MOONSTON(FELDSPAR)


オーバル フラワーカット 6.06ct


MOONSTONE(ムーンストーン)/和名 月長石/結晶系 単斜晶系/モース硬度 6/ルナリス
かつてムーンストーンとは月の光のようなシーンの出る鉱物に付けられる長石(フェルスパー又はフェルドスパーグループ)の一般的な宝石名でした。ムーンストーンという鉱物は、実は存在しません。←ここ重要。
長石族はその成分によって、12種類、4系列に分類されています。が、その分類は誠にもって複雑怪奇。鉱物学的に厳密に解釈し対処しようとすればするほど、その現実に複雑な気持ちになるという謎システム。いえ、鑑別に出せばクリアになる案件ではあるのですが、鑑別代の方が高くついてしまうという痛し痒しなこの現実。宝石業界があまりにアバウトな対処をしていた現状に文句も出ようというものです。それがどうしたことでしょう。最近是正されました。ことの経過や雑感は省きますが、実に喜ばしいことです。宝石名なのだから、鉱物のようにそこまで厳密に分類するのは無粋だという向きもあるようですが、今までなんとなくで販売していた宝石業界の方も、顧客の厳しく、そして真摯な疑問に、完璧とは言えないまでも真面目に対処するようになってきたと云う事です。気にする気にしないはともかく、これは誠実な行為だと思います。
ふじもりさん的には、ムーンストーンとは、成分にかかわり無く、オパレッセンスの出るフェルスパーグループの鉱物に付けられる宝石名って事でいんじゃね?。見た目がムーンストーンぽいフェルスパーの宝石名としてなら、ブルーだろうがレインボーだろうが、はたまたゴールデンだろーが、○○ムーンストーンで結構ですよ。でも、鉱物名と産地も併記してくれると嬉しいな。これは開眼というより諦観?まぁ立ち位置の問題なので、拘りたい人はとことん拘ればよろしいでしょう。それよりなんでラブラドライトがこんなに高騰しているのかという方が、ふじもり的にそれこそ大問題なわけですよ。
さて本題。長石族で最もポピュラーなムーンストーン(月長石)はオパレッセンス(蛋白光。乳白色や真珠光沢)を示すスリランカ産のオーソクレース(正長石系カリ・ソーダ長石)の一種で、青色や白色のシラー(またはシーン)が月光の様に見える事から名付けられました。白いシラーが一般的ですが、青白いシラーを示すもの(ブルー・ムーンストーン)もあります。しかし近年スリランカでの産出が激減したため、インドを中心に斜長石系の曹灰長石(ラブラドーライト)が市場で多くなると、その美しさが月長石として認知される様になって来ました。
他には、オレンジ・ムーンストーン、オレンジーピンクのピンク・ムーンストーン、淡灰緑色のグリーン・ムーンストーン、淡灰色のグレー・ムーンストーン(ブラック・ムーンストーン)などがあります。
スリランカのムーンストーン
オーパル カボションカット 0.6ct
スリランカ産
オーバル フラワーカット 2.15ct
スリランカ産
本筋ヾ(゚ω゚)ノ゛。
ブルーのシラーが浮かぶ所謂ブルームーンストーンです。
スリランカのムーンストーンはアルカリ長石系列に属しますが、産地によって成分が大きく異なり見た目にも違いがあるようです。ぐすぐす書き連ねていると長くなるので割愛しますが、古典的産地であるスリランカのムーンストーンはある種ブランドであり、他産地のムーンストーンに比べてプレミアムが付いている事は確かです。
ファンシーカラーのムーンストーン
オーバル カボションカット 5.42ct
オーバル カボションカット 4.36ct
オーバル カボションカット 10.55ct
ラウンド カボションカット 8.14ct
綺麗なオレンジ色をしたムーンストーンです。キャンディーの様においしそうです〜。
スチール・グレイがクールでス。
ポピュラーなムーンストーンファミリーの中ではあまり知られていないタイプのお石じゃないでしょうか?
幾重にも重なり合ったインクルージョンによる光の相互作用によって現れる虹色効果がラブラドライトの最大の特徴で、ラブラドレッセンスと云う特有の効果ですが、この結晶にはその効果が見られません。特別美しいと言う訳でもなく、市場にもあまり出て来ないようです。ブラック・ムーンストーンと呼ばれています。
ラウンドカボションのムーンストーンで、なんとも幻想的な半透明の石です。正長石と曹長石の互層状組織構造の為に、シラーが出る訳ですから、当然といえば当然なのかもしれませんが、シラーがシャトヤンシー臭いです。この写真では判り辛いですが、もうちっとハッキリ出てます。
レインボー、ロイヤルブルーのムーンストーン
オーバル カボションカット 2.02ct
オーバル カボションカット 1.93ct
幾重にも重なり合ったインクルージョンによる光の相互作用によって現れる虹色効果がこの結晶の最大の特徴で、ラブラドレッセンスと云う特有の効果です。この虹色の効果のために、レインボー・ムーンストーンの宝石名で、最近市場で良く見掛ける様になりました。
フィンランド産の結晶にはスペクトロライトの呼称があります。
背景が白いので、特徴的な青いラブラドレッセンスはあまり目立ちませんが、全体に満遍なく、綺麗に出ています。
ロイヤルブルーの名前は、やや濃い目のブルーを示す名称で、しばしば良質なサファイアに使われたりしますが、ムーンストーンに使われる場合も同様に、美しい幻想的な青色の輝きが、こう呼ばせる事になったのでしょう。ロイヤルブルーに恥じない、美しいシラーが高貴な印象を与える結晶です。
こちらはソーダ長石とカルシウム長石の混合で、プラジオクレース系の中の斜長石と云う分類になります。ムーンストーンと呼ばれていますが、カリ長石系(正長石系)のムーンストーンとは構成成分が異なるため厳密には別系列に扱われています。
ファセットカットされたムーンストーン
オーバル フラワーカット 6.06ct
インド アンデラ産
爽やかな、ライムカラーをした美しいグリーン・ムーンストーンです。大抵はカボションカットされる中、ムーンストーンには珍しく半透明なため、ファセットが施されていますが、それに見合うクオリティーを持った逸品。
本当に、絞り立てのライム果汁を思わせるフレッシュさの中に、真珠光沢のシラーがとても幻想的。ちゅっぱっ!


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