[2-Geki]  2劇通信・幕の内タケ第18号 2003年(平成15年)5月5日
 四夜原 茂
 (実はちょっと疲れ気味)インタビュー




ラフレシアという新しい舞台を得て、四夜原が挑むタイトルは・・・
え?「正義の存在」? 「社会派ではあるが、脱力系」との評判を欲しいままにしてきた 我が2劇には、あまりに肩に力が入りすぎではないのだろうか。どうなんでしょ、そのへん。

〇 タイトルの存在 ○

[イラスト・四夜原] ― どうもです。調子はいかがですか?

四夜原 最悪やなほんま。モチベーションが下がって夢が失われてるわ。

― そりゃまた、なんで。

四夜原 禁煙したりとか。

― 構わないから吸って下さい。さて、タイトルですが。 「正義の存在」・・・また大上段に振りかぶりましたね。

四夜原 でしょ。

― しかも今のご時世にこのタイトル。さては…。

四夜原 もちろん。藪田家と布施家のご近所争いを描きます。

― 藪、つまり英語で言うとブッシュ、そして布施(ふせ)家。なるほど。 それを通して正義と欺瞞と争いの醜さを高らかに歌い上げようと!

四夜原 うーんとうーんと、そうじゃないかなあ。

― ・・・ほんとですか?

四夜原 そう言っといた方がいいかな、と。誤解してもらっといた方が。

〇 まさよしの存在 ○

― 冗談はそのくらいにして。

四夜原 冗談なの?

― 一体どんな話なんですか?

四夜原 一組の夫婦が引っ越してくるところから話が始まる。 その越してきた家には、前に藪田さんという夫婦が住んでたらしいんだけど。

― あら。やっぱり藪田さんなんだ。

四夜原 すると引っ越してきた夫婦の元に、まさよし宛の手紙がやってくる。 で、まさよし君ていうのは藪田さんの息子らしい。

― 引っ越しちゃってもういませんよね。

四夜原 ところが藪田さん夫婦の転居届は出てるけど、まさよし君のは出てない。 つまり、書類上はまだその家にいることになってる。

― え。でもいないんでしょ?

四夜原 世話してくれた不動産屋さんに聞くと、 藪田さんちには息子なんて最初からいない、と言われる。

― え? え?

四夜原 そうこうしてると藪田さんの書き置きが見つかる。 そこには「まさよしをよろしく」とある。

― ほ、ホラーですか?

四夜原 ついにはまさよしの知り合い、友達までが現れる。

― その夫婦は困りますよね。 そもそもまさよし君が実在するかどうかさえあやふやなのに。

四夜原 そうなんだけど、話をしていくうちにそこら辺がどうも曖昧になる。

― え? どういうことです?

四夜原 いちいち説明してられないわけよ。 「まさよしは前に住んでた人の子供で、というかそもそも存在してるかどうか怪しくて」なんて。 そして「とにかく、まさよしはいないんです」なんて言ってしまうと、どうにでもとれるわけ。 「まさよしは実在しない」でも、「まさよしという息子はいない」でも、 「まさよしという息子はいるけど、今、家にはいない」とでも。 大体「まさよしはいない」って言い方そのものが、すでに実在を前提にしてるわけだし。

― むむむ。微妙な話です。

四夜原 引っ越してきたばかりで周りに知り合いのない夫婦にしてみれば、まさよし君が いた方が都合がいいこともあるし。

― どんなことがですか?

四夜原 子供がいることで結ばれる人間関係があるわけよ。地域社会の中には。

― あ。確かに。郊外の方じゃそれがすごく大事だったり。

四夜原 するわけだ。やがてまさよしがいない方が不思議、 という雰囲気にさえなってくる。

― うーむ。

四夜原 ところがそこへ新しい夫婦がやってきて、 なんと「まさよしは私たちが○○した○○です!」という爆弾発言をする・・・ って伏せ字になっちゃってるけど?

― さすがにここから先は来てからのお楽しみ、ということで。

〇 ラフレシアの存在 ○

― さて、今回の公演はラフレシア円形劇場祭に参加してます。 テント公演、つまりは屋外での公演になるわけですが。

四夜原 ものすごい久しぶりだねえ。大昔にやったこともあるんだけど。

― ほとんどの劇団員にとっては初体験です。

四夜原 楽しみやね。

― ・・・とは言ってもこの内容からすると、どう見ても家庭劇ですよね?

四夜原 屋外なのにわざわざ屋内劇。テント内に家でも建ててみようかと思って。

― い、家をですか? せっかくのテント芝居なんですから、 火をたいたり水を流したり、テントならではという要素を。

四夜原 そういうのは他の劇団がやって下さるでしょうから、ウチはいいです。

― まあウチらしいへそ曲がりとも言えますが。

四夜原 あ。あとは広いですから、人はたくさん出してやるぜえ、と思っとります。

― テント芝居で燃えるべきポイントってそこなんですか?

〇 一言の存在 ○

― 最後は、お客様に一言。

四夜原 昼と夜の公演はおそらく雰囲気が全然違いますから、できれば両方見て下さい。



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