[SLOGO]

ドンゴラス

見どころ


 『ドンゴラス 〜ぼくの青空怪獣〜』――この題名から何が想像できるでしょうか。

 怪獣という響きは、例えば幼い頃見たヒーロー番組に登場する嫌われ者といった、また遊園地のアクションショーで倒されるために出てきたかわいそうなやつといった、ノスタスジックなものを連想させるように思えます。しかしここに登場する怪獣は、テレビや映画の中に出てくる分かりやすい名前のついた怪獣のように、むやみに口から炎を撒き散らし、胸を叩いて相手を威嚇するといった派手なパフォーマンスはしません。むしろ住民たちに気遣い、派手な泣き声をひかえ、忍び足で歩き、誰かが屋根を見上げたときにはさっと身を伏せます。怪獣は怪獣なりに、自分が時代にそぐわない過去の遺産だということを感じているのかもしれません。実際、その屋根の上に怪獣が住む木造の家は、四角い無機質なコンクリートの井戸の中に埋没してしまっているのです。怪獣は限りなく孤独を感じます。私たちの屋根の上には、屋根の下で息もつまるような緊張を強いられた人たちが次々と逃亡してきます。彼らは孤独を求めているのです。そんな彼らが怪獣と出会ったとき、どんな物語が始まるのでしょうか。私たちが描こうとしているものは、孤独なもの同士の慰め合いではありません。孤独は孤独として受け止め、その中でもがこうとする人間(怪獣)の、ポジィティブな生き方なのです。
 今回の舞台で私達が特にこだわるものとは、無限の空という存在です。アイホールの広い空間を使えば、その天井を空と見立てることによって大きく広がる空を簡単に表現できるように思えます。しかしそこでの空はあくまで劇場の天井の空でしかないのではないか、それ以上の広がりを持ち得ないのではないかと私達は考えたわけです。空は無限の存在です。その空を天井の換喩で表現してその無限性を殺すのではなく、もっと別の、更なる広がりを持った空を表現したい!と私達は考えました。客席が低く、舞台が高いといったような観客の側から舞台を見上げるといった標準的な形式に反して、私達の今回の舞台は、その逆、すなわち客席が舞台に比べて高く、観客が舞台を見下ろすといった形式になっています。そして舞台はどこかの家の屋根。つまり、屋根より上にいるという感覚を持たせることで、観客の皆様に空になって頂こうと考えたわけです。観客から囲まれた舞台はひとつの四角の箱。その箱の中でどれだけ無限の空を表現できるのか。
 私達は人間の想像力に挑戦しようと思います。


ごあいさつあらすじCast&Staff



ドンゴラスTOP|へ戻る

[END]