「J.S.バッハ」ガンバソナタ第2番より

1.2楽章・ADAGIOとALLEGRO

ストリング12月号原稿

 皆さん今日は、お元気でしょうか?今年も一年経つのが早かったですね。もう12月号を迎えてしまいました。

 読者の皆さんで、4月から始められた人、アマチュア・オーケストラで頑張っておられる方、音楽大学で卒業試験を迎えられる方、プロとして活躍されている方 それぞれに、今年一年でまた上達され、大きな成果を残されたことと思います。

 今回は、ちょっと難しいですがバッハのガンバソナタの第2番からADAGIOとALLEGROを勉強してみましょう。何となく秋も深まってくるとバッハが恋しくなるのです。まあ、バッハを聴くのと、弾くのでは大違いで、ましてや、人前で弾くとなると並大抵ではありません。有りとあらゆるテクニックを、動ではなく静として捕らえ、精神的にも演奏時は、聖者になって弾けるようチャレンジしてみましょう。

 ところで、このガンバと言う楽器はご存じでしょうか?

 ルネッサンス時代から現在に至る長い歴史を持つ楽器で、大きさ、演奏スタイルも様々でした。また、ヴィオールとも呼ばれ、現在のヴァイオリンの前身と言うよりは、現在のコントラバスやヴィオラのルーツに近いのです。特にコントラバスだけが、ガンバと同じ4度チューニングだったり、オールド楽器の裏板がヴァイオリンやチェロの様に丸くなく、平らな舟底になっているモノが多い所からもガンバの親戚であることが、うかがえます。ヴィオラ・ダ・ガンバと呼ばれる最初のヴィオラは現在のヴィオラの音域や、大きさを指し、又、バッハの時代は、ヴァイオリンの様な高い音域よりも、低く耳障りのよい音が好まれていたのです。たとえば、バッハのブランデンブルク組曲のオリジナルスタイルはガンバ、或いは現在のヴィオラで演奏されます。

 ヴィオールの仲間の中でもバス・ヴィオールと呼ばれている楽器は、ギターにあるような指板のフレットを取り外したり、エンドピンや糸巻きマシーンを改造して、現在のコントラバスとして数多く使われているモノもあり、ある意味でガンバ(バス・ヴィオール)は、コントラバスその物でもあると言えるでしょう。何枚かオリジナルのヴィオール属の写真を掲載します。ごらん頂けると、少し改造するだけですぐにコントラバスとして弾けそうな楽器もあるでしょう。

 写真のように、チェロより少し小ぶりのモノから、フルサイズのコントラバス位の大きさまで色々あります。私たちの楽器のルーツですから、皆さんも興味深く一度ガンバの演奏会をお聞きになることをお薦めします。

 前置きが長くなりましたが、ガンバソナタNo2を、練習してみましょう。

 フィンガリング、フレージングは、シュトライヒャー教授の手書きの楽譜に少し私なりに簡単になるように手を加えました。しっくりと時間をかけて練習してみて下さい。

アダージョは出来る限り弓を駒の方まで下げてロングトーンの練習をしてから始めてみましょう。弓を節約して使うことによりフレージングに余裕が出来てくるでしょう。

アレグロは、指板の切れ目と駒の中間の位置で弓をコンパクトに使い、発音をはっきり出して下さい。この曲の練習始めると、貴方も、良い意味での大人に、少し成長されたと、友達に思われるかもしれませんね。

 バッハの名曲ガンバソナタ第2番の本格的な生きな名演奏を目指し、読者の皆さんのバロック音楽に対するご健闘を、心よりお祈りいたします。

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