ALTERED DIMENSIN
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2007.06.21
[ひとりごと]

両国上空の五色雲

写真:
天の川 遊花裸(ゆーから)さん
〔セラピスト〕
  6月2日土曜日、両国で「2012アセンションワークショップJapan」という催しがあって、そこでインセンス(香)の展示販売をした。クリスタルボウルと古代笛の演奏をしている遊花裸(ゆうから)さんと、夏至著(げしっちょ)さんからお誘いいただき、この日やってきた。
  催しは土曜、日曜の二日間、高層ビルのホテルの3階にあるイベントホールで開催された。アメリカからヒーラーやチャネラーが来ていた。二日目には、遊花裸さんと夏至著さんの演奏もあった。瞑想やワーク、演奏、踊り、講演と二日間盛りだくさんの内容でホールは満席だった。
 
  朝9時すぎから催しがはじまった。ホールのロビーが展示販売のスペースで、わたしたちは、そこにテーブルを並べていた。右隣は北海道で採掘された「神明石」という黒い石の展示、その右隣りには、夏至著さんの絵の展示。右隣はアメリカから来たヒーラーの人がホワイトセージを束ねたスマッジを並べていた。
  なにげなく窓から街を眺めていたら、すぐ下の歩道に人が集まっている。ホテルには台湾からの団体客が泊まっていて、ちょうどその頃、玄関前に停まっている観光バスに乗り込むところだった。
  そこにお相撲さんが二人、通りかかった。浴衣姿の巨体、ちょんまげをしている。物珍しさに大喜びの観光客はお相撲さんを囲んで記念写真を撮りはじめた。家族ずれやカップルなど、次々に増えていく。お相撲さんは、注文に応え笑顔でVサインの同じポーズを繰り返す。相撲取りの人って、サービス精神が徹底してるんだなと感心した。
 
  イベントのオープニングに誘導瞑想のワークショップがあった。ホールは、ゆったりとした椅子が設置されていて、照明を落とした空間で、参加者はリラックスした雰囲気になっていた。ワークショップは11時半ごろに終わった。休憩時間になつて、ロビーに人が溢れている。参加者は女性が多い。
 
頭上の光輪

写真:
天の川 遊花裸(ゆーから)さん
〔セラピスト〕
  と、誰かが「虹が出ている!」と声をあげた。時計を見たら、昼前の11時37分だったことを憶えている。この日、午前中、曇りの天気だったが、雨は降っていなかった。だんだん晴れてきた。窓のブラインドを上げて、道路を見下ろす強い日差しで、家々の屋根の上には青空が見える。はて、どこに虹が出ているのかな?
  「あそこ、あそこ」と真上を指さしている人がいる。見上げると、真上に虹のリング(輪)が浮かんでいる。太陽は青空の天頂にあってまばゆい白銀に輝いている。太陽をぐるっと囲む薄く白いリングが見える。リングは完全な円をしていて内側が虹色。普通の虹は弧を描いているが、これは円で大きさはもっと小さい。不思議な光景。あれは飛行機雲のような人工物? いま整理して振り返ると、「青空」「真上」「リング」「虹」といった組み合わせにびっくりしていた。
  ロビーにいた人たちが一斉に窓の周りに集まってきた。どこ、どこと言いながら、空を見上げると歓声が上がる。ビルの外に出て歩道から天を見上げている人たちもいる。さっき台湾の観光客がお相撲さんと並んで写真を撮っていた同じ場所で、今度は日本人の女性たちが携帯を天に向けて写真を撮っている。
  普段、真上を見るということはあまりない。立っているときの人間の首の向きは、水平か上下にしても60度ぐらいの範囲ではないかと思う。当たり前のことだけど、真上を見ていると、歩くことも、手で何か作業することも難しくなる。
  リングの完全な円が、そしてそれが真上にあることがどこか奇妙な感じだ。水平や斜め方向に見えるなら、円形の対象物として捉えるのだが、真上に見えると、つまり自分の真上にあると、自分にリングがかかっているような心理になる。天使の絵には、頭の上にリングが描かれているが、それに通じるイメージだ。 
 
  そういえば、この日、あれから暫くして地震があったなと教えてくれた人がいた。調べてみると、確かに午後2時43分ごろ茨城県南部でマグニチュード4.6の地震があった。水戸市などで震度4、東京23区では震度2だった。
  あのリングは地震の前兆? はっきりしたことは分からない。でもこの雲は、昔から瑞兆、つまりめでたいことが起きる前兆と言われてきたので、災いをもたらす地震の前触れにしてしまうのは気が引ける。
 
日曇・五色雲・光輪

  東京新聞のネット・ニュースにこのリングのことが「都心の太陽 虹の装い」という見出しで報じられていた。太陽の周りに虹ができたように見えることを日暈(ひがさ)というらしい。上層の雲に含まれる氷の結晶に太陽の光が当たった際に見られる気象現象だという。
  虹のような五色の雲なので昔は五色雲、あるいは彩雲、瑞雲、景雲などと呼ばれ、めでたいことの前兆と見なされていた。同じものを見ても、日暈を見たというより五色雲を見たといった方がありがたいような、めでたいような気持ちになる。
  禅語には、陰暦1月に景雲五彩生(さいうんごさいしょうす)という文言がある。めでたいときの瑞兆の雲は五色に彩色されているといった意味だが、これは一般的にそんな自然現象が起きることがあると解釈するさらに奥に、禅的なある境地に至った人が体験する証(あかし)として景雲が示されているのではないか。
  光の輪、光輪は英語でhalo(ハロー)。太陽や月の暈(かさ)という意味の他に、キリストやマリア、聖人や宗教上の人物、天使の頭の上に現れる環状のうすい光もhaloと呼んでいる。光の輪を描くことで、その人物の聖性、崇高さ、神に近い存在といったことを示している。そういえば、仏や菩薩を描いた絵や彫像の後ろにも金色の輪が添えられている。
 
  光輪という言葉をネットで調べていたらこんな話しも出てきた。江戸時代の人々の感性はこんな感じだっのではないかというような逸話だが、北朝鮮では21世紀のいまもリアリティがあるのだろうか。
  2006年12月24日、金正日総書記が軍の最高司令官の地位についたことを祝う記念日の前日のこと。 平壌の近くで巨大な光輪が観測されたと朝鮮中央通信(KCNA)は報じている。
  その日は曇っていて、霰(あられ)も降ったが、9時頃、平壌の空に前例のない立派な光輪があらわれ、人々は賞賛を送ったという。太陽のまわりの大きな輪は30分ほどそのままで、7色の明るい光を放射し続け、それが消える頃にはあられも止まり、一筋の雲もなくなった。この記述は、両国で見えた日暈、五色雲の特徴とよく似ている。
  また、2002 年 2 月 18日には、金正日総書記の出生地である白頭山の上空に円光が見えたことがニュースになっている。金総書記はその2日前に60歳の誕生日を迎えたばかりだそうで、人々は、花の形をした珍しい雲を見て喜んだと報じられている。
 
  あの日、両国でリングを見た人たちは、みんな珍しいものを目にして、軽い興奮というか、ハイな気分になっていた。まばゆい太陽のまわりに虹色のリング。気象現象だから誰でも無料で見える。なんだか得したみたいな気分。サハラ砂漠やペルーの遺跡でなくても、東京の真ん中でちょっとした「神秘体験」が起きたことが何より嬉しかった。
 
(参考)東京新聞2007年6月2日「都心の太陽 虹の装い」