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オーストラリア紀行

第一部:旅立ち編
  1. エーゲ海へ行こう?
  2. 多民族主義と白豪主義
  3. ギターを持っていこう!
  4. いざ、オーストラリアへ

エーゲ海へ行こう?
あれは8月頃だったろうか?大学時代からの友人Sと旅行の話を具体化する ことになった。
彼は毎年、彼女と海外旅行していた。しかし、今年は彼女が仕事の都合で 休みを取れず、フィジーに行きそびれてしまったのだった。
まずはコーヒーを飲みながら旅行ガイドを読める旅行代理店Mツアーで 目的地選びから始まった。「とにかく暖かいところがいい。どちらかというと 山より海がいい。夜も楽しめるところがいい。」という彼と、「どうせなら ちょっと変わったところがいい。自然の多いところがいい。」という僕の要求を 同時に満たすことは、そうた易いことではなかった。そうした中でようやく 歩み寄った結論が、エーゲ海だった。
しかし、僕は「ギリシャに行きたい」と言い、彼は「トルコがいい」と言う。 僕は彼がトルコの地下都市に興味を持っているのにあきれ、彼は僕がギリシャ 文字のあふれる街を歩くとわくわくするというのにあきれていた。
そこで、さらにガイドブックを何冊か買い込み、検討を重ねた結果、ギリシャの ミコノス島をメインにして、トルコのイスタンブール経由で行くというプランが なんとかまとまった。旅行はパックツアーでなく、手配旅行(宿と飛行機だけ 手配してもらう)にしようと決めていたので、日程や宿までだいたい決めて から再び旅行代理店に行くことになった。しかも、先ほどのMツアーではなく、 友人Sがいつも利用しているG大陸という小さな代理店に…。
しかし、申し込みの2、3日前のことだった。M日新聞にキプロス島をめぐって ギリシャとトルコの緊張が高まっている というニュースが載った。キプロス島はギリシャ系住民とトルコ系住民が住んで いる共和国だが、そこにトルコがミサイル配備を進めているということで、 少しもめていたのだった。古くはトルコのオスマン帝国がギリシャを支配していた 時代や歴史的背景もあって、ギリシャ住民とトルコ住民の間には根強い対立感情が 残っているようだ。外務省から出される警告リストもチェックしたが、トルコは 注意喚起(いつも出ている)、ギリシャは警告なしということで、一応、さほど 問題はなさそうだったが、まあ、エーゲ海はあきらめようということになった。
おかげで、せっかく僕と友人Sの緊張は解消しつつあったのに、ここに来て 振り出しにもどってしまった。
そこでやむなく、第二候補だったオーストラリア が持ち上がって来たというわけだった。
しかし、また、ガイドブックを買って読みあさるというところから始めなくては ならなくなってしまった…。

多民族主義と白豪主義
オーストラリアを調べているうちに、ポーリン・ハンソン議員の率いる ワン・ネイション党を中心として、白豪主義 (白人中心主義)が盛り上がりつつあるということがわかった。 友人Sは漫画の「おいしんぼ」(原作者がオーストラリアに住んでいる)にも そのことが取り上げあれているのを見つけてきた。現代のオーストラリアは ヨーロッパからの移民を中心とした多民族国家だが、原住民であるアボリジニを 始め、アジア系の移民もいる。そのため、多民族がお互いの文化をみとめながら、 共存共栄できるように世界でも先端を行くような法整備がなされているようだ。 そうした流れは多民族主義(マルチカルチャリズム) と呼ばれている。 しかし、経済の低迷が続き、失業者が増えたり、治安が悪化してくると、 昔の白豪主義が復活してくることがある。海外からの移民の規制を厳しくして、 国内の安定を図ろうとする動きが、その原動力になる。また、オーストラリアが 戦争をした相手国は、唯一日本だけという事実もあり、年配の退役軍人などの 人の中には、今でも日本に対して悪い感情を持っている人もいるという。
とにかく、こうしたマイナス面は今回、気にしないことにした。 オーストラリアの学生の間では、外国語としては日本語を勉強するのが一番 人気あるらしい。要するに色んな人がいるということだ。 万一、日本嫌いの人に会ったとしても、それが実際にどんなものか、身をもって 体験し確認してみるのも良い経験だろうということになった。

ギターを持っていこう!
旅行に直接関係ないがギターを持って いこうということになった。現地でリゾート気分を味わいながら弾くというのも、 普通の旅行と違って、また一興というものだ。友人Sは、ギタレレ(ギター+ ウクレレ)を持っていたが、僕はたまたま見つけた子供の練習用の小さい クラッシクギターを買って持って行くことにした。
空港の税関で怪しまれることを覚悟して…。案の定、僕は行きにブリスベンで 荷物を調べられ、友人Sは帰りに関空で調べられた。しかし、別にどうという ことは無く、取調室に連れて行かれるようなことも無かった。
現地では、あまりテレビは見なかった。その代わり、ちょっとした暇な時間には 持っていったギターを弾いた。
それは本当に安らぎの時間だった。

いざ、オーストラリアへ
「今回のツアーのテーマは、自然との触れ合いやな!」ガイドブックを見ながら 友人Sは盛り上がっていた。そこにはコアラを始め、ワラビーやポッサムという オーストラリア独特の動物たちの愛らしい写真があった。僕はスキューバ・ ダイビングに興味があったが、友人Sはライセンスを持っていないし、 お金もかかるので、やや控えめにすることにした。
プランとしては、ケアンズとクランダで 前半を過ごし、後半はグレートバリアリーフの一角にある ハミルトン島で滞在することになった。 帰りの飛行機の都合でシドニーにも 一泊することとなった。
旅費は宿代、旅行保険込みで約24万円弱だった。オーストラリア・ドル(A$) は81円くらいだった。夜行性動物ツアー、熱気球、リバー・ラフティング、 アウターリーフ・クルーズなどのオプション・ツアーはすべて現地で 申し込むことにした。
会社の仕事のやりくりも大変だった。友人Sの方は仕事が暇な時期で、全く 問題なかったが、僕の方はいろんな人に機会ある度に長期休暇の予定を宣伝して まわった。旅行前日まで忙しい状態が続き、必死でばたばたしていたので、 午後6時にすべてが片付いたときは、一瞬呆然としてしまった。
旅行の準備も整い、いよいよ、オーストラリアへ飛ぶ日が来た。
10月3日(土)の夜に関空から飛んで、ブリスベン経由でケアンズに向かった。 機内の映画ではGODZILAをやっていた。日本語の吹き替えは、どうも オーストラリア人がやっているようで、翻訳も発音も頑張ってるけど、ちょっと おかしかったりで、それがおもしろかった。それでも日本人の英語にくらべたら、 ずっとましなんだろうけど…。ケアンズには翌日、昼ころ着いた。 クイーンズランド州は日本との時差+1時間なので、時差ぼけも全くなかった。 こうして、全行程13日間の旅行は始まった。

第二部へ続く〜

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