ALTERED DIMENSIN
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[サイケデリクス]

はじめて作ったアヤワスカの感想

(動物類)

 アヤワスカを飲んだのは午後5時40分でした。服用した量はチャクロパンガが12.5グラム、シリアンルーが2.5グラムでした(チャクロパンガはミルで粉砕して水とレモンジュースで30分煮て濾して再び水とレモンジュースで30分煮たものを先に濾したものと合わせて少し煮ました。ミルで粉砕したとき非常に細かい粉末になったので金網製の茶こしを多少通り抜けたものもありました。チャクロパンガの12.5グラムという量は単独で実験する場合には決して少ない量とは思えませんでした)。それからハルマリンを補うためにパッションフラワーのカプセルを30分位前に飲みました。
 レモンジュースと水で煎じたアヤワスカは苦かったものの思ったよりは飲みやすかった です。ただレモンじゃなくて食酢を使っていたら飲めたものではなかったでしょう。
 飲んだ直後は何の違和感もなく結構軽いものなのかなという感じでした。
 しかし飲んで25分位すると胃が重くなって来ました。この日は昼にお粥を一杯食べただけで、胃のなかは空っぽでした。

6時35分。
頭のなかに意識変化の予調が現われてきました。胃は相変らず重いままです。
 
6時45分。
吐き気が強まってきました。この時はなんとか耐えました。

7時11分。
徐々に効き始めてきました。吐き気は相変らずです。

7時45分。
視覚に変化が現われました。それはクベンシスに似た像の細かい歪みでしたが、それほど強いものではありません。クベンシスとの比較をもう少しいうと感情に対する作用が全くないことが顕著な特徴でした。それは総ての情感から切り離された荒涼とした世界です。
 眼をつぶると様々な映像が見えましたが、これもクベンシスの場合のような動物や人物 などのような元型的なものではなく、はっきりとした形象をとる前の不完全な形のような感じでした。その崩れた形には興味を惹くものがあまりありませんでした。
 最初に服用した量がどれほどの力を持っていたのか、もしかしたら量が少なすぎたかも しれないという不安が絶えずありましたが、この時点でそれは杞憂だと分かりました。強く効いているのです。意識変化のレヴェルは乾燥クベンシス5グラムに匹敵するほどです。
 普段は背後にある諸々の現象に対する自覚の意識が前面に現われてきました。知覚より 前に知覚に対する自覚があるといった感じです。これは5MEO-DMTの作用に酷似していました。
 眼をつぶって内面を観察していると自我の頂点に向かって丁度城を攻める軍勢のように アヤワスカが螺旋状に侵攻してくるのが分かりました。しかしそれは頂点までを侵しませんでした。これも意識を完全に乗っ取ってしまうことがあるクベンシスとは違いました。
 意志は普段以上に自由でした。ただこの自由が自分を途方に暮れさせました。その自由をどう行使して良いのか全く分からなかったからです。
 吐き気と胃の不快感は強まっていました。吐くべきか吐かざるべきかずっと逡巡し続け
ました。

8時25分。
吐くことに浄化作用があるなどの体験記を読んでいたせいもあり、またこの不快に延々と耐えることの無意味さを感じたこともあって、吐くことにしました。この時点ではもう大分成分も吸収されてしまっていたと思います。吐くことで肉体的な不快はかなり軽くなりました。ただ吐いた後も作用は弱まりません。
 この後どんどん精神的につらい状態へ追い込まれていきました。前に情感のない世界と書きましたが、実際には情感に充ちた世界でした。それは陽性の情感ではなく全く陰性の情感に満たされた世界でした。
 世界に自分以外誰もおらず誰ともつながれないという孤独感、他者がいないにも関わら ず自分が他者にしたことへの罪悪感と後悔の念、それが特に強められた形で延々と続きました。強制的に浸透してくる罪悪感が薄れるときには幻覚的な世界にいながらも妙な疲労感、徒労感がありました。
 この徒労感は、幻覚世界で意志が自由であるというところから来ていました。勝手に映像幻覚が展開してゆくといったことはなく、探索は自分の意志で行わなければなりませんでした。しかしそこでどうしていいか全く分からなくなりました。勿論、アワヤスカ的世界は初めてなので分かるはずもないのですが。
 ある意味それは自分の世界でどこまでいっても自分があるだけでした。この自分づくしの世界はサルトルやカミュなどの実存小説にも似て、ひどく重苦しいものでした。それは自己愛的な甘い世界ではなく倫理的な断罪の世界でした。
 今思い返すと、それらの世界は自分のなかの未解決な問題をアヤワスカが拡大して見せてくれたもののような気がします。ただそれをどう解決するかはまったく分からないのですが。
 それからしばらく下痢を繰り返しました。下痢をする度に何故か自分も単なる動物なんだなということを感じました。

12時30分を過ぎたころになると大分作用は薄れてきました。正直、心底ほっとしました。効き始めるまで2時間、それから4時間位は効き続けたんでしょうか。肉体的にはだるくあまり動く気がしませんでした。
 アヤワスカの体験は総体的に見るとクベンシスの反省モードを拡大、延長したもののようでした。ただ本当にわけの分からない世界へ引きずりこまれるといったことはなく、意識は奇妙なほど保たれていました。体験の内容は自伝的回顧的内容に限られていて、問題は倫理的なものでした。量を変えてあと何回かはやってみたいと思います。

[サイケデリクス]