『キャンベルハムスター』メジャー化計画

私がぞっこんのキャンベルハムスターとはどんなハムなのか?
ガイド本などにキャンベルの性格として「気が荒く、噛みつく」などとよく書かれていますね。このイメージのためにキャンベルハムスターはペットショップから姿を消してゆきました。この世に定着してしまった固定概念を取り去るべく、私は立ち上がったのです。


目  次
第1章 キャンベルハムスター基本
第2章 ジャンガリアンとの違い
第3章 2種間の交配
第4章 私的キャンベル検証
   A 気が荒くて噛むって本当?
   B べた慣れにするには?
   C なかなかなつかない?
   D メスは気が強くて賢い?
第5章 キャンベルハムスター至上主義


第1章 キャンベルハムスター基本

種類げっ歯目ネズミ亜科ネズミ科キヌゲネズミ亜ヒメキヌゲネズミ属
学名Phodopus campbell
英語ではRussian Campbell Hamster などと書かれているみたいです。
出身モンゴル、バイカル湖畔、中国北部
体格
体長:8〜12cm 体重:38〜50g
ただし、個体差があります。
寿命2〜3年(他のドワーフ同様)

第2章 ジャンガリアンとの違い

キャンベルのノーマルや最近見かけるブラック※は、ジャンガリアンに見た目がよく似ています。この2種を同一の種とする説もありますが、。実際ペットショップでは別の種類として売られているので、ここでは一般的にいわれている違いについて触れたいと思います。

キャンベルVS
ジャンガリアン
モンゴルの草原生息地
ロシアの砂漠
体長=8〜12cm
体重=38〜50g
体の大きさ
体長=7〜11cm
体重=30〜40g
上毛と下毛の区別あり
ぼさぼさしてる
毛の長さ
上毛と下毛の区別ない
毛並みそろってる
ノーマル、アルビノ、イエロー、パープル、ブラック、それらの色のパイドなど
毛色の種類
ノーマル、スノーホワイト、パール、サファイアなど
左右の目の間が狭い
しもぶくれ、たぬき顔

左右の目の間が離れている
うりざね顔
先が尖ってて大きい
耳の形
先が丸くて小さい
気が荒く、噛む子も。
しかし慣れると、ベタ慣れになるとも言われている。
性格
おっとりした性格で、おとなしく慣れやすい。

キャンベルとジャンガリアンが同一種であるとされるのは、DNAの一致など医学的な根拠や交配が可能であるといった事実に基づいていると思います。しかし、似ているとはいえ、毛の種類や長さ、顔立ちなど、見た目においてそれぞれ異なる特徴があります。自然界でキャンベルとジャンガリアンは、生息地が違うため顔を合わせるということがなく、それゆえに交雑などもありえません。
ここからは私の憶測ですが、この2種の先祖は同一のヒメキヌゲネズミで、進化の過程で地理的変化などによって分かれてしまったのではないかと。例えば、ある日ボーン!と山ができて、山のこっちとむこうに離ればなれになったんだけど、徐々にそれぞれの土地に順応していって独自の進化を遂げていった、とか。

 [ドワハム進化予想図]
             キャンベル
            /
      ヒメキヌゲα
     /      \
ヒメキヌゲ        ジャンガリアン
     \
      ロボロフスキー

※ブラックジャンガリアン?
ウェブや本などを見る限り、ブラックジャンガリアンとは、実はキャンベルまたはキャンベルとジャンガリアンの混血のようです。

第3章 2種間の交配

キャンベルとジャンガリアンは交配することが可能ですが、あえて雑種をつくるのは避けるべきです。
その理由は、交雑によって生まれた子供は「比較的弱い」、「繁殖力がない」などと言われていることが挙げられます。 また、かなり抽象的ではありますが、「外見がへん」ということもあるようです。 実際、私が確認したことのある雑種はパンダだったんですが、キャンベルに似てるわけでもなく、かと言ってジャンガリにも似ていない、そこはかとなく「へん」な感じがしました。
ちなみに、一般的に表記される雑種の呼び名は次のとおりです。
 キャンベル♂ × ジャンガリアン♀ = キャンガリアン
 ジャンガリアン♂ × キャンベル♀ = ジャンベル
上記のとおり掛け合わせても、キャンガリアンの場合、実際生まれるのは稀なようです。また、キャンガリアンの赤ちゃんを妊娠したとしても、母胎への負担は大きく危険です。ご存じのとおり、キャンベルはジャンガリアンより体格が少し大きめです。ジャンガリアンのお母さんに対して、赤ちゃんが大きすぎて難産になり、時には母ハムが死亡してしまうこともあるそうです。
ハムスターを繁殖させることは魅力的ですが、興味本位に交雑をしてハムスターを命の危険にさらしたりしないようにしましょう。
また、繁殖する可能性がある場合、ショップでハムスターを購入したり、知人から分けてもらう時は、雑種であるかどうか確認することも大事です。

第4章 私的キャンベル検証

それでは、今まで私とともに暮らしたハムスターたちを例に、キャンベルハムスターの実体にせまってみたいと思います。それぞれの性格を大まかに分けて、分析してみました。

 A やっぱり気が荒くて噛む?

◇プーパ
家に来て1週間くらいはケージに手を入れると容赦なく激しく噛みました。まず、皮の手袋装着を試しましたが、匂いが闘争心をあおるのか更に噛む始末。また、ナウシカがテトをてなづけた如く、わざと噛ませて「ほら、こわくない」と我慢しても、歯は深く食い込むばかり。しかし、手に乗せるとなぜか噛まないということに気付き、素早く手に乗せるようにしたら、噛まなくなりました。

◇メソメソ
生後1ヵ月ころメス姉妹と別のプラケースに引っ越し、一人暮しになってから噛むことがありました。これは、繊細なメソ君が一人でくつろいでいたいのに、手に乗せようとしたり触ったりした為です。それ以外で噛むことはなかったです。構って欲しくないときは、あからさまに不機嫌な顔をするので、そういうときは構わないようにしました。一方、「外に出してキュピリーン」とつぶらな瞳で見上げてるときは、すぐ手に乗せて出してやるようにしました。その結果、くつろいでる時触っても、嫌な顔するだけで噛まなくなりました。

◇カーネリアン
ブランカの匂いのするものは何でも噛みつきました。ブランカを触った手を噛まれたり、ブランカがカーネルをひらりとかわした所にいて足を噛まれたり。視力が衰えたせいか、或いはカーっとなって周りが見えなかった為だと思います。ずっと一人っ子で育ってきたせいか、新入りのブランカがよっぽど嫌いだったのでしょう。ハム同士仲良くさせることは不可能なので、これはどうにもなりませんでした。ちなみに、ブランカが彼によって負傷したことはありません。

[まとめ]人を噛むハムスターというのは、とても臆病で繊細なハムスターなのです。「この人間はどうやら悪い者ではなさそう」とわかれば、人間に対しての恐怖心が溶け、彼等は噛まなくなるのだと思います。でも、あのちっちゃい脳みそでそれを理解するのには時間がかかります。あきらめずにねばり強くハムと仲良くできるよう努力しましょう。
また、病気のために噛むこともあるそうです。ホームヘルパーの友人が「老人を抱き起こすとき、噛まれることがある。おそらく痛みを感じていると伝えるためであろう。」と言っていました。ご老体で五感が衰え、手当たり次第噛んでみているように思うときもあります。普段弱さを見せないハムスター。噛まれたときは何かのメッセージかもとハムスターを観察してみよう。


 B べた慣れにするには?

◇カーネリアン
うちにやってきた時には、小さくて乳離れしたばかりという感じでした。一番最初に飼ったハムで、長い間他のハムスターに接することなく育ちました。そのせいか、カーネルと触れ合う時間は、後に飼ったハムたちとくらべかなり多かったと思います。当時はハムスターの飼い方などよくわかりもせずに、ハムのストレスのことも考えず触ったり、おねだりされたらエサをやりまくったりしていたので、人間が一緒にいることが普通の環境だと思っていたのかもしれません。人間にはやさしいカーネルでしたが、他のハムには非常に厳しくてあからさまに嫌な顔を見せていました。

◇グリ
カーネリアン2世のようなハムでした。兄弟のグラとは同居はさせていませんでしたが、よく一緒に遊ばせていました。他にハムスターがいるのに、ベタ慣れしたハムは彼くらいなものです。放して遊ばせていると、寄ってきたりして、人間好きなのかなあと思いました。かといって、カーネルのように他のハムに冷たいわけでもなく、みんなにフレンドリーでした。

[まとめ]小さいころから飼い始めると確かに早くなつくような気がします。触れ合う時間が長いほど、ハムも心を許してくれるのかもしれません。もちろん、ハムの元々の性格が穏和であるということも重要だと思います。口を開けてほげらりんとこちらを見つめたり、もちゃもちゃと歩いたりするハム。偶然にも2ハムともイエロー。何かそこに秘密があるのかも。


 C なかなかなつかない?

◇ブランカ
彼はハムスター独自のかわいらしさを武器に、おねだりをするということをあまりしませんでした。自分で何でもできた(ケージから自力ででて、遊びにいき、南瓜の種を盗み食い、ムートンの上で寝、カーネリアンをおちょくり、帰りたい時帰る)ので、人間の力は不要だったのかしれません。しかし、散歩中はわざわざ人の足の上を通過したりしていたので、多少人間に興味はあったようです。

◇プーパ
飼い始めたとき、すでに大きかったので「この人間達、わらわに害は及ぼさぬようじゃ」とは分かっても、「しかし、油断は禁物じゃ」と信頼はしてなっかたのでは、と推測します。「プーパちゃーん」と呼ぶと一応近くに来るんだけど、何も餌持ってないと、ぴゅーっと走って逃げて、暗いところでくつろいだりしてました。

[まとめ]それぞれ、内容的には全く違いますが、とにかくマイペース。特に成長してから飼い始めたハムは独自のライフスタイルが出来上がってしまっているからかもしれません。べた慣れは難しいかもしれませんが、べた慣れじゃなくったっていいじゃないかと声を大にして言う。いろんなハムがいるからおもしろい。彼らの共通点をあげるとすれば「身軽」ってことでしょうか。彼らなら、野生でも生き残れそうな感じがします。


 D メスは気が強くて賢い?

◇ネリ
彼女は飼い始めのときは幼くて、すぐに慣れてくれました。気が強いという印象はありません。グレアムに追いかけられていたときも、「ジュッ」とかいいながらも攻撃したりはしてませんでした。しかし、妊娠してからグレアムのエサを略奪しに行くようになりました。妊娠に気づかない飼い主のせいで、エサが足りなかったのが原因なんですが。若くして子供が出来たのに、ちゃんと世話をして、本当に母はたくましいと思いました。

◇ネリネリ
ネリの子供の中で、一番早く手に乗った子。どうやらお母さんが手に乗るのを見て、学んだらしい。顔も性格もネリにそっくりで、人間に対する恐怖心など最初からないように思えました。どうやら、人間の扱い方を母から伝授されていたようです。

◇プーパ
気が強いといえば、彼女でしょう。♪気高く咲いて〜って感じです。近寄るハムは血を見ることになります。近寄らなくてもわざわざ猛スピードでやってきて噛みつきます。でも、かなりフェロモンがでているらしく、オスたちはプーパのケージの前でトロンとなってじっと中を見つめていました。それにしても、名前を呼ぶとやって来るハムはプーパちゃんが初めてです。実はかなり頭がいいのかもしれません。

[まとめ]女の子は頭脳派系。人間は便利だから愛想良くしようと思ってるだけかもしれません。オスのようにあからさまに嫌な顔をするメスは見たことがないです。メスは子供を守るため、それなりに賢くないと野生では厳しいのかもなあと思います。

第5章 キャンベルハムスター至上主義

 キャンベルといえば、魅力の一つとして毛色のバリーションが豊富であることはよく知られています。全毛色を制覇したい!などと思ったりしますが、なにせペットショップにキャンベル自体いないというありさま。むむーぅ。
 キャンベルが姿を消していった原因は「気が荒く噛む」というイメージにあると考えます。実際にキャンベルが売られていても、「ドワーフ」、「パンダ」、「ダルメシアン」などの名で売られていたり、「ブラックジャンガリアン」と純粋なジャンガリアンと誤解を受けるような表記もよく見かけます。
 ハム太郎の人気などから、最近はハムスターを飼っているおたくも増えてきているようです。しかし、実際ハムスターを飼っているのに、キャンベルという種類の存在すら知らない人も結構いるのです。多くの人がキャンベルを知らないという状況で、「気が荒くて噛む」ことによる不人気を懸念することは意味のないことのように思えます。これはキャンベルの知識のない人に都合の悪い情報を隠して売ってしまえということではありません。
 キャンベルハムスターしか飼ったことのない私は、他の種類のハムスターとキャンベルを比べることはできません。しかし、飼っていて思うのは、性格がみんなバラバラだということです。まさに十鼠十色。新しいハムがやってくるたびに、新たな喜びと発見があります。だからこそ、「気が荒くて噛む」というレッテルに不快感を感じます。
 キャンベルだから「気が荒くて噛む」という根拠は何なのか疑問です。これは例えば「日本人は勤勉」、「アメリカ人は陽気」、「イタリア男はうそつき」といったステレオタイプと同じであると思います。勤勉ではない日本人の私が言っているのだから間違いありません。「気が荒くて噛む」性格は他の種類のハムスターにもありえることです。
 また、ハムスターが噛むとすれば、その多くは「気が荒くて」よりも「臆病だから」ではないでしょうか。個体差はありますが、ハムスターは基本的に繊細でストレスを受けやすい動物です。ハムスターにとって巨大な生き物である我々人間。しつけのつもりでコツンとやれば攻撃されたと思うでしょうし、巣の中に手を突っ込めば知らない生き物が侵入してきたと思って、恐怖心からガブリと噛みます。そう考えると「噛む」というのはハムスターにとって生きる上で当然の行為です。噛まれたら自分の接し方がまずかったのではなかろうかと1度は考えてみてはいかがでしょうか。
 ちなみに、私はハムスターは子供のペットとして飼うのにあまり向かないと思っています。(よく「情操教育のため」なんて言いますが…)。子供の年齢にもよりますが、幼ければハムスターを扱う加減がわからない場合があるということや、ハムスターへの好奇心から構い過ぎてストレスを与えてしまうといった危険があるからです。飼うからには大人がきちんとチェックをしてあげる必要があるでしょう。簡単なようで、大人が飼うのも難しいのがハムスターです。まず、基本的な飼育方法を頭に入れておかなければなりません。これが結構大変。飼育に必要な情報量はかなりなものです。また、ハムスターは寿命が短く、ドワーフは病気にかかりやすいですから、病気に関する知識も必要になってくるでしょう。知らずに間違った飼い方をして、愛するハムスターの寿命を縮めることもあるのです。
 ここまで、キャンベルにもいろんな性格の子がいるんだよと力説してきましたが、逆にキャンベルは特に慣れにくいと言われていることが、キャンベルに入れ込むようになった理由でもあります。警戒心が強いハムスターを慣らしていくには忍耐力がいります。しかし、根気よく接して、自ら手に乗りにやってくるようになったときの感動は何ともいえません。だから難しければ難しいほど燃えます。
こんなに私に熱く語らせる魅力的なキャンベルハムスター。もっとたくさんの人にその存在を知ってもらいたいと願っています。

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