「楽器の保管方法の緊急報告」

阪神大震災で被害を受けられたストリング愛読者の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

 阪神間の演奏者仲間や、知人、学生の中にも、命辛々逃げ出せましたが、楽器もろとも家屋が全壊した人たちも沢山います。また、それほど被害を受けなかった被災地の音楽家でも、精神的ショックが大きく楽器を出して弾ける状態でない人が殆どです。しかし、全国からの励ましの電話、FAX、救援物資の小包など、暖かいご支援のおかげで神戸も復興に向けて活力を取り戻しつつあります。

 全国のコントラバスファミリーの皆様からの、ご心配、ご支援、ご声援、誠に有り難うございました。

 震源地より20キロ離れた私の住んでいる加古川は、活断層とは逆の方向だったため家屋の被害は殆どなくて済みましたが、手にしてちょうど一年になるコントラバス(フィオリーニ)に、物が飛んできて下の横板に当たり5cm程穴があいてしまいました。3日後、大阪まで修理に車で行きましたが、普段走る道は寸断されている為に、かなり北側を迂回して、いつもの3倍の時間を掛けてたどり着き、私の楽器の主治医、山本氏に、無事その場で修理をしていただきました。

 おかげで、その後、このコントラバスでミニリサイタルを開き義援金募金チャリティー公演をさせて頂いています。

 まさか、阪神地区に地震など起ころうはずがないと無防備に楽器を保管していたことは否定できません。私を含め、阪神大震災を体験したコントラバス仲間のから、メッセージとして今回は、楽器の保管の仕方についてお話ししましょう。普段から気を付けていれば、ある程度回避できるはずです。

(1)ハードケース、ソフトケース、カバー等、練習が終わったら、面倒でも楽器を外的不可抗力から守る。(私の場合これで事故から回避できていたはずです。)

(2)保管する場所の上下、左右、前後にある程度スペースを取り危機を回避する。(他の物が動いて楽器に当たらないようにする為)

(3)立てかけて保管する場合、楽器スタンドに頼らず、丈夫な壁のコーナーを選び、ゴムチューブ、ひも等でネックを壁にくくり付ける。(国際コントラバスセミナーin加古川の講師の一人で北神戸に住む幣氏の愛機テストーレは、スタンドに立て掛けていた為、床に倒れ、その楽器の上に本棚が倒れ掛けてかなりのダメージを受けました。)

 あなたの街にも、今回のような大地震が決して起こらないとは言い切れません、命の次に大事な楽器を普段から心がけて守ってあげて下さい。

 全く常識的なことですが、以上の3点を注意すればある程度の災害からは、回避出来ると思います。私は、この常識的なことを怠っていました。

 とにかく、一刻も早く被災地の皆さんの精神的、物的、環境的な復活、そして、今回の災害を受けた音楽家達が元どおり演奏活動出来ることと、ストリング読者の皆さんの無事を祈ります。

 次回は、4月10日ウイーン、13日ベルリン、15、16、17日ブルガリア各地でコントラバスリサイタルを開く私のプログラムから曲を取り上げて誌上レッスンします。

コントラバスの楽しみへ、もどる