ローズダマスクの郷
トルコのイスパルタ訪問記
(村田京子)
ローズダマスク・オイルと出合ったのは、トルコのイスタンブールでのこと。かれこれ10年になります。華やかで幸福感をもたらしてくれる、そんな香りの魅力にひかれ、オルタード・ディメンションで扱いはじめました。
イスパルタのローズオイルは、ブルガリアと並んで世界でも最高品質と称されています。生産量も世界の60%に上っており、主に欧米の香水、化粧品会社が購入しています。
いつか、産地のイスパルタに行って、バラの農園やオイルの蒸留の様子を自分の目で見てみたいと切望するようになりました。
今年(2011年)6月上旬、イスパルタを訪れました。 バラの収穫、オイルの蒸留は、毎年5月下旬から7月の上旬までです。 農園やオイル蒸留の様子を写真でご紹介します。
イスタンブールからバスで約8時間。さわやかな風が吹き渡る標高1000メートルのイスパルタ近郊の村でローズダマスクは栽培されています。
朝の8時半すぎ、高原のきりりとした空気のなか、バラの香りが漂っていました。 農園で働く人々は5時半頃から花を摘みはじめています。 摘んだバラは、セメント袋ほどの大きさの袋に詰め、オイルの蒸留所に持ち込まれる。そこで香りの女王と言われるローズダマスクのオイルができるのです。
蒸留器に1回入れるバラの量は400kgから500kg。先ほどの大きさの袋で20袋ぐらいでしょうか。オイルは2度蒸留します。
オイルを作るまでの行程をみていましたが、半日で直径20cmほどのガラスの容器に人差し指ほどの量でした。1kgのローズオイルを作るのに、4トンものバラが必要です。
ローズオイルに伴ってできるのが、ローズウォーター。できたての香りのよいローズウォーターを腕に塗ってみたら、肌がとてもしっとりとしました。蒸留所の中は、むせるほどのローズの香り。ちょっとハイで、幸せな気分が味わえました。
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1 ローズダマスクの花。 |
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2 朝の8時半頃に訪れたローズダマスクの農園。きりりとした高原の空気に暖かみのあるローズの香りが漂う。朝早くからの摘み取り作業。花を手早く摘み取って、前掛けのような袋に入れる。 |
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3 ずらりと並んだ蒸留器。右側の銅製の蒸留器5台で1回目、左の1台が2回目の蒸留用。工場内はバラの香りがあふれている。 |
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4 蒸留器はかなり大きい。2階に当たる部分から花を入れる。 |
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5 蒸留器に花を入れているところ。20kg以上の花を詰めた袋がたちまち空になっていく。 |
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6 上の黄色っぽい液がローズダマスクのオイル。下から一滴一滴あぶくのようにゆっくりと上がってくる。 |
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7 蒸留が終わったローズの花はここに流されてたまる。これは冬に農家が燃料代わりに使うのだという。ずいぶん贅沢な香りがするに違いないと思ったが、実際、香りは消えているのだとか。 |
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