鉄腕アトムが将棋を指した場合1-12
MashudaBBS2003.04.07-08
そう。このように無駄な機能を沢山もった機械が売れる時代なのである。合理的だけというモノは実は味気ない。現在売れる商品とはまずデザインのいいものである。強靭かつ軽量プラスいいデザイン。カワイイ。ワケわかんないクセがある。なんとなく死ぬまで付き合いたい。そのような商品が将棋を指す鉄腕アトムであった。
七つの秘密
7=長時間の正座に疲れない。
実は正座ができるロボットであるというのがアトムのセールス・ポイントである。現在開発中の人型ロボットは転んだときに手を曲げて体を保護し自分で立ち上がることができる。子供でもできるこんな動作を開発するのに一体何年無駄にしたことか。それより人間ができないことを真っ先にやらせるべきであった。それが長時間の正座である。
七つの秘密
6=人間に勝つとなぜか頭を下げる。
よく考えて見ればプロ棋士も勝ったのに相手に頭を下げるのであった。ロボットにとってこれは無駄なエネルギーである。さすがにアトムは無駄な機能満載である。
七つの秘密
5=アトムは扇子で顔を扇ぎ、時々オナラをする。
なぜこのような全く役に立たない機能を備えているんだと怒ってはいけない。もともとそのように丸で役にたたないモノという法外な動機で作られたのである。
七つの秘密
4=二台のアトム同士が対戦すると持将棋に至るまでに何手でも無限に指せる。全ての駒を盤上に埋めて最初から将棋を指し直すような戦いが延々と続くのである。歩や桂香が全て成り駒になり、と金がじわじわ下がってくる。そこで先にエネルギーを消耗した方が負ける場合がある。よく見れば人間と同じであった。
七つの秘密
3=千日手を必ず回避してくれる。そう。アトムは後手番でも人間相手には絶対に千日手にしない。では二台のアトム同士で対戦させたらどうであろう。この場合千日手が生じる筋は互いに避けるために必ず引き分けとなる。持将棋となるのである。
2=アトムは感情を持つので負ける時がある。
アトムに勝つには怒らせると良い。頭からヒョウタンツギなどがでてくる。そして悪手を指して最後は泣くのである。これが人口知能というものの醍醐味である。仮にも知能と呼ぶからには喜怒哀楽を人間と同じように感じなくてはならない。負けると大粒の涙を雨のように流すのがアトムである。
このアトムが爆発的に売れる理由はその七つの秘密である。
1=アトムは人間の棋力に応じて最短の寄せ手順で将棋を指す。
これでは丸山と正反対ではないかと諸君等は思ったであろう。ところが丸山は最短の将棋を目指している。相手が戦意を失い投了することこそ最短の寄せ手順なのである。アトムは人間の棋力に応じてそれを促すように将棋を指してくれる為に愛情が沸くのである。
アトムが好きな戦形は角換り腰掛け銀である。ますます丸山アトム誕生は近い。昨日のアトムの空想誕生日に横歩取りで丸山が谷川に負けるのも愛嬌となる。なぜアトムは角換り腰掛け銀が好きなのかわかるであろうか？やはり序盤早々に大駒が駒台にあるということが大きな色気なのである。角を持ったり離したりしながら悩ましく考えるアトムがこよなくかわいらしい。四間飛車を指すアトムでは高級ロボットのデリシャス感に欠ける。ましてや相振り飛車など指すアトムでは幻滅である。
なぜ日本のエンジニアがここまで役立たずのモノに情熱を注いでいるかと言うと、創作チームの中堅どころは誰もが鉄腕アトムが好きだからである。フリッツ・ラングのメトロポリスにでてくるマリアではだめであった。やはり温かみのある笑うロボットでないといけない。棋士で言うと丸山の顔である。あの顔は頭に角が有ればそのまま鉄腕アトムのイメージとなる。谷川の顔ではこの商品は売れない。羽生でも売れない。やはりアトムに一番近いのは丸山の顔である。昨日は谷川に横歩取りで負けてしまったが、それで悔しくて布団で泣いている丸山アトムが売れるのである。
人間の英知を結集した将棋のような高度なゲームはアトムの宣伝にうってつけとなる。アトムは人知を越えていると一目でアピールできるのである。むずかしい計算をこなすより名人に将棋で勝ってしまった方がよほど機械は売れる。そもそも人型ロボットに金を湯水のようにつぎ込んでいる国は日本だけであった。根本はいかに世の中の役に立たない法外なモノをつくれるかという発想なのである。合理的な外国の企業は見向きもしない。現在の最先端人型ロボット一台のレンタル料が年間2000万円では、カワイイ秘書でも雇った方がよいと思ってしまうのである。
昨日は鉄腕アトムの誕生日であった。なぜ2003年かというと2001年宇宙への旅に遠慮した為である。
そこでアトムは実際できたかと言うと現在のロボット技術は一合目までであり、アトムができるのは50年後と科学者は言う。
近年、人間の将棋はコンピューターに勝てなくなると言われて久しいが大概負けるはずないという希望的観測で語られる。機械に羽生が負けるのは死んでも見たくないという感情である。しかし相手がアトムならば、羽生が負けてもいいじゃんかと思うのである。それが50年後では夢がないので5年後あたりが丁度良い。このアトムは将棋を指すだけなので空を飛ぶ必要もない。言葉を話す必要もない。ならば5年後には完成するであろうと言うことである。
「（イラク軍は）早く降伏すればいいのにね。犠牲者が少なくてすむのに」
本日小泉首相は記者団にそう語った。そのように言えるのはこれは戦争ではなく侵略であるからである。日本のマスコミは「イラク戦争」と書くが実態は「イラク侵略」である。当の小泉は首相就任後、第二次世界大戦で戦士した日本人、特に大平洋で散った神風特攻隊と自分を比するのが大好きであった。その時全国民は国会中継にだまされたのである。自分の命を神風特攻隊に比した小泉の芝居であった。対岸の火事は花火見物である。これは首相が生死を賭してやるような仕事ではなかったということである。無責任ということになる。その点将棋はその全責任が個人に帰す。棋士に向かって「早く降伏すればいいのにね」と言う場合その理由は「犠牲者が少なくてすむ」ではなく「観戦記でポイントが絞れる」ということである。ところがマスコミはこの戦争報道が特需なのですぐにやめてもらうわけにはいかない。いかに些細な戦果でもことごとく報道して金にする。社会部がそうであれば同じ新聞社の観戦記もこのようなモノとなる。読売が典型である。あの報道は戦争ショーである為に実に無責任な言葉が散乱するのである。
朝日準決勝羽生山崎戦の棋譜と解説が4月4日にＵＰされたが呆れてしまう。羽生の86香が妙手という。17分で指された手だがごく普通の手である。山崎も見落とし控え室も意外と言うからさらに驚く。小学生ならすぐに指す手なのである。山崎の歩切れを招いた54歩が大悪手というならわかるが、この手に山崎が期待していたという観戦記にはその真偽を疑ってしまう。ここまでプロ棋士とはオマヌケなのであろうか？
http://www.asahi.com/shougi/open21/k-semifinal2-1.html
参考=ゴキゲン中飛車分析1-10 第三ドメインの欠陥