ディエロン

This World

その草の繁みからその姿を現わしたのはちっちゃな女の子だった。
「おい、なんだおまえは?こんなとこで何してる?」
伸哉はそう言ったがその少女は質問には答えずこう言った。
「あんたが小早川伸哉?以外と男前じゃない。ようやく来てくれたのね、まあ少しばかり遅いけど、とりあえず私ん家に来てもらうわ。いろいろとやってもらいたいことがあるしね。」
「って、ちょっと待て。おまえ誰なんだ?・・・もしかして・・。」
「ふう、そうよ。私がこの山に住む魔女「サキ」よ。」
「なっ。」
ダブルショック。
この乳臭いガキが魔女?魔女ってもはババァって相場が決まってんだゼ。どうみてもヤムより年下っぽいぞ?
それに・・・サキだと?俺の所にメール送って来たのはこいつなのか?
ということはこの世界から俺達の世界にメールを送れるってことなのか?
「なにしてんの、いくわよ。」
「なあ、ちょっと待ってくれよ。いろいろ聞きたいことがあるんだが。」
「それは着いてから話すわ、ぼさぼさしてないで早くきなさいよ。」
「お・・おう。」
チッ、なんかむかつくぞコイツ。ガキの癖に偉そうに。
「なーにー何か言ったぁ?」
「なんでもないよ。早くいこうぜ。」
「・・だからアンタが早く来なさいよ。」
む、やっぱりイケスカないぞコイツ。
伸哉はブツクサ文句を言いつつサキの後についていった。どんな相手だろうがしかたない今はこの少女な魔女にしか頼る者はいないのだ。

そして道は続き一つの丘を超えた所で視界が広がった。
そこは小さな川が流れ小鳥のさえずりが聞こえる、それは美しい花畑であった。

GO8