことで人望を集めた彼は、今や慈悲深いことで評判の市長となっていた。そこへ新しい警察署長として赴任してきたのがジャベール警部(ジェフリー・ラッシュ)である。バルジャンは彼を一目見るなり心を凍らせる。ジャベールこそ、20年前、徒刑場でバルジャンに鞭をふるった冷酷な警吏だったからだ。 その後ジャベールは、ある出来事を目撃したことから市長の素性に疑いを抱く。荷馬車の下敷きになった老人ラフィット(ティム・バロウ)を助け出そうと、たった一人で荷馬車を持ち上げる市長の姿が、トゥーロンの石切り場で見た怪力の囚人のそれと重なった。市長の正体がバルジャンだと確信したジャベールはパリ警察副総監に告訴を進言するが、証拠がないと言われて引き下がる。 その頃、私生児がいることが発覚してバルジャンの工場を解雇されたファンテーヌ(ユマ・サーマン)は路頭に迷っていた。彼女は娘の里親に仕送りする金を稼ぐために娼婦となるが、男たちにからまれて騒ぎを起し、ジャベールに逮捕されてしまう。事情を知ったバルジャンはジャベールに彼女の釈放を命じ、病身の彼女を引き取ると手厚く看護する。病状は重かったが、やがてふたりの間には信頼といたわりで結ばれた堅い絆が生まれていった。 そんなある日、“バルジャン逮捕”の知らせが市長のもとに届く。アラスの裁判所に向かった彼は、人違いのために終身刑に処せられようとしている男を救うため、自分が本物のバルジャンだと名乗りでる。バルジャンはファンテーヌのもとへ引き返し、死の床にある彼女に娘を里親から引き取ることを誓う。彼は逮捕状を手に現れたジャベールに二日の猶予を請うが、聞き入れられないとわかると彼を殴り倒して逃走する。ファンテーヌの8歳になる娘コゼットは、強欲で意地悪な里親テナルディエ夫妻(ジョン・ケニー&ジリアン・ハンナ)のもとで不幸な毎日を送っていた。バルジャンは夫妻からコゼットを助け出すと、ジャベールの目をかいくぐってパリに潜入し、今は修道院で庭師として働いていたラフィット老人のもとへ身を寄せる。こうしてラフィットの弟を装ったバルジャンは、捜査の手が及ばぬ修道院の中で、コゼットを自分の娘として育てていくことにする。 10年後、コゼット(クレア・デーンズ)は美しい娘に成長していた。修道院から出たいという彼女の願いを聞きいれたバルジャンは、パリに家を持つことにする。初めて歩く外の世界で、貧しい人々の惨状に心を痛めるコゼット。やがて彼女は王制打倒を目指す若き学生革命家のリーダー、マリユス(ハンス・マセソン)と知り合い、愛し合うようになる。マリユスの動向を監視していたジャベールは、彼がコゼットと密かに会っていることを知ると、バルジャンのもとへ手紙を届け、娘が危険分子と付き合っていると警告する。手紙を読んで怒りをあらわにするバルジャンだが、コゼットから逆に非難され、初めて自らの過去を明かすのだった。その後ジャベールは、コゼットの父親が長年自分が行方を追っていた男だと気づき、逮捕に向かうが、既に彼らは逃げた後だった。 居を移したバルジャンは、コゼットとともにイギリスへ逃れる準備を整えていた。その夜、コゼットがマリユスに別れを告げるのを、彼は静かに見守った。 翌日、マリユスらがラマルク将軍の葬儀を襲撃したのを機に、激しい市街戦が始まる。ジャベールは敵陣に潜入するとバルジャンを捕えるべくマリユスを尾行するが、反対に捕われの身となる。一方コゼットの想いの深さを理解したバルジャンは、マリユスにコゼットのもとへ行くよう説得するが、彼の革命への決意が堅いことを知ると、自らも戦いに身を投じることにする。彼は処刑されようとしていたジャベールを裏通りに連れ出すと、驚く彼の縄を解き、解放する。夜の間も戦いは続いた。学生たちは一人また一人と銃弾に倒れていく。バルジャンは負傷したマリユスを背負って地下水道へ逃れるが、遂にセーヌ川岸でジャベールに捕われてしまう。ジャベールはバルジャンの最後の望みを聞き入れ、彼がマリユスをコゼットのもとへ届けることを許す。ファンテーヌの形見のペンダントをコゼットに渡し、恋人たちに別れを告げるバルジャン。 死を決意してジャベールの前へ戻ったバルジャンは、思わぬ言葉を耳にする。「お前を解放しよう。だが法は私に慈悲を行うことを許さない。私は法を守る一生を全うする」。彼はそう言うと、自らセーヌの流れに身を投げた。朝もやの中を静かに歩き出すバルジャン。彼はようやく手に入れた、真の自由の味をかみしめていた。 (speの公式ページから)

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文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!