「ディッタースドルフ」

コントラバスとビオラの為のコンチェルタンテより終楽章

96"6月号原稿

 皆さん今日は、お元気ですか?

先月は、私的なウイーンから旅行記のお便りで、レッスンが中断してしまいました。

 1ヵ月とびましたが、先々月の第3楽章に続いてディッタースドルフの「コントラバスとビオラの為のコンチェルタンテ」終楽章を今月の主題に戻します。

楽章の間で、誌上レッスンが1回中断したこと許して下さいね。

しかし、ウイーンに一月滞在したお陰で、元、ウイーン・フィル主席で、ウイーン国立音楽大学教授、そして、何よりも今世紀最高の、あの偉大なるコントラバス独奏者、L,シュトライヒャー教授を、15周年記念にあたる今年の96"国際コントラバス・セミナーin JAPANにお招きする絶好の機会を、読者の皆さんの為に得ることが出来たのですから・・・・・・・・。詳しくは、本文最後にご案内します。

 さて、第四楽章Allegretto ma non Troppo8分の6拍子と、指定がありますが、テンポ感は2拍子でとらえて下さい。この楽章もヴィオラとの受け答えが大変重要です。特にこの楽章は、ダイナミクス(fとpの対比)そして、躍動して流れるリズム感が表現できるか否かで内容が必然的に決まってしまいます。この曲に限らず、終楽章の完成度が、その曲、或いはその演奏会全体の良し悪しに影響します。フィナーレにまで神経がいきとどいた練習、余裕のあるプログラム構成がひと味違った最高の演出になるでしょう。

 冒頭、3回のダウンボウで弾く4分音符は左手ポジションの形を崩さないでしっかり押さえてから、右肩から腕全体のスピードある全弓ボーイングで振り切ります。すると、コンバス・ビオラ・ピアノだけなのにオーケストラの様に豊かに響くでしょう。

ただし、3つの音の強さ、響きの長さを3人で揃えましょう。

3小節目のアウフタクトから始まるフレーズは、冒頭の3つの音のこだまです。

 この曲の印象的なところは24小節からコントラバスとヴィオラが受け答えするルネッサンス・バロック音楽に用いられる中太鼓の音です。小飾音から3・4拍の8分音符を左手の2指から4指で弦を叩くようにして、右手はコンパクトに少し指板よりに圧力を加えて弾きます。すると、トン、トン!と太鼓を鳴らした感じがでるでしょう。

ビオラもそれに答え此方と遠くで合図を送りあっている感じです。

 30小節からは、少し難しいですからゆっくり分解して、練習しましょう。いきなり続けて弾くと、かえって悪い癖が付いてしまい後で困るからです。重要なことは、左手のポジションの形を崩さないでG線D線を一度に押さえてポジション移動の練習です。

 リピートした後、54小節から2小節単位で3人の掛け合いです。先にも述べましたが、この終楽章は単純な構成ですから、pとfの差(ダイナミクス)を3人で相談の上、明確に揃えて、楽しさが聴衆に伝わるように、ちょっと大胆に表現して下さい。

 この曲最後の3つの音は冒頭3つの音と同じく、響きの長さを揃え、良く響く宮廷のサロンで優雅に格好良く弾き終えるイメージです。「終わりよければ全て良し」良いことわざですが、決して1,2,3,楽章での失敗を補えると言う意味ではありません。

 さて、15周年記念「国際コントラバスセミナー」からのお知らせです。

1981年から毎年加古川の教信寺で開いてきたKbセミナーも15年目を迎えます。

 小さな夏合宿からスタートしたセミナーに参加したコントラバスを愛する学生は1000名を超え、これまでの参加者の中にはすでに各地のプロ・アマ、オーケストラで活躍し、彼らの弟子が参加する時代になっています。また、特別講師としてお招きしたのは、元,ウィーン・フィル主席のL・シュトライヒャー、元,ベルリン・フィル主席のR・チェパリッツ、イタリアのF・ペトラッキ、ウィーン・フィルのM・サガト、ケルン放響の河原、そして、元,N響主席の中、元,京響主席の西出、諸先生から日本の殆んどの主要オーケストラ奏者まで益々広がっています。この、参加者全員で作り上げてきた15年目の夏のセミナーにヴィーンから、再びL・シュトライヒャー教授が伴奏者と共に全日参加して頂けることになりました。

 そして、11月にはイギリスから、A・ダンカンの公開講座も開催します。

 

 恒例の夏のセミナーは8月19日〜21日(2泊3日)で、場所は、兵庫県の加古川から約30Km北上した所にある八千代町営「エーデルささゆり」と言うアルプスの山麓にありそうなペンション風の素敵なリーゾート地です。震災の影響で昨年同様今回も寺からでて施設を借りて開催します。食事、部屋割りの関係上、参加希望者は、必ず電話で、Kbセミナー事務局までお申し込み下さい。

[参加費]レンッスン、宿泊、食事、公開講座、講師演奏会を含めて 一人:28.000円

[お問い合わせ、お申し込み]  TEL=0794-25-1350 FAX=0794-22-0902

[国際コントラバスセミナーin JAPAN] (詳しい参加要項をお送りします)

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