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オーストラリア紀行

第四部:ハミルトン島編
  1. ハミルトン・アイランド・リゾート
  2. 魚釣りとシュノーケリング
  3. パドル・スキーとウィンド・サーフィン
  4. ワイヤー・フライヤー、ゴルフ、ゴーカート
  5. 素晴らしき星の世界

ハミルトン・アイランド・リゾート
その日は朝5時代の飛行機に乗るため、めちゃくちゃ早く起きないと いけなかった。タクシーを飛ばして空港につくと、日本人の芸能人関係の スタッフがいた。知らないアイドルらしい女の子を先頭に、数人の男の子、 それにカメラクルーたちがいた。朝早いせいか、若いタレントたちはだるそうに していた。ともかく、彼らと同じ飛行機に乗ってハミルトン・アイランドへ 向かった。どこかで撮影していたのか、あるいはもう収録は終わっていたのか? その後、彼らと会うことはほとんどなかった。
ハミルトン・アイランドはグレート・バリア・リーフの中で最もメジャーな リゾートの島だ。泊まるはずの宿は一番安いココナッツ・バンガローで予約 していたのに、なぜか手違いで リーフ・ビュー・ホテルの14階になった。 14階からの眺めはすばらしい。キャッツ・アイ・ビーチと呼ばれるビーチは 海の色が一日の間に様々に変化することから、その名前がついたらしい。 確かに遠浅の海なので、塩の満ち引きによって海の色が変わる。その様子が ホテルのバルコニーからよく見えた。また、バルコニーで景色を眺めていると 黄色いトサカを持った白いオウムが やってくる。人間がいると何か餌をもらえると思っているらしい。 本当は餌をやってはいけないが、少しだけクッキーのかけらなんかをあげると、 あっという間に10羽くらい集まってくる。日本でいえばちょうどハトのような 感じだ。
ここでは、バギーを借りることができる。 これは電動のゴルフ・カートで免許不要だ。リゾートと言っても、島の大部分は自然 のままで、ホテルを中心にした一部だけが開発されている。だからこのバギーで十分 その辺りを移動できる。とても便利だった。

魚釣りとシュノーケリング
港に行けば、ヨットが停泊している。ここでは、 ディンギーという4人乗りのボートを借りることができる。 これも免許は必要ない。魚釣りの道具とシュノーケルを借りて出発した。 周りが島に囲まれているので、海は波もなく穏やかだ。ときどき通る大きな船の 波に気をつけてさえいればいい。珊瑚の多い所でいかりを下ろして、しばらく 辺りを泳いでみた。シャコ貝の小さいのが口を開けていた。小さいとはいっても 30cmくらいはあった。ひだは鮮やかな緑色をしていた。その後、場所を 移動して今度は釣りをやった。竿は使わず、船から直接、針のついた糸を垂らす だけの簡単な釣りだ。あたりはないのに少しずつ餌だけが取られていった。
何度か移動したり、泳いだりを交互に繰り返した。そのうち、とうとう獲物が かかった。30cmくらいのタイのような魚 だった。その直後にもう一匹同じ魚がかかった。 とりあえず、食べてみようということで、ナイフでさばき始めた。 しかし、ナイフの切れ味が悪いのか、魚が堅いのか、なかなか切れない。 押さえつけると、グゥッと鳴いた。かわいそうだったが、5分くらいかかって やっと頭をおとした。身はやはりタイに似たような味がした。海の塩味が ちょうど良かった。魚を食べるのも結構大変だ。漁師さんの苦労が少しだけ わかったような気がした。
この日は一日こうしてディンギーの上で過ごした。夕方頃のことだった。 場所を変えようと移動していたら、別のボートの近くを通りかかった。 それには男性二人が乗っていたが、なぜかこちらに大きく手を振っている。 初めは、単に挨拶しているのかと思い、手を振り返して通り過ぎようとしたが、 何か大声で叫んでいた。それで変だと思い、よく聞いてみると、「エンジンが 壊れた!引っ張ってくれ!」と言っていた。なんと彼らは 遭難していたのだった。 そこでロープを結び付けて、引っ張り始めた。彼らはタイタン島という別の島から 来ていたが、すぐ近くだったので、その方角へ向かった。しばらく進んでいると、 巡視船らしき船が近づいて、彼らの船を助けに来た。そこでロープをほどいて、 彼らは無事救出された。
それにしても、本当に予想もしないことが起きるものだ。

パドル・スキーとウィンド・サーフィン
ハミルトン島のビーチではパドル・スキー ウィンド・サーフィン を借りることもできる。パドル・スキーは一人乗りのカヌーのようなもので とても簡単だった。友人Sはウィンドウ・サーフィンを以前、習った経験が あったので、久しぶりに挑戦した。風はそんなになく、波も穏やかだったが 結構苦戦しているようだった。しばらくして、僕も交代して、少しやらせて もらった。僕はウィンド・サーフィンは初めてだったので、友人Sに言われる ままにやってみたが、ボードの上でバランスを取りながらセールを起こすのが やっとだった。本当に10秒か20秒姿勢を保つだけで、精一杯だった。 やはり、何事も初めは難しいものだというのを、あらためて実感した。 とても疲れた。でも楽しかった。
本当はカタマランという双胴船の 小型のヨットを借りたかったが、初めての人は講習を受けなければならないので あきらめることにした。
潮が引いているときは、このビーチでもシュノーケルを楽しんだ。 また、ビーチのすぐ横にプールもいくつかあって自由に泳げる。 レストランもオープン・テラスになって、プール・サイドとつながっている。 プールの真ん中にバーがあったりして、泳ぎながら注文できるようにも なっていた。

ワイヤー・フライヤー、ゴルフ、ゴーカート
ハミルトン島にはマリン・スポーツの他にもいくつか楽しめるものがあった。 ワイヤー・フライヤーという ワイヤー付きのハング・グライダーをやってみた。高台のところから、森の上を 飛べるようになっている。ワイヤーで吊り下げられているので、安全だが ハング・グライダーをやっているような雰囲気は味わえる。
生まれて初めて、ゴルフの打ちっぱなし もやってみた。友人Sも20年くらい前に父親に連れられていったきりだと いっていたが、そのときのかすかな記憶をたよりに打ち方を教えてくれた。 何度かの練習(空振り)の後、何とか打てるようにはなった。 風が強く向かい風だったので、そんなには飛ばなかったが、まあまあ楽しめた。
その後は、ゴーカートもやった。 誰もやっている人はおらず、係りのおじさんが暇そうにしていた。 コースも貸し切り状態だったので、調子に乗って20分間もやることにした。 結構パワーのあって疲れる。10分くらい経ったとき、急に友人Sが スピードを落とした。どうしたのかと思って近付いてみると、なんと車酔いで 気分が悪くなっていたのだった。それでもなんとか20分間完走した後には、 すっかり伸びていた。確かに、今まで20分も連続でゴーカートをやった ことはなかったので、腕や首筋がかなり疲れていた。8時間耐久レースなど とても無理だということがわかった。

素晴らしき星の世界
ハミルトン島に行ってからは、雲が多くて、全天がすっきり晴れるという ことはほとんどなかった。夜に星を見ようとでかけても、雲の間にのぞく おぼろ月夜が見えるだけだった。レストランの裏の方で、月を眺めていると 片付けをしていたウエイターらしい人が近付いて来て、声をかけて来た。 彼も「きれいだ。素晴らしい。」と言っていた。
しかし、最後の日は一日中快晴だった。その晩は展望台のある広場で 天体観測会があると聞いていたので、 行ってみることにした。 広場で快適に寝転べるように、部屋にあったクッションを黒いポリ袋に 入れて、こっそり持ち出した。展望台のところには、数人の人がいた。 天気もよくて月もまだ出ておらず、天の川がはっきりと見えた。 条件はとてもよかったのに、なぜか観測会は始まらなかった。そこには 望遠鏡の入っているドームもあったので、期待していたのに残念だった。
しばらくすると、みんなはあきらめて帰って行ったが、僕らはそこで 寝転んでいた。木星が頭上近くに輝き、 土星火星 がそれに続いて並んでいた。 特に木星は今が一番明るい時期で、−2等級くらいでひときわ輝いていた。 展望台の広場は高台の上にあるので、かなり視界が開けている。 緯度は南回帰線のあたりなので、太陽や惑星はほぼ真上を通り、 他をあまり知らないせいもあるが、日本でも見なれた星座がよく見えた。 白鳥座は日本で見るより北を飛び、白鳥座のデネブ、琴座のべガ(織り姫)、 わし座のアルタイル(彦星)を結んだ夏の第三角形 も見える。 さそり座が西の空に沈み、南には、南のうお座のフォーマルハウトという 一等星が光っていた。やがて東の空からオリオン座が登ってきて、 スバルやシリウスもよく見えた。ちょうど、夏から秋を越して冬の星座までが 見えたことになる。
南十字星やマゼラン星雲のような、南半球からしか見えないような天体は 残念ながら見えなかった。しかし、久しぶりに満天の星を見ることができて 良かった。
展望台広場は明かりがなくて本当に真っ暗だった。そこで寝転んで星を見ていると、 突然手のひらに何かが飛び乗って来た。びっくりして跳ね起きて、ライトで照らして みると、そこには5cmくらいのカエルがいた。これには本当にびっくりした。 カエルの方もびっくりしただろうが…。

第五部へ続く〜

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