『今回のお芝居の構成について、少し説明しておきます。
今回のお芝居はオムニバス。ご存じですか?
そう、バスです。発車オーライ。ブッブー。
のあのバス。乗合バスなのですが、
お芝居の用語では
「独立したいくつかの物語をまとめたもの」
という意味です。
それでは、第1話。』
サトコは新婚旅行中に事故に遭った。
流れ着いたのは小さな島の海岸だった。
その島には、サトコたち2人の他には誰もいない。
慌ててもしょうがないからと、体力を温存しようとする夫。
そんな夫の姿にいらだつサトコ。
ようやく落ち着いてきた頃、眠りに落ちるサトコ。
『夫婦っていうのは、どのくらいの距離で寝るものなのかな?』と悩む夫。
静かに、夜が更けていった。
収集車がいってしまった後のゴミ置き場。
一人の女が大きなごみ袋をそっと置いて去ろうとする。
そのとき、一人の男が『見たよ。あんたがそれをそこに捨てたのを』と叫ぶ。
男に対して言い訳を始める女。
今朝、子どもが熱を出してばたばたしているうちに
出しそびれたと言い、15日前の生ゴミだと言う。
言い訳を聞き終えて帰ろうとする男は、ゴミ袋をそっと置いていく。
それを見つけた女は、男を非難する。
男のゴミは、3カ月前に死んだペットの「たこ」の死体だと言う。
女の袋の中身は、今朝高熱を出して死んだ子どもの死体だと言う。
お互いに相手の言うことの真偽がわからない。
同時にお互いの袋を開けて中身を確かめようと言う二人。
袋を開けようとしたその時、突然...
川辺で釣りをしている男。
その様子をのぞき込む女。
しばらく男のしぐさをまねしながら、釣りをしたそうにしている。
女に気づいた男は気になってしょうがない。
『何か、こう、期待の視線を感じちゃいましてね。
今日は朝から調子悪いんです。』
見てるだけですから気にせずに続けて下さいという女。
男は、釣りをしてみませんかと誘い、女に自分の釣竿を貸す。
楽しそうな女。
何が釣れるのか聞かれた男は話を始める。
魚の話から、釣竿やタイヤの話になり、
この前釣ったコンビニの袋の話になる。
重い袋を釣り上げてみると、中身は手紙のようで...
匍匐前進で登場する戦闘訓練中の隊長、チャッコ、あけみ。
食事休憩をとる3人。
食事当番であるあけみは準備する様子がない。
問いただす隊長にあけみは、
今朝のココナッツサブレで食料はなくなったという。
そんな彼らの前に、一匹のトカゲが現れる。
久しぶりの動物と喜んで追う隊長とチャッコ。
その二人を邪魔するあけみ。
希少動物を捕って食べるのは人間の身勝手で許されないという。
怒る隊長。あけみには何をいっても無駄と慰めるチャッコ。
チャッコが敵の捕虜になろうと提案する。
空腹では戦えない。
今は、敵の内部に潜り情報を探りながら来るべき時に備えるべきだという。
早速、白旗を作り振り回す3人。
しかし、よく見ると白いはずの旗は汚れて真っ黒。
次の手を考えるチャッコ。
そのとき、彼女の頭にひらめいたものは...
コンビニに入ってきた一人の女。
一冊の雑誌を手に取りパラパラめくっていると、ページが破れている。
店員を呼び怒る女。
『せっかく買おうと思ってたのに。いいわ、他の店で買うから。』
気を取り直して、『こんなものもあるかなあ?』と店員にメモを渡す。
そのメモの内容は、
「ミノ、スパナ、キリ各一個 サッサ と おだし」
うちはホームセンターじゃありませんからとことわりかけた店員。
しかし、何を勘違いしたのか、代用品ならありますからとアイスピック、トンカチ、防水スプレーを出してきて使い方の説明を始める。
店員の使い方の説明とは...
新婚の二人が流されて早1年。
サトコの手には赤ん坊のツボハチが。
1年たつのに言葉使いが変わらないと夫にいうサトコ。
『またワカメかよ、かんべんしてくれよ。』と言う夫。
他に食べる物がないと答えるサトコ。
何か食べ物があるはずだという夫。
「あれ」がないともう限界だというサトコ。
何とかなるという夫。夫の「語り癖」について激しく口論する二人。
サトコに今何を考えているのかと問いつめられ、『「あれ」を待つのはもうやめにしようかってね。』という夫。
それを聞き、驚いて飛び出してくる隊長とチャッコ。
登場人物が全員出てきて協議が始まる。
「あれ」とは一体何なのか?
『この続きは、また、7月に扇町ミュージアムスクエアで、
ということにしたいと思います。
本日はご来場ありがとうございました。』