切符の払い戻しの顛末

青山は、翌日、Waterloo 駅の案内所で、どうしたら切符を払い戻してもらえるか、と係員に尋ねると、日本でいう簡易書簡風の紙 (3方を糊付けすると封筒になる) を渡されました。この紙は Waterloo でも Gare du Nord でも案内所にいくらでも置いてありました。

それに切符を入れて送り返すと、鄭重な手紙とともに小切手 (The Royal Bank of Scotland plc 振出し) が送られてきました。その文面の中に、

「Eurostar の補償方針として、列車が 2時間以上遅れた場合、切符の代金の全額を小切手で払い戻すようにしている」との一文がありました。

日本の常識では、定刻 3時間の乗り物で 2時間も遅れられたらたまったものではありません (*1) が、列車の遅延は当たり前のお国柄では、「2時間遅れたら払い戻す」は、気合いの入ったサービスと思われます (飛行機を意識しているのでしょうが)。 料金体系が日本とは異なるとはいえ、全額 (特急料金相当額のみならず、運賃相当額までも) 払い戻してくれて、飲み物は飲み放題 (1等だけだったでしょうが) なら、誠意は買わなくてはならないと思います。本文にも書いたように、スチュワードたちは、出来るだけ情報を乗客に伝えるようにしよう、との態度でしたし (繰り返しますが、重要なことだと思います)。

払戻総額は 10万ポンドに昇るだろう、との Time 紙の報道でしたが、累積赤字のために存立基盤さえ怪しく、ドーバー海峡のフェリーから客を奪うために夏の悪天候を期待しているとさえいわれる EPS にとっては、痛い支出に違いありません。

ところで、その、EPS 社から送られてきた USD 154.00 の小切手を日本で外国為替取扱銀行 (神奈川県を主力とする 横* 銀行) に持参すると次のような扱いになりました #_#; (*2)

USD 1 = ¥ 107.45 の換算で、小切手は ¥16,547- となりました。そこから、
  1. 基本手数料= ¥1,500-
  2. 郵便・電信料 = ¥750-
  3. その他手数料= ¥2,189-

で計 ¥4,439- をふんだくられて、¥12,108- だけが手元に返ってきました。

この、「その他手数料」というのが納得がいきません。

そういう銀行に小切手の取り立てを依頼した青山が悪かっただけのことですが、顧客を小馬鹿にした態度に腹が立ちます。

#「その他」とは何か???

クレジットカードの番号を教えておいて、その口座に振り込んでもらえるようにできればよかったのに、と思いました。EPS 社への「簡易書簡」のフォーマットには、そのような欄はないのですが。

(*1) JR の規則では、「特急、急行が 2時間以上遅れて到着したとき、特急、急行料金の全額を払い戻す (運賃は払い戻されない)」です。旧国鉄では、「新幹線は 1時間以上の遅延で特急料金全額払い戻し」という規則のこともありましたが、いつの間にやら、在来線同様 2時間遅れで特急料金払い戻し、になってしまいました。また、Eurostar も含めて、ヨーロッパの列車の「切符の代金」は該列車の当該設備の代金はいくら、というように決まっていて、日本のように、「運賃」+「料金」の体系ではないので、簡単に日本と比較することは出来ません。

(*2) 払い戻し請求後、1カ月程度で小切手が返送されてきました。小切手は1996 年 5 月 23 日振出しで、振出期日が遅延事故後相当日数経過しているのは青山のせいで、EPS 社の責任ではありません。青山が*浜銀行 青*台支店に小切手を持ち込んだのは 同年7月5日、取り立て期日は同年 7月 25 日でした。


[PREVIOUS]Back to 「Eurostar 旅行記」
Last Modified : June 18, 2000