ビクター D-VHSビデオ HM-DH35000 導入記
HM-DH35000ホーム
導入決定・機種選定
一ヶ月前(2002/7/27)にハイビジョンチューナーを導入。
当面ハードディスクレコーダーだけでも良いかと思ったが、「オードリー・ヘップバーン」
の映画『昼下がりの情事』とか、ビリーワイルダー作品、そして10月には黒澤作品の
放送もあるということで、D-VHS導入に踏み切る。
妻には「冬のボーナスで買うのかと思っていたのに…」と言われたが、急いでいたのだ。
パナソニックのNV-DHE20と比較してとことん悩んだのだが、最後のテープメディア
としての選択はビクターだった。やっぱり「ビデオはビクター♪」ってことかな。
(古いっ)
デジタル記録なので、画質は大差なかろうということで、比較は機能のみ。
| HM-DH35000 | NV-DHE20 | ポイント |
録画モード | HS/STD/LS3 | HS/STD/LS3,5,7 | LS5,7は解像度が落ちるので非常用 |
ビットレートコンバータ | 有 | 無(LS3/5/7録画はアナログ接続のみ) |
MPEG2デコーダ | HD対応 | SDのみ |
MPEG2エンコーダ | SD/LS3録画のみ動作 | SD、VHS再生時にも有効でi-Linkから出力 | 松下はチューナーとのi-Link接続のみでVHSも見られる |
チューナー・スルー端子 | 無 | 有(テレビの入力を切替えなくて良い) |
GRTチューナー | 有 | 無 |
BSアナログ | 有 | 無 |
PCM録音 | 有(HS/STD) | 無 | BSアナログで役に立つ |
AAC5.1デコーダ | 有 | 無 |
i-Link | 前面1/背面1(DV入力可) | 背面2 |
D端子 | 1(D1/D3/D4) | 1(D1)チューナーからのスルー接続でD4出力 |
色差端子 | 有 | 無 |
ビデオ入/出力端子 | 3/2 | 3/2(LSモード録画用にアナログ接続1消費) |
予約プログラム数 | 24/年 | 40/月 | BSデジタルはチューナー側で予約 |
消費/待機電力 | 64w(BSチューナー使用時)/55w/13w | 36w/10w | i-Link機能待機のため待機電力が大きい(BSデジタルの予約録画のため) |
カタログ上の決定的な違いはビクターが「本体にHDデコーダを持っていて、D端子、色差端子がある」ことと
「(アナログ)BSチューナー内蔵」という2点。
松下は「ビデオ(i-Link)→チューナー(D端子)→ビデオ(D端子)→TV」と繋ぐことで、ビデオからの
D端子出力だけ繋げば良いように作ってあり「ハイビジョンチューナー内蔵ビデオ」のように使う事が
出来るのが便利だ。
しかし、我が家にはHDDレコーダがあり、2画面出してダビングしたいとか、HDDに録画中にD-VHS
を再生したいとか、両方いっぺんに使用したいときにはやはりHDデコーダー内蔵は便利だ。
BSアナログチューナーも、NHKのBSデジタル101,102の画質/音質はアナログより悪いので、
まだまだ無くせないし、ハードディスクレコーダで毎週録画している地上波の裏でBSの特番や映画が
バッティングする頻度はかなりな物なので、これは外せない。
たまに地上波、BSアナログ、デジタルの三通りのバッティングが発生することさえある。
(…もっともこういうときに録画したテープは見る時間が無くてそのままお蔵入りになり
やすいのだが(^^;)
D端子と色差があるというのは、結構大切。というのは、TVとプロジェクターの
2系統は同時に映したいから。
TVの方は「ダウンコンバート画質」でも良いのだけれど、TVの色を参考にプロジェクター
の色調整をするということは、今後もするだろうから、両方同時に表示できるのは重要。
また、ハイビジョン用HDDレコーダも使用しているため、ダビングの時には、
チューナとi-LinkしたHDDレコーダの画像を出しつつ、D-VHSの頭出しも同時にするなど、
2系統の出力が同時に見られる環境は絶対に必要だ。
LS5,7モードは、松下にしかない機能。
LSモードはSTDの録画時間(4〜8時間)に対してLS3で三倍、12〜24時間録画。
LS5(20-40),LS7(28-56)は、STD/LS3のD1画質に対してHalf-D1以下になるので
根本の
解像度が低いことと、一本のテープにこれだけの時間を記録すると、頭だしをする気が
起きないだろうという二つから、滅多に使わないと思う。
ただし、松下はベータ対VHSのフォーマット戦争の昔から「長時間は重要スペック」
と判断しているのだろう。
ビデオはビクター♪というのは、以前ビクターのビデオを焼失
(電源コンデンサーの爆発)して以来、
家にはビクターのデッキが無かったので、久しぶりのことである(^^;;
デザインは、松下と甲乙付けがたい。
どちらもシンプル。カタログ写真よりは実物のほうが重量感があって
好感が持てた。
画質・音質
■GRTチューナー
地上波とBSは内蔵チューナーを使う。
我が家はCATVで特定のチャンネルにきわめて薄くゴーストが出ている状態。
あまり薄いゴーストにはゴーストリダクションは効かないようだ。
また、ゴーストリダクションが誤動作して、僅かながらゴーストが
増えるチャンネルもあり、最良の受信のためには、チャンネルごとの
設定が必要。
地上波チューナーの性能は良い。
やたらとデジタル処理でしゃきしゃき見せるのではなく、アナログ回路が
ちゃんとしており、さらにデジタルで安定させた感じの落ち着いた細やかな絵。
BSアナログもこれに準ずる。
いずれにしても、我が家にある他のビデオの画質と比較すると、
- 松下の6万円S-VHS ... 解像度を犠牲にして派手に演出。奥行き感が激減
- SONYの20万円Hi-8 ... 濃厚、油絵風。放送の情報量をありのまま見せ立体的
- 東芝のHDDレコーダ ... 情報量指向だが、圧縮録画してしまうので判らない
で、ビクターは情報量があって、ノイズ感も少ない。どことなくデジタルで
作りこんだ感じの絵を見せるのだが、松下よりは嘘のつき方が繊細な感じ。
■録画モードと画質
●HSモード
ハイビジョン(HD)用モード。ただし、SD放送をHSモードで撮ることもできる、
がそれが何の役に立つのかわからない…。
基本的には、デジタル記録なのでオリジナルと変化無し。
●STDモード
通常放送(SD)を録画。ハイビジョンの倍の時間録画できる。
デジタル放送の場合、デジタル記録なので画質変化無し。
BSアナログを録画した場合、ほぼオリジナルの画質ではなかろうか。
転送レートは、14.1Mbpsで、少なくとも
DVDレコーダーの最高画質モードより美しい。
ハイビジョンをSTDで録画すると、SD画質でスクイーズ記録相当。
ちょっとマイルドな古い映画のハイビジョン放送の場合は、これでも
十分綺麗。レターボックスな地上波の録画より確実に良く、市販DVDもびっくり
と言えるくらい。
●LS3モード
STDの3倍モード。HSの6倍。
4.7Mbpsで、DVDレコーダーの標準画質に近いが、固定転送レート(CBR)なので、
可変ビットレート(VBR)の4.7Mbpsより、確実に画質は悪く、大面積の暗部で
階調が省略される感じはある。ただ、動きが少ない絵柄ならVHSより全然綺麗で、
何より色にじみが無い。
初期のワーナーDVDのように、字幕の輪郭にモスキートノイズが見られるが、
転送レートよりはエンコーダのアルゴリズムのためか、実際、東芝のDVDレコーダ
とは同程度の圧縮率でもノイズの出方が違う。
●S-VHS
古いSONYのデッキ、数年前の松下のデッキなどで録画した物を本機で再生した
印象は、オリジナルの自己録再より良い。
特に、SONYで録画して、松下で再生したとき、
ハイファイ音声のトラッキングが上手くいかなかった三倍モードのテープも
本機(ビクター)では問題なく再生できる。この互換性、あるいは
「トラッキング能力の高さ」がメーカーの相性問題かそれとも、価格相応の
性能差によるものかは分からないが、メカの基本的性能が優れているのは
確かだろう。
テープを再生すると、数秒後にチラチラした細かいノイズが消え、
画面の揺れがピタリと止まる。
これは何らかのデジタル的な補正が働いているのだろうが、大変巧妙で
画質に悪影響を与えずノイズだけ取り去ったように見える。他機種のデジタル
処理で感じた作り物臭さが無いのはすごい進化だ。
総合的に、S-VHSパートは「最後のVHS」にふさわしい性能を持っている。
決してD-VHSのおまけ機能ではない。
■音声モードと音質
●PCM
●AAC
メディア
■録画予約の設定とメディア種別
予約録画の画面では、テープの区別は無く、標準/長時間という考え方。
D-VHSテープが入っていればSTD/LS3モードでの録画になり、
S-VHSテープが入っていれば標準/3倍モードの録画になる。
■S-VHSテープへのD-VHS記録
テープが入った状態で本体の「D-VHSボタン」を押すと、
S-VHSテープに強制的にD-VHS録画できる。逆にD-VHSにS-VHS録画も可能。
S-VHSの標準モードでの録画時間が、D-VHSのHSモードの録画時間に等しい。
10年以上前の不要なS-VHSをつぶしてD-VHS録画してみたが、おおむね良好。
ただし何本かびっくりするような派手なモザイク状のノイズが出ることもある。
テープの出力が低いことと、トラッキングが不安定なことの二つの理由が
ありそう。
長期記録は不安だが、日常に使うならS-VHS(120分)でも大丈夫。
180分テープになると、S-VHSで3倍録画をしても画質低下が120分より
目立つくらいだから、明らかにテープを薄く作るために性能が低下している
感じなので、ちょっとD-VHS録画を試す気にならない。
■タイム・バリエーション
- | 録画時間 |
タイプ | HS | STD | LS3 |
240 | 2 | 4 | 12 |
300 | 2.5 | 5 | 15 |
360 | 3 | 6 | 18 |
420 | 3.5 | 7 | 21 |
480 | 4 | 8 | 24 |
時間は、HSモードで 2〜4時間の5種類がある。
3.5時間はかなり高価、4時間用はさらに飛躍的に高価で、恐らく
テープの厚みとか製法が2〜3時間テープと
異なるのだろう。したがって耐久性が心配だ。(S-VHSの180分テープは
伸びてしまいやすい。)
映画を撮るなら、2.5〜3時間テープが活躍するだろう。
2時間テープは、山ほどあるS-VHSの2時間テープのどうでも良いような録画を
潰してしまうのが省スペースだ(^^;
D-VHSテープは、まだ特売S-VHSテープの数倍の値段がするが、XPとかHGとかの
肩書きを持つS-VHSテープの長尺もの(180/210分)と比較すると似たような価格だ。
今度放送される『七人の侍』は3.5時間。
VHSでは二巻に分かれて発売されているけれど、一巻に収めるには、3.5時間
テープが必要。耐久性に心配があるから、一度ハードディスクに録画して、
観賞用に3.5時間テープ、保存用に2時間テープ二本を作るか…。
使い勝手
■表示・操作ボタン・リモコン
FL表示管が奥まったところにあり、ラックの下段に入れたら、表示の上部
数ミリが見えない。タイマーとかD-VHS表示とか、そんなの。覗き込んでいる。
開発者は気にならないのだろうか。
操作ボタンは「電源、タイマー、表示切替、停止/取り出し、再生」が外側についている。
これらは押しやすくて良い。その他のボタンは、パネルの中。
タイマーボタンは、「電源を切ると自動的に予約状態になる」という機能が
あるので押さなくても良いが。
リモコンは、我が家にある全ての機器の中で、もっとも縦長だった。
他社のVTRのリモコンは蓋の中にG-Code機能を入れるか、逆に通常予約機能を
入れるかしているが、ビクターのリモコンには仕掛けが無く、全てのボタンが
表にある。だからデカい。
裏面に指がかりとなる窪みがあるので、ホームポジションが確定しやすいことと、
再生関係のボタンが巨大、カーソルキーが分かりやすいことで、慣れれば手元を
見ることなく、基本操作がしやすいだろう。重いけれど悪くないと思う。
■予約操作
Gコードと日時指定、操作順序を示す番号が振ってあるので、マニュアルが無くても
すぐ使える。
操作は、[Gコードモード][G数値入力][録画モード指定][転送](画面で延長指定)[OK]
という手順。松下よりちょっとステップが多い。また、TVと本体の電源を入れている必要がある。
松下は[Gコードモード][G数値入力][転送]の三段階。
録画モードは3倍がデフォルト。デッキが録画待機中で電源が落ちていても、Gコードは
受け付ける。機能を制限して簡単になっている。(時間の変更などは後から画面上で可能)
ビクターの便利機能はGコードの一回予約の情報からワンタッチで、毎週、毎日予約
に切り替えられること。他のデッキでは日付ボタンを何度も何度も押す必要があるが。
SONYの「リモコン上でGコードを日時情報に変換して確認してから転送」という機種が
一番機能的だと思うが、ビクター方式は慣れればその次くらいによい。
松下は、簡単予約でまた良い。東芝は松下とほぼ同様。
予約のあるときにテープが入っていないと、表示が激しく点滅して催促する。
また、予約の数が円グラフ状に表示される。
これらは、うっかりテープを入れ忘れるミスを減らすには役立つだろう。
ハイビジョン(BSデジタル)の予約は、チューナーのEPG機能を使う。
従って、本体のプログラム数を消費しない。
地上波録画とのバッティングをチェックすることはできないのが難点。
■サーチ/トリック・プレイ
D-VHSでは、固定速度の正逆サーチ一種類があるだけ。
しかも、通常画面からサーチ画面に切り替わるのはかなり時間がかかるので、
1分以下の短いサーチは、カウンターを見て感で止めるしかない。
サーチ/早送り状態から通常再生の出画にも時間がかかり,数秒間の黒味が出る。
このときメモリーに記憶した静止画を表示することがあるので、まったく関係
ない絵が出てしまうこともある。
S-VHSは、正逆サーチ、スロー、コマ送りが可能。
結構色々できるものだと関心。
D-VHS側では一切のトリック・プレイが不可能で、サーチも出画に時間が
かかるのでCMをスキップすることさえ一仕事という感じがある。
従って地上波のタイムシフト、つまみ食い視聴にはまったく向いていない。
ハイビジョンの高画質を、ゆったりと楽しむか、LS3モードの長時間記録で、
連続物を溜め込むか、とにかく早送りしない見方専用。
タイムシフトで、飛ばし見したり、ごちゃごちゃいじりながら見るのは、
HDDレコーダにおまかせして使い分ければ問題ない。だが、D-VHSも
数十秒分のメモリーを積んでやれば、もう少し快適になるのではない
だろうか。
[ i-Link機器の相性
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