名人戦第2局前夜 胡蝶の舞は狂乱の舞
MashudaBBS2003.04.23
羽生が封じ手でなぜ36歩を選択したかと言うとこの手を同飛と取ることにより最も後手に紛れが生じるからである。理由は明解である。先手の飛車が3筋に移動することで後手にも2筋に香取りの角打が発生するためであった。これは先手の82角打と対になる。ここで思い出すのは衛星放送の内藤國雄の解説である。横歩取りにおける先手の82角打をプロ棋士のほとんどが「幸福になれない手」と呼ぶ。内藤國雄はそんなこともないやろと堂々と述べていたことである。内藤國雄に最も感心することでもあった。郷田は拍手を送っていたかもしれない。この82角打は先手が既に入手した利権である。この利権がある為に後手は無理して紛れを求める必要がある。羽生が選択した紛れは後手はさらに1歩損しても角打ち先攻が可能であると示唆したことである。利権がこのように分配されると先手には選択肢が増えるために迷うことになる。羽生はこの迷いを引き出す呪術師であった。
一昨日の朝日オープンにおける横歩取りは先手が徹底的に手を殺しに行った為に端に争点が移った。手を殺して行くと必ず最初の利権が直接的に盤面に出現する。
封じ手▽3六歩を▲同飛と取った場合
▽4五桂 ▲同 桂 ▽同 飛 ▲4六歩とここで手堅く歩を打つのが内藤國雄が衛星中継で紹介した変化。
以下飛車が加藤一二三風に横に逃げた場合の変化
▽8五飛 ▲7七桂 ▽8四飛 ▲3四歩 ▽6四桂 ▲6七角 ▽5四角 ▲3五飛 ▽7六角 ▲同 角 ▽同 桂 ▲5八玉で先手優勢。
以下飛車がマシュダ一家&シーザー風に泡踊りで再度55地点に逃げた場合の変化
▽5五飛 ▲8二角 ▽6四角 ▲9一角成 ▽6五桂 ▲6四馬 ▽5七飛成 ▲6九玉 ▽6四歩で先手駒得で優勢。
飛車が縦に逃げた場合も同様に先手が82地点へ角が打てる。シーザーが一昨日見せた上記角抜き変化も怖くない。飛車を成らせても怖くない。内藤手順の46歩という手堅い変化でも先手は凌げるが、名人はもっと怖い変化ではっきり優勢となる順を選択したので上記変化は水泡と帰したのであった。
森内名人応援HPの掲示板に将棋会館の解説会で紹介された加藤一二三の変化手順がある。羽生の狂乱55飛を胡蝶の舞とする46角打ちである。
加藤一二三変化
▽5五飛 ▲4六角 ▽8五飛 ▲7七桂 ▽8四飛 ▲6五桂 ▽同 桂 ▲9一角成
この変化に加藤一二三は自宅で2時間も考えたそうであるので91角成までは信頼できる。そこで以下どうなるかと言うと後手はこの91の馬が先手陣に戻られては敗勢となるので64角と合わせて馬と角の交換をまず計りたい。この交換を嫌って先手が馬を逃げると以下の危険な変化がある。
マシュダ一家変化
▽6四角 ▲9二馬 ▽8六歩 ▲9三馬 ▽8七歩成 ▲8四馬 ▽7八と ▲同 銀 ▽5六桂 ▲同 歩 ▽4六角 まで後手の勝ち
桂馬二枚を駆使したご存じ羽生得意の玉頭V2固めで即詰みとなる。先手が46角と打った場所に後手の角が飛び出せるところが対象64角の攻防手となるのであった。森内が55飛に対して35歩としたのは加藤一二三が考えたように次に46角打が今度は成立するという意味を持つ双頭手である。飛車の横利きが開通し羽生トドメの46角が成立しない。そこで羽生の封じ手36歩はこの飛車の横利きを遮断する意味を含有していることが判明する。ここで後手が46角打ならば同変化で飛車の横利きが36歩で遮断されている為に羽生に即詰み手順が残るのであった。しかしこのV2固めへの道は酔いすぎである。森内が発見した34歩はこの泥酔者をハンマーで打ち砕く名人の最強手順であった。胡蝶の舞はやはり狂乱の舞。
明日は早速名人戦第2局となる。厳しい日程であるが今度は銀波荘であるのでリラックスできるであろう。第1局二日目昼過ぎのあの33歩成前の直前の写真が下記で見られる。
http://www.asahi-net.or.jp/~wa9t-nkn/tsurumaki.html
素晴らしい写真である。盤が今にも裂けようとしている。後は急降下して行くイカロス。
森内名人は落ち着いた顔で結びの葛藤を楽しんでいる。羽生も穏やかな顔で入室しようとしている。
我々はこの直後に全員椅子から転げ落ちたのであった。
将棋界の戦略2 毎日VSファン 投稿者:マシュダ一家 投稿日: 2月26日(水)03時27分51秒
A級順位戦の大盤解説を携帯でネットに流されても実は毎日新聞はむしろ喜んでいる。しかし簡単にそれを許可したのでは面白くない。そこで以下の戦略となる。これは毎日VSファンの決戦である。
1相転移=大盤解説会でネットに棋譜を流さないでくれとお願い。戦形確認。
2相転化=最初はNHKのBS放送と同じ程度の棋譜内容がネットに流れる。戦形分岐点。
3相停滞=BS放送が中断し棋譜進行がわからない。全国のファンがイライラする。形勢不明。
4相転換=ついに全棋譜がリアルタイムでネットに流れ全国将棋ファンが熱狂する。勝敗より内容。
結果=今年の名人戦は異様に盛り上がり、竜王戦を凌ぐ棋戦であると全国で認知される。
これが毎日新聞の戦略である。まず権威をみせつける。しかし許すということである。そしていかにその棋譜が燦然と輝く内容であるかを認知させるのである。それには3で欲求不満を煽るのが一番である。