今、日本はあらゆる意味で危機にあり、これが構造改革を唱える小泉人気に象徴されている。
本当に構造改革をしようとするならば財政・金融・環境等、構造の根幹の結節点である公共事業を根本からたださなければならない。
とりわけ東京を始めとする大都市の公共事業こそ、そうしなければならない。
本件連続立体交差事業こそ、その代表的なものである。
そのためには、事業の内容と進め方を基本的に改めなければならない。
我々は高架ではなく地下鉄を、地表に緑のコリドーをつくりコンクリートの街から潤いのある街へというオルタナティヴを提起して、事業内容の転換を求めてきた。
また情報公開等国民主権に相応しい事業の進め方を求め、これと全く相反する事業の官僚専権を訴訟の内外においてただそうと基礎調査の公開など類例を見ない成果をあげてきた。
本件の審理が本格的に進むにつれて、本件事業の内容とその進め方に国民を愚弄し、都市環境を破壊する極めて重大な違法があることが明らかとなった。
本日の判決はこの点を充分見抜いて、建設大臣(関東地方整備局長)の都市計画事業の認可を取り消した。
これは我が国において例を見ない英断快挙である。
しかも、現に工事が一部進行している事業に対してなされたものであるだけにその歴史的意義は計り知れない。
進行しているものについても、それが間違っていれば直ちに中止しなければ我が国の事業の根本をただすことは出来ないのであるが、かつてなされたことはない。
この理を判決で明確にしたことは、我が国の司法の健在であることを見事に示し、国民に現在と未来に対する希望を与えたのである。
政府と東京都、そしてこの事業を推進してきたあらゆる人々は、このことに今こそ気がつくべきである。
判決に謙虚に耳を傾ける姿勢が今、求められているのである。 われわれは要求する。
政府と東京都はこの判決に従い、市民側と直ちにテーブルにつき、地下を基本とした本件事業の根本的見直しをすることを。
2001年10月3日