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2010.06.09
[ひとりごと]

地球の香り

 宇宙に 5ヶ月半滞在し、 6月2日の朝、 着陸した野口さんが地球に帰ってきた直後の言葉が新聞に載っていた。

「ハッチが開いた瞬間、土と草の匂いが強烈だった。(地球の空気は)おいしいですよね」

 去年(2009年)、 宇宙に4ヶ月半滞在して、帰ってきた若田さんは、こんな感想を口にしていた。当時、新聞に出ていた記事の一節で、なるほど嗅覚の感覚って大きいのだな、と印象的だった。

「ハッチが開いて草の香りがシャトルに入ってきた時には、やさしく地球に迎えられたような感じがした」

 野口さんは、ソユーズ宇宙船でカザフスタンの草原に着陸した。上の写真にあるように、パラシュートにつり下げられたソユーズ宇宙船は、地面にドーンと落ちてきたといった感じだった。一方、若田さんが乗っていたのは、スペースシャトルで、こちらは輸送機が滑走路に着陸するように降りてきた。場所は、フロリダのケネディ宇宙センター、8月1日の夜だった。
 宇宙に滞在中は、密封された空間の中で、空気は 調整されていて無臭環境だった。4ヶ月、5ヶ月、そんな環境にいた人間が、地球に戻ったとき、最初に感じたのは、奇しくも同じように、土や草の匂い、香りだったのは興味深い。
  普段の生活では、五感の中で、視覚と聴覚の比率が大きく、情報や知識の伝達、コミュニケーションは、もっぱらその二つの感覚に依拠している。都会で生活していると、嗅覚のリアリティは、ほとんどないと言ってもいい。
 昨年の野口さんの言葉から、こんな歌も詠まれている。「夏草の茂れる星に還り来てまづその草の香りを云ひし人」、誰の歌かは伏せますが、香りに注目している人が僅かながらいるようです。

 地球の香りって、あるのですね。どこにでもある土と草の香り。 これは、当たり前のようでいて、でも、地球から離れた生活をした人間にして、はじめて自覚的な言葉になった発見ではないか。