法泉院檀信徒ご一同様

 

神戸大学病院第2内科病棟833号室にて

平成十二年八月十日

法泉院住職 長谷川慶悟

 残暑お見舞い申し上げます。お盆までに退院出来ると思っていましたが、未だ入院中です。しかも、安静を強いられ、新佛様の逮夜から法事、また、お盆参りから施餓鬼、教信寺復興事業まで、ことごとく法務執行不可能な状況と相成り、ご迷惑おかけしました事お詫び申し上げます。

 殊更、檀信徒の皆様には大きな不安やご心配をお掛けした次第です。そこで、この病室より近況報告をさせて頂く事にしました。

 去る1月6日慶明前住職が遷化されましてから、愚僧の私は音楽の館から法泉院庫裏の書斎に生活を移し、父の残した文献や書籍を本棚より順次拝読させて頂き丁度半年が過ぎました。お陰様で前住職が私達に伝えたかった事は何か、朧気(オボロゲ)ながらも少し見えてきた様な気がしてきたところでした。

 書斎に籠もったきりで、教信上人の称名念仏の伝播ルーツや教信上人以後の日本浄土思想の流れを探求することに没頭し、不眠、不摂生が、体力の低下を著しく冒し、6月に入って体調が悪いかなと思いきや、6月15日よりいきなり40度を越える高熱が続き、やむなく加古川市内の私立病院に入院しました。入院二週間目より熱が若干下がり39度前後になりました。入院三週間目になっても熱が下がらず生命危険信号、神戸大学病院に移され、今までとは別の抗生物質の点滴が効いたのか二日目より熱は微熱まで下がりました。

 両病院で様々な検査をしましたが、未だに高熱の原因の元となる菌が判明せず、現在もあらゆる方面からかなりハード・スケジュールで検査をしていただいています。因みに、神大病院に移ってからは、毎朝五時に採血、朝食後点滴、検便、検尿、その後、造影剤を注射してCTR、MRI、レントゲン、整形外科で腰の検査、眼科で眼圧の検査、ある日は、朝食と昼食を絶食して胃カメラ飲んだり、またある日には内視鏡と、検査ずくめでした。

 お陰様で漸く7月末に検査の結果が出ました。まず、一番の高熱が続いた原因は、何らかの菌が脊髄の4番目に巣を作り、骨髄から頭部髄膜や各臓器に血流に乗って菌が繁殖し、MRIの断面写真では骨を溶かしてしまっている事が判明、続いて肝臓にも転移した膿種を腹部エコーで発見されました。また、血液異常は加古川の病院で敗血症と診断されていました。

 1ヶ月も高熱が続き普通なら生命が危険であったと、今になって主治医教えられ、事の重大さを知らされた次第です。

 8月に入って平熱となり、これで、何とか盆参りも出来ると安堵していたのですが、「背骨が再生されていない状況で無理をすると圧迫骨折し、一生後遺症に悩まされるから、今月中は安静にすることが仕事だ」と医者に言明された次第です。

 今後の法務や多くの手がけている仕事を遂行する為にも、やはり身体が資本、何の保証もない身の上ですから完治すべきと心得、皆さんにご迷惑をお掛けする事も省みず、闘病生活を送っています。今しばらくのご猶予、ご容赦下さい。

 尚、盆参り、施餓鬼法要は、西川慶宣法兄様を中心に法泉院慶明前住職弟子、寺族一丸となり、例年通り御奉仕させて頂きます。何卒、ご理解ご協力の程、宜しくお願い申し上げます。 南無阿弥陀仏 合掌

もどる