「J.S.バッハ」ガンバソナタ第2番より

3.Andante/終楽章.Allegro Moderato

ストリング96年1月号原稿

 

 バッハのガンバソナタ1.2楽章は如何でしたか?バロックの香り高き音楽になったでしょうか・・・・。 今回は続いて3.4楽章に入ります。

 終楽章は、難易度が高いのですが、是非この作品を貴方のレパートリーの1つにして下さい。必ず貴方の音楽に大きな転換と幅をもたらすでしょう。

 前回、ガンバ、ヴィオール属とコントラバスの関係、近親度を説明しましたが、決定的な、もう一つ大きな共通点を申します。ヴァイオリンや現在のヴィオラ、チェロはネックからボディーの肩に移るラインが殆ど直角でいかり肩であるのに対し、ガンバ属と現在のコントラバスは肩がかなり落ちているなで肩であることです。

 これは、奏法に関係があります。楽器を真っ直ぐ立てて演奏する為、指板の後ろに親指がいたネックポジションから、親指が指板の上に出てきて指板の切れ先まで使うハイポジションでは、肩が張っているいかり肩では、肘や腕が肩に当たって邪魔になるからです。因みに、チェロは真っ直ぐ立てていますが、椅子に座って前後に傾けて演奏しますからいかり肩でも左腕の邪魔にならないのですね。最近、ゲーリー・カーやペトラッキ風に可成り楽器を傾けてチェロ的に弾く人が多くなりましたが、シュトライヒャーやツェパリッツの様に楽器を垂直に立てて弾く方が、このガンバソナタの場合にはどちらかと言えば、個人的見解ですが、正統的かもしれませんネ。

 さて、本題に入りましょう。楽譜をご覧下さい。前回の楽譜同様、実際に弾くのは譜面のオクターブ上です。もちろん初心者は、このまま低い音域で弾いてもかまいません。ただし、フィンガリング(運指番号)は、8va上の番号ですので、お間違いの無いように認識して下さい。

 3楽章Andanteのフレーズのスラーで、弓がどうしても保たない人は、取り合えずこのフレージングで挑戦をした後、短いフレージングに分けてみて下さい。ただし、音楽の流れが著しく突出するようでは困ります。細心の注意が必要です。優雅にたっぷりと歌い込んでみましょう。

 終楽章Allegro Moderatoは、速やかで的確な左手ポジション移動、右手人差し指の運動から作り上げる16分音符のクリアーなきざみ運動と、8分音符の躍動感が、重要なポイントです。曲の中でこれらの問題点に出くわしたならば、毎回その部分だけをピックアップして、左手、右手のその箇所が弾ける為の反復準備運動をしてから、音程、リズムを正確に取る練習方法が、結局は上達の早道になるのです。「急がば回れ」練習です。

 さあ、これで、ガンバソナタNo.2が、貴方の重要なレパートリーの1曲になったことでしょう。リサイタルを開くようになったなら、プログラムの1曲目に取り入れて下さい。そんなチラシを見かけたら、是非、聴きにいってみたく思います。

 また、読者の皆さんで、これまでのストリング紙上レッスンで取り上げた曲の、ソロ演奏や音大での試験曲などで、批評とか大それたことでない、私の感想などを聞いてみたいと思われる方や、初心者の素朴な疑問とか、何か質問のある方は、お気軽に録音テープか、手紙を直接私宛に送って下さい。時間の許す限り、お返事いたします。

 

 宛先は、〒675 兵庫県加古川市野口町野口465 

FAX専用0794-22-0902

音楽の館コンサート協会内「国際コントラバスセミナーin JAPAN」代表 長谷川 悟 宛です。

P.s 景品や賞金はありません。あくまでも、ずっと読んで下さっている親愛なる読者の皆さんへの、私個人の感謝の気持ちです。また、テープ、質問の手紙は、返送しかねますので、予めご了承下さい。

コントラバスの楽しみへ、もどる