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全国制度研 2013 冬の集会 in 大阪


お金の心配をさせない学校づくりを!
 
 
冬の集会写真  2013年2月2日(土)に昨年に続き「学校のお金」をテーマに、大阪で開催されました。
第1部は『公教育の無償性を実現する』(福祉国家構想研究会編/大月書店)の著者のお一人である石井拓児さん(愛知教育大)に講演をお願いしました。
 第2部は「学校のお金にまつわるアレコレ!」をテーマにお二人から報告をいただきました。
 そして今集会では第3部として福島の仲間から「3.11その後」と題し、報道されない福島の“今”をリレー方式で報告していただきました。

 
 
 
【第1部】講演と交流
    公教育無償への道すじ〜すべての子どもを学びのスタートラインに〜
            講師 石井拓児さん(愛知教育大)


 戦後日本の教育費における私費依存体質は、その要因の一つが各家庭に対する子育て費の公的支援・保障制度がほとんど未確立であり、 日本型終身雇用、年功型賃金における付加的手当と扶養控除でわずかに援助されてきたにすぎなかったことを示されました。 そして日本型雇用が解体しつつあり、社会的に手当てされない人が増加し「子どもの貧困」がより深刻化している。
 また諸外国に比べ日本に於ける「児童手当」は極めて制限的で、 それ故「扶養手当」や「扶養控除」「教育ローン」が発展して制度が形成されていった過程、 そして日本における教育費の構造の特質をわかりやすく解説して下さいました。
 最後に公教育の無償性を実現するための新しい制度に向けての展望が示されました。
 質疑の中で著書『公教育の無償性を実現する』のタイトルについて「何故“無償制”ではなく“無償性”なのか」という質問があり、 福祉国家構想研究会の中でも当初“無償制”や“無償化”という言葉が使われていたが、 「教育はもともとある性質として無償である」ということで“無償性”が使われることになったという説明もありました。

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【第2部】実践と交流 「学校のお金にまつわるアレコレ!」
    保護者負担軽減に向けて
            長野県公立小学校事務職員


多くの消耗品費が保護者負担になっていること、保護者の経済状況が学校で見えていないが、 町の税収状況から子どもたちの家庭にも影響があるはずだと考えたこと、 さらに統合により保護者負担が少ない小学校から入ってくる家庭の経済的負担を増やしたくないとの思いに触れ、 様々な保護者負担軽減にとりくまれています。
 報告者は“チマチマとしたとりくみ”と言われましたが、それらは予算や学年会計を細かく分析し、 一つひとつ丁寧にとりくまれている様子が伝わってくる報告でした。 そして教員の意識も変わりつつあること、教員から保護者負担軽減に繋がる予算要求があがってくるなど、 とりくみは確実に拡がっています。

    大阪市の就学援助制度(現状)
            大阪市公立小学校事務職員


 大阪市からは就学援助制度の現状が報告されました。
 給付額が学校徴収金相当額となった大阪市の就学援助制度は、 卒業アルバムや社会見学費用も全額支給、また欠席などで発生するキャンセル料も支給対象となるなどメリットもあるものの、 入学準備金は領収書の添付が必要で、お下がりを利用した場合など、限度額が全額支給されない場合もある。 学校徴収金相当額なので個人で購入する文具(絵の具、リコーダー、習字用具など)が補助対象とならない。 途中で購入する体操服などの買い換えも補助対象外などデメリットも多い。一人の子どもでみると、6年間の総額は定額支給だった頃より減っている。
 未納対策がウリで、市の就学援助システムと徴収金システムがリンクしており、就学援助が認定になると、 援助費はそのまま学校徴収金に充当され学校での未納はとりあえずなくなる。
 申請漏れがないかなど、きめ細やかな対応と、公費で購入できるものを増やす取り組み、 リコーダーなども領収書の添付で支給対象にするなど今後の課題も示されました。

  ※学校で集金しているお金の表記について:
       このページおいては大阪市の就学援助の案内が使用している「学校徴収金」にあわせています。(ホームページ管理者)


【第3部】特別報告
    「3・11 その後」 福島から
            福島県公立学校事務職員


 あの日から2年が経過しようとしています。政府は「収束」宣言を行いましたが、 知られていないこと、知らされていない福島の“今”を6人の学校事務職員(文書報告含む)から報告していただきました。



     5月発行予定の「子どものための学校事務」121号に報告を掲載します。