[2-Geki]  2劇通信・幕の内タケ第7号 1997年(平成9年)6月16日

  藤田潔・南濱睦深インタビュー
  きよし・むつみの談話室



  「流された」  96年 7月  大阪
  「騙された」  96年11月  大阪
          97年 3月  東京
  「やってもた」 97年 7月  大阪

きれいに「た」が並んだこの三部作。これまでのストーリーをおさらいしておくと...。新婚旅行の途中で無人島に流れ着き(流された)、その後離れ離れの二人は、記憶をなくした状態で病院で再会した(騙された)のでした。今回は、主役のきよしとむつみを演じる役者(藤田潔&南濱睦深)にクローズアップします。


−じゃあ、まず二人の役者遍歴から。

[藤田] 藤田 始めて10年を越えたね。こないだ8年前の公演ビデオを見てガクゼンとしたね。体が全然キレてんの。

−何の役の時?

藤田 原人。類人猿だよ。オノ持ってね、わけのわからない声出して暴れてた。

−出だしの頃は、動物系の役が多かったような。人間の役になったのは?

藤田 んー、ここ5年くらいじやないかな。知ってた?オレその間ずーっときよしっていう役名で変わらないんだ。

−じゃあ昔、ギターを抱えてアホな駄洒落言ってたのもきよしだし...。

藤田 チョンマゲ頭にのせて、シェークスピアを唸っていたのもきよし。

−では、南濱さん。昔の役とかを?

南濱 ええと、エースコックでしょ、カダピー大佐でしょ...。

−エースコックと言うのは?

南濱 見たままよ。スポンジの豚の鼻を付けて、中華鍋用のおタマを持つのよ。

−鳴くんですか?

南濱 あたりまえじゃない、ブーブーって。でも、誤解しないで。誰かと違ってデビューから人間の役だったわ。

−役名は?

南濱 ぜーんぶ、むつみ。

−私たちの台本書きは、想像力が貧困か、面倒臭がりのどちらかですね。

南濱 私は、後者だと信じているわ。

−そうそう、デビューしてから皆勤(連続全作品出演)だよね。

南濱 もう働き通し。それも早くから気がつくと狂言回し(ストーリーを転がす役。とても重要)をやってきたじやない。出番は多いし、大変よ。

−その甲斐あって、今やヒロイン。

南濱 でも今回の三部作のむつみは、ヒロインぽくないじゃない。よく走るし、転ぶし、笑いは取るしで。だから作品中のポジションは、これまでと変わらないと思ってる。

−では、ふたりに。この三部作になって、役者として変化したことは?

藤田 ふたつあります。ひとつは演出の意見をよく聞くようになったこと。それとアドリブのギャグを控えるようになった。ね、大きな進歩。

−今のきよしみたいな役で、ギャグ満載したらそれこそ大変だ。南濱は?

[南濱] 南濱 なんかね、不思議なんだけど、前に比べ演じることの達成感は少なくなっている気がする。いい意味で言ったら、役に没入するんじゃなくて、どこか醒めながらお芝居できてるような。

−ほうなるほど。このシリーズには二人だけのラブシーンもあるわけだけど、本番前にこっそり稽古してるの?

南濱 それね、ほとんどないの。だって藤田さん、本番前にムチャ集中して、話しかけるのも悪い感じ。それに、その前にあまり合わせ過ぎると、舞台上の緊張感がなくなるようで嫌なのよ。東京の時ね、二人のシーンできよしが急に私の手を取って...。稽古ではなかったはずなのに、意表をつくこの展開。これをね、大切にしたいの。
藤田 アレ、オレそんなことしたかなあ。
南濱 受けのリアクションが結構上手。また意表をつく展開をお願いしとくわ。

−では最後に、今回の抱負を。

南濱 やっぱ、お客様に楽しんでもらえること。それしかないっス。
藤田 大台にのった身としては、まず体のキレを取戻すこと。自信あるね。だって、トレーニングしてるから。

−あの。アクション芝居じやない...。

藤田 いいんだよ。まだまだ山田とかに負けたくないもん、オレ。
南濱 ふーっ。きよしはね、そういう人なのよ。



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