「基礎練習で、最も効果的な音階練習」

(長調編)

ストリング7月号執筆原稿

 皆さん今日は、お元気でしょうか?

学生読者諸君は新学期も残りわずかで、充実した日々を送っていることでしょう。

 まさか、連休明けの5月病が続いて、ぼーっとしている人は、ストリング読者の中にはいないことと思います。社会人の人も仕事になれて、楽器の練習時間が取れるようになったと思います。

そこで、今回は全ての基本練習で、最も効果的な音階練習について進めてみたく思います。

 初心者の人はハーフポジションの中で弾けるB-Dur(変ロ長調),F-Dur(ヘ長調)の1オクターブの練習から始めて下さい。

 掲載の音階パターンで、中級者は2オクターブ、上級者は3オクターブと、全調からまずは長調の音階を選んで順番に挑戦します。

 掲載する楽譜は私が留学時代(当時21〜24歳)に、シュトライヒャー先生から頂いた音階練習用の貴重な楽譜です。楽譜には、4分音符と8分音符でのみ音階が書かれていますが、これは楽譜のスペースの問題で全パターンが書けないからです。実際には駒の近くへ弓を下ろして、ゆっくりしたテンポで音程を確かめながら始めます。取り合えず、掲載の楽譜のリズムパターンをゆっくりから始め、運指を確認して下さい。その後で、色々なパターンを自分で作って練習すると効果的です。

例えば、最初は2分音符にスラーをかけて一弓で弾きます。

つまり、ボーイングは全音符のつもりで弾いて音は2つです。

つぎは、4分音符にスラーをかけて一弓で音4つ、3連4分音符にスラーをかけて一弓で音6つ、8分音符にスラーをかけて一弓で音8つ、3連8分音符で12、16分音符で16と増やしてみるのも、とても練習になります。

このとき、左手のポジションの形、右手の弓を返す瞬間まで、自然に上半身から腕の十分な重みを弓の毛にかけるようにコントロールしながら練習する事です。

 二つ以上の音がつながれば、メロディーになります。音程、メロディー、フレーズの全ての基本が音階です。

学生も社会人も、アマチュアもプロフェッショナルも関係なくこの音階練習を積み重ねた人が、最も信頼あるコントラバス奏者に成長する事でしょう。

 次回は全短調の音階です。

 この音階練習は一生楽器を弾く限り、続けなくてはならない習慣の様なもので、朝起きて顔を洗って歯磨きして、朝食を毎日食べるようなものです。

 よい、習慣をつけて下さい。悪い癖を直すのは、大変ですが、良い癖は、いつまでも自分にプラスαの効果をもたらしてくれます。

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