D,Dragonetti 

[Duett for Cello and Contrabass]

1楽章Adagio、2楽章Allegro non tanto〜Minore~Maggiore

G,Rossini

[Duetto per Violoncello e Contrabasso]

1楽章Allegro、2楽章Andante molto、3楽章Allegro

「ロッシーニとドラゴネッティについて」記・長谷川悟

 1824年に作曲されたG・ロッシーニ(1792-1863)の「チェロとコントラバスの為の二重奏 ニ長調」は未出版の作品で、それはロンドンの有名な直筆の楽譜を収集するコレクター、「サロモン・コレクション」に眠っていた。

 このオリジナルの楽譜に光が当たって実際の楽譜として生きた活動を始めたのは1969年であり、楽譜が発見されるや否やイギリスでそれは出版された。

 デビット・サロモン卿(1797-1873)は銀行家でアマチュアのチェリストであった。

 彼の一つの願いは、歴史的に有名なあのコントラバスの名手、ドミニコ・ドラゴネッティ(1763-1846)とデュオで共演することであった。

 この目的の為にロッシーニは作曲した訳だが、この曲は「ロンドン・ミュージカル・ソサエティ」の会合でだだ一回世界初演がされただけで終わってしまった。

 これらのデュオの演奏スタイルはその当時、コントラバスがいかに奏法の上で発展して高度なものになっていたかを証明している。

 最初ドラゴネッティによってイタリア式のアチェレランドスタイルを示されたロッシーニは、この様式を最大限に拡大して用いている。しかし、この奏法は、ドラゴネッティによって考案された弓によって可能になったのである。

 その弓と言うのは以前のものより短く、強力であるため、打弦に対してもしっかり音が出るようになったのである。

 ベートーベンはドラゴネッティのコントラバスに魅せられ、交響曲第5番以降のバスパートに高度な演奏を求めるようになった。特に第9番のバスはドラゴネッティの産物とも言える。

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