第14回 国際コントラバスセミナーの報告

 皆さんこんにちは、お元気でしょうか?

今年の夏も猛暑になり、お盆を過ぎても残暑が厳しかったですが、皆さんは、どの様な夏をお過ごしになったのでしょう。

 私は、ミュージカルのオケピットで42回公演を大阪でしながら、平和音楽祭で室内合奏と合唱曲の指揮と編曲、原爆被爆者が綴った詩と作文の朗読劇の公演にコントラバスでバッハの「ガンバソナタNo,2」や「ヴォカリーズ」「パヴァーヌ」等をソロ演奏で出演したり、室内楽演奏をする他に、お盆の檀家参り、そして、読者にもお馴染みの毎年夏に開催しているコントラバスセミナーと、体がボロボロになりそうでしたが、気合いで何とか乗り切ることができました。

 今回は、私のハードな夏休みの中で、読者の皆さんに一番興味のあるコントラバスセミナーの報告をお伝えいたしましょう。

 阪神大震災の影響で加古川の寺が使えないため、14年目にして初めて、公共のキャンプ施設を借りての開催でしたので、準備の都合上何かと不安材料があったのですが、どうにか参加者一同の協力で三日間を無事に過ごすことができました。

参加者は中学生から社会人まで幅広く、音楽大学生、一般大学オーケストラ団員を中心にセミナー出身のプロオケ奏者、専任講師、客演講師、真夜中のジャズ・プレーヤーを含めて80数名が参加しました。

キャンプ場の施設といっても立派なコンサートホール付きの研修棟をまるごと貸り切りましたので、今までよりスペース的にも余裕があり、お陰でコントラバスオーケストラも編成でき有意義なセミナーになりました。

 初日は開講式の後、講師演奏で始まりました。東フィルの甲斐沢氏と九響主席の深沢氏のチェコの作曲家による「コントラバス二重奏」を本邦初演、続いて元、N響主席の中博昭氏を加えて「ヴォルトン作曲の三重奏曲」、そして、中博昭氏の「ミニリサイタル」がオープニング・コンサートでした。

 レッスンをはさんで、夜の講師演奏は、大阪センチュリー響主席の奥田氏とセミナー代表の長谷川氏によるボッテシーニの「パッショーネ・アモローゾ」、大フィルの林氏と徳島文理大講師の幣氏を加えて「ブランビーのカルテット」とビゼーのカルメン組曲より「闘牛士」このメンバーにジャズの上山崎氏を加えて五重奏となり「ピンクパンサー」、フランスのバス・グループのオリジナル「LES CARGOS」と盛り沢山のプログラムで、講師たち全員で、楽しくアンサンブルをさせていただきました。

 演奏の後、外にでて恒例のバーベキューパーティーで参加者全員の自己紹介をしながら親交を深め、真夜中に大阪のライブハウスから駆けつけたジャズピアニストを交えてジャズ講師の演奏に参加者一同が酔いしれました。

 翌日、僅かな睡眠時間にもかかわらず、講師も参加者も早朝から、個人レッスン、個人練習に励み、夜は、60本のコントラバスが一同にステージに上がり、講師演奏で演奏したカルメンの「闘牛士」を長谷川悟指揮の元、コントラバス・オーケストラを編成。プロ奏者から音楽大学高学年がファースト、音楽大学低学年がセカンド、音楽高校、音大副科がサード、アマチュアオーケストラ団員がバスパートに別れ演奏しました。皆さんにこの時の勇ましいサウンドが想像できるでしょうか?

それはそれは、世にも恐ろしいサウンドと迫力でしたが、演奏は楽しく、それぞれのパートで練習した成果に皆満足していました。

その日の真夜中に、又々大阪のライブハウスから帰ってきたジャズプレーヤーの演奏を聴きながら睡魔に負け、ホールの客席で寝込んだ何人かはそのまま朝を迎えた様でした。

最終日は、朝10時から3時間半かけて、参加者全員の発表会をしました。

 毎年参加者の前向きなコントラバスに対する情熱と、努力が演奏に現れ、長時間にもかかわらず、講師を始め、参加者全員が熱心に一人一人の演奏に暖かい拍手を送りました。

美しいボーイングで開放弦だけを弾く初心者から、エチュード、ソナタ、独奏用小品、無伴奏組曲、協奏曲等のオリジナルから、シャンソン、ジャズなどのアレンジものの小品、そしてコントラバスの為の二重奏、三重奏、四重奏など、実にバラエティーに富んだプログラムになりました。

 掲載する写真から、本当にコントラバスが好きでたまらないと言った人達の情熱と、お互いを尊敬しあえる楽器を通じての仲間意識が芽生え、お陰で今年のセミナーも、成功裏に閉幕した様子がお伝えできたでしょうか。

 奏法や師匠、学校や地域、プロやアマチュア、クラシックやジャズ、性別や年齢が違っても、志を同じくする参加者が一同に、来年はもっと上達してこのセミナーに参加しようと心に決めて九州、広島、四国、岡山、関西、名古屋、関東各地へ帰っていきました。

 今回のセミナーに都合が付かず参加できなかった皆さんも是非、ジャンルを問わず尊敬しあえるたくさんの友達を作って、アンサンブルを楽しんで下さい。そこに、貴方のコントラバスの存在価値があるのですから。

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