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オーストラリア紀行
- ハミルトン・アイランド・リゾート
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その日は朝5時代の飛行機に乗るため、めちゃくちゃ早く起きないと
いけなかった。タクシーを飛ばして空港につくと、日本人の芸能人関係の
スタッフがいた。知らないアイドルらしい女の子を先頭に、数人の男の子、
それにカメラクルーたちがいた。朝早いせいか、若いタレントたちはだるそうに
していた。ともかく、彼らと同じ飛行機に乗ってハミルトン・アイランドへ
向かった。どこかで撮影していたのか、あるいはもう収録は終わっていたのか?
その後、彼らと会うことはほとんどなかった。
ハミルトン・アイランドはグレート・バリア・リーフの中で最もメジャーな
リゾートの島だ。泊まるはずの宿は一番安いココナッツ・バンガローで予約
していたのに、なぜか手違いで
リーフ・ビュー・ホテルの14階になった。
14階からの眺めはすばらしい。キャッツ・アイ・ビーチと呼ばれるビーチは
海の色が一日の間に様々に変化することから、その名前がついたらしい。
確かに遠浅の海なので、塩の満ち引きによって海の色が変わる。その様子が
ホテルのバルコニーからよく見えた。また、バルコニーで景色を眺めていると
黄色いトサカを持った白いオウムが
やってくる。人間がいると何か餌をもらえると思っているらしい。
本当は餌をやってはいけないが、少しだけクッキーのかけらなんかをあげると、
あっという間に10羽くらい集まってくる。日本でいえばちょうどハトのような
感じだ。
ここでは、バギーを借りることができる。
これは電動のゴルフ・カートで免許不要だ。リゾートと言っても、島の大部分は自然
のままで、ホテルを中心にした一部だけが開発されている。だからこのバギーで十分
その辺りを移動できる。とても便利だった。
- 魚釣りとシュノーケリング
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港に行けば、ヨットが停泊している。ここでは、
ディンギーという4人乗りのボートを借りることができる。
これも免許は必要ない。魚釣りの道具とシュノーケルを借りて出発した。
周りが島に囲まれているので、海は波もなく穏やかだ。ときどき通る大きな船の
波に気をつけてさえいればいい。珊瑚の多い所でいかりを下ろして、しばらく
辺りを泳いでみた。シャコ貝の小さいのが口を開けていた。小さいとはいっても
30cmくらいはあった。ひだは鮮やかな緑色をしていた。その後、場所を
移動して今度は釣りをやった。竿は使わず、船から直接、針のついた糸を垂らす
だけの簡単な釣りだ。あたりはないのに少しずつ餌だけが取られていった。
何度か移動したり、泳いだりを交互に繰り返した。そのうち、とうとう獲物が
かかった。30cmくらいのタイのような魚
だった。その直後にもう一匹同じ魚がかかった。
とりあえず、食べてみようということで、ナイフでさばき始めた。
しかし、ナイフの切れ味が悪いのか、魚が堅いのか、なかなか切れない。
押さえつけると、グゥッと鳴いた。かわいそうだったが、5分くらいかかって
やっと頭をおとした。身はやはりタイに似たような味がした。海の塩味が
ちょうど良かった。魚を食べるのも結構大変だ。漁師さんの苦労が少しだけ
わかったような気がした。
この日は一日こうしてディンギーの上で過ごした。夕方頃のことだった。
場所を変えようと移動していたら、別のボートの近くを通りかかった。
それには男性二人が乗っていたが、なぜかこちらに大きく手を振っている。
初めは、単に挨拶しているのかと思い、手を振り返して通り過ぎようとしたが、
何か大声で叫んでいた。それで変だと思い、よく聞いてみると、「エンジンが
壊れた!引っ張ってくれ!」と言っていた。なんと彼らは
遭難していたのだった。
そこでロープを結び付けて、引っ張り始めた。彼らはタイタン島という別の島から
来ていたが、すぐ近くだったので、その方角へ向かった。しばらく進んでいると、
巡視船らしき船が近づいて、彼らの船を助けに来た。そこでロープをほどいて、
彼らは無事救出された。
それにしても、本当に予想もしないことが起きるものだ。
- パドル・スキーとウィンド・サーフィン
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ハミルトン島のビーチではパドル・スキー
やウィンド・サーフィン
を借りることもできる。パドル・スキーは一人乗りのカヌーのようなもので
とても簡単だった。友人Sはウィンドウ・サーフィンを以前、習った経験が
あったので、久しぶりに挑戦した。風はそんなになく、波も穏やかだったが
結構苦戦しているようだった。しばらくして、僕も交代して、少しやらせて
もらった。僕はウィンド・サーフィンは初めてだったので、友人Sに言われる
ままにやってみたが、ボードの上でバランスを取りながらセールを起こすのが
やっとだった。本当に10秒か20秒姿勢を保つだけで、精一杯だった。
やはり、何事も初めは難しいものだというのを、あらためて実感した。
とても疲れた。でも楽しかった。
本当はカタマランという双胴船の
小型のヨットを借りたかったが、初めての人は講習を受けなければならないので
あきらめることにした。
潮が引いているときは、このビーチでもシュノーケルを楽しんだ。
また、ビーチのすぐ横にプールもいくつかあって自由に泳げる。
レストランもオープン・テラスになって、プール・サイドとつながっている。
プールの真ん中にバーがあったりして、泳ぎながら注文できるようにも
なっていた。
- ワイヤー・フライヤー、ゴルフ、ゴーカート
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ハミルトン島にはマリン・スポーツの他にもいくつか楽しめるものがあった。
ワイヤー・フライヤーという
ワイヤー付きのハング・グライダーをやってみた。高台のところから、森の上を
飛べるようになっている。ワイヤーで吊り下げられているので、安全だが
ハング・グライダーをやっているような雰囲気は味わえる。
生まれて初めて、ゴルフの打ちっぱなし
もやってみた。友人Sも20年くらい前に父親に連れられていったきりだと
いっていたが、そのときのかすかな記憶をたよりに打ち方を教えてくれた。
何度かの練習(空振り)の後、何とか打てるようにはなった。
風が強く向かい風だったので、そんなには飛ばなかったが、まあまあ楽しめた。
その後は、ゴーカートもやった。
誰もやっている人はおらず、係りのおじさんが暇そうにしていた。
コースも貸し切り状態だったので、調子に乗って20分間もやることにした。
結構パワーのあって疲れる。10分くらい経ったとき、急に友人Sが
スピードを落とした。どうしたのかと思って近付いてみると、なんと車酔いで
気分が悪くなっていたのだった。それでもなんとか20分間完走した後には、
すっかり伸びていた。確かに、今まで20分も連続でゴーカートをやった
ことはなかったので、腕や首筋がかなり疲れていた。8時間耐久レースなど
とても無理だということがわかった。
- 素晴らしき星の世界
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ハミルトン島に行ってからは、雲が多くて、全天がすっきり晴れるという
ことはほとんどなかった。夜に星を見ようとでかけても、雲の間にのぞく
おぼろ月夜が見えるだけだった。レストランの裏の方で、月を眺めていると
片付けをしていたウエイターらしい人が近付いて来て、声をかけて来た。
彼も「きれいだ。素晴らしい。」と言っていた。
しかし、最後の日は一日中快晴だった。その晩は展望台のある広場で
天体観測会があると聞いていたので、
行ってみることにした。
広場で快適に寝転べるように、部屋にあったクッションを黒いポリ袋に
入れて、こっそり持ち出した。展望台のところには、数人の人がいた。
天気もよくて月もまだ出ておらず、天の川がはっきりと見えた。
条件はとてもよかったのに、なぜか観測会は始まらなかった。そこには
望遠鏡の入っているドームもあったので、期待していたのに残念だった。
しばらくすると、みんなはあきらめて帰って行ったが、僕らはそこで
寝転んでいた。木星が頭上近くに輝き、
土星と火星
がそれに続いて並んでいた。
特に木星は今が一番明るい時期で、−2等級くらいでひときわ輝いていた。
展望台の広場は高台の上にあるので、かなり視界が開けている。
緯度は南回帰線のあたりなので、太陽や惑星はほぼ真上を通り、
他をあまり知らないせいもあるが、日本でも見なれた星座がよく見えた。
白鳥座は日本で見るより北を飛び、白鳥座のデネブ、琴座のべガ(織り姫)、
わし座のアルタイル(彦星)を結んだ夏の第三角形
も見える。
さそり座が西の空に沈み、南には、南のうお座のフォーマルハウトという
一等星が光っていた。やがて東の空からオリオン座が登ってきて、
スバルやシリウスもよく見えた。ちょうど、夏から秋を越して冬の星座までが
見えたことになる。
南十字星やマゼラン星雲のような、南半球からしか見えないような天体は
残念ながら見えなかった。しかし、久しぶりに満天の星を見ることができて
良かった。
展望台広場は明かりがなくて本当に真っ暗だった。そこで寝転んで星を見ていると、
突然手のひらに何かが飛び乗って来た。びっくりして跳ね起きて、ライトで照らして
みると、そこには5cmくらいのカエルがいた。これには本当にびっくりした。
カエルの方もびっくりしただろうが…。
〜第五部へ続く〜
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