Top of Sculpture
*彫 刻 *
Siem Reap データ 超・私的見解など
ヴィシュヌ

シェムリアップ州:
プノン・クーレン
Rup Arak付近
アンコール期
9世紀前半
クーレン様式
砂岩
高さ:190cm(枠含む)
ギメ国立東洋博物館
(Guimet,Paris)
こんな像が密林の岩陰に立ったまま発見されるなんて奇跡としか言いようがない。祠堂から誰かが盗み出そうとして余りの重さに放置したのだろうか。涼しげな顔立ちで、体つきは肉質というか骨というか、そういったものが感じられず、のっぺりした印象。
しかし、こんな彫像が発見されていたなんて、少しも知らなかった数年前のアンコール遺跡の展覧会の時、「変だな。ギリシャかエジプト辺りの展覧会にまぎれこんでしまった?!」と錯覚した。アンコール遺跡の凄さは、こういうところにもあるのだ! よく見れば、クメール独特の姿をしている。
ヴィシュヌ
シェムリアップ州:
プノン・クーレン
Prasat Damrei Krap
南祠堂
アンコール期
9世紀前半
クーレン様式
砂岩
高さ:179cm(枠含む)
プノンペン国立博物館
背部の支えのアーチもないというのに、何一つ失うことなく発見されている。1200年もの昔が、目の前にある。彫り師の違いだろう、上の像とは顔の雰囲気がかなり違う。リンテルを彫るのと彫像を彫るのとではどちらが技術を要しただろうか?
女神:Female Divinity
シェムリアップ州:
Pr. Trapeang Totung Thngay
アンコール期
10世紀後半
バプーオン様式
砂岩
高さ:102cm
プノンペン国立博物館
目には貴石などが象嵌されていたようである。しかし、象嵌と言うだけでバプーオン様式と決めるのはどうかと思うが、この像はサンポットもバプーオン様式である。 タイのプラケオ博物館の像の目には貝を嵌めてあった。貝だから残っていたのかもしれない。貴石だったら盗まれていただろう、多分。
神像=シヴァ?
シェムリアップ州:
バンテアイ・スレイ
10世紀第3四半期
バンテアイ・スレイ様式
紅色砂岩:32cm
プノンペン国立博物館?
(未確認)
バンテアイ・スレイ修復再建の時、守護神(ナラシンハ・ガルーダ・ハヌマン・ヤクシャ)の元の場所はそれぞれ見つかったが、この頭部のみ据える胴体が見つからなかった。
当時バンテアイ・スレイには、頭部のない片膝を立て座った胴体が正面と中央祠堂拝殿の北に2対置かれていたが、それらの頭ではなかったのか?頭部だけで言えば、門衛神と同じだが、額に第三の目が彫られているからシヴァ?
仮にこれがシヴァとして、胴体は何処?
ただ、資料が古いため現在は明確になっているのかもしれない。
と書いた後日この頭像は、中央祠堂の西の物という記述を見たが・・・???
この頭像はプノンペン博物館で見た記憶がなくて見落としたよう・・・
横たわるヴィシュヌ

同比率比較:横たわる「よ」
シェムリアップ州:
西メボン
11世紀後半
バプーオン様式
ブロンズ:現存サイズ
222cm×122cm
全身だと6m?
プノンペン国立博物館




日本国:出土不明
20世紀後半
現存サイズ:151cm
現存するクメールのブロンズ彫刻では最大である。目の象嵌や冠は失われている。よく見ると冠を留めた跡と思われる窪みや穴を、頭部ぐるりに見ることができる。親指の太さは、小さい大人の親指と人差し指で「丸」を作ったくらいだ。
周達観の真臘風土記(1296年)にもこの像の記述があるが、彼は西バライを「東の池」、つまり東バライと思い違いをしていたようだ。
彫像の中で、一番強烈な印象を与えてくれた。
小さな遺跡、西バライの泥中から発見される。写真で見てもサイズを見ても、大きさはなかなか実感できない。是非プノンペン国立博物館を訪問し体感して!

失礼して横になってみたけど・・・

ジャヤヴァルマン7世座像
シェムリアップ州:
クロル・ロメア
12世紀末〜13世紀初頭
バイヨン様式
砂岩:高さ123cm
プノンペン国立博物館

博物館の奥の回廊、丁度真ん中当たりに陳列されている。顔の高さぐらいに膝があり、皆が触りまくっているためか、そこだけピカピカしている。触ってはいけない!と辛抱した・・・(本当は触りたかった!ジャヤヴァルマン7世の頭像も近くに陳列、しかし頭像は誰かが台にレプリカと落書きしてあった)
発見されたというクロル・ロメアは珍しい円型の遺跡である。なんだか曰わくありそうで、何度か訪れてしまった。
この像がジャヤヴァルマン7世という確証はない。頭像でジャヤヴァルマン7世の肖像と言われているものもあるが(コンポンスヴァイのプリヤ・カン出土)、確かに顔は似てはいるが、彫り師の個性・癖というべきだろう。デヴァターやアンコール・トム北の森(K.ロメアの近くなのかなぁ?)で発見されたという女尊立像(子どもの像)の顔つきもそっくりだ。
しかし、見入っていると不思議なとても落ち着いた気分になり、今にも目を開きそうな温もりを感じる。
女尊

シェムリアップ州:
アンコール・トム北の森
アンコール期
12世紀末〜13世紀初頭
バイヨン様式
砂岩
高さ:94.5cm
プノンペン国立博物館
ジャヤヴァルマン7世座像の顔によく似ている。頭に化仏(けぶつ)を頂くことから、ターラー(多羅菩薩)かプラジュニャーパーラミター(般若波羅蜜多菩薩)といわれているが定かではない。
口角がきゅっと上がっていて閉じた目元は、いたずらっ子の感じがする。この彫像やジャヤヴァルマン7世像は、妙に心惹かれる。何故なんだろう・・・
女尊

シェムリアップ州:
プリヤ・カン
アンコール期
12世紀末〜13世紀初頭
バイヨン様式
砂岩
高さ:130cm
ギメ国立東洋博物館
(Guimet,Paris)
これとほぼ同じ像がプノンペン国立博物館にもあるが、鼻は欠けているし状態はよくない。フランスは良いものを持っていったのか?
上の子供の像と同じターラー(多羅菩薩)かプラジュニャーパーラミター(般若波羅蜜多菩薩)といわれているが、こちらも定かではない。プリヤ・コーで発見されたラクシュミも同じ顔をしている。
2001年から2002年にかけてのバンテアイ・クデイ調査(上智大学)で多数発見された像の一つに、これとよく似た顔つきの頭部があった。
彫り師の個性・癖なのか、個人を特定して彫ったものか気になるところだが、私的には彫り師の個性・癖。
顔の造作の割に他はとても稚拙な印象がある。
ジャヤヴァルマン7世の最初の王妃ジャヤラージャデヴィーの肖像という説もある。
ひざまずく女性(鏡台)

シェムリアップ州:
アンコール・トム:
バイヨン
Angkor Wat様式
12世紀前半
ブロンズ
高さ:34cm
プノンペン国立博物館
入り口左のブロンズの小品のショーケースの中にある。
扇形に結った髻(もとどり:髪の毛を束ねた所)には溝があり、鏡を差し込み両手で支えたらしい。ただ、溝と掌とはちょっとずれていたような気がするんだけれど・・・
ヴァルナ:Varuna

シェムリアップ州:
プラサット・クック・ドーン
アンコール期
10世紀第三四半期
プレ・ループ様式
砂岩
高さ:77cm
プノンペン国立博物館
司法神だが時代と共に地位が低下、西方の守護神・川や海を支配する神として信仰される。ヴァルナの乗り物はマカラだったりガチョウだったりする。
コンポン・スヴァイのプリヤ・カン東塔門手前の 参道環濠壁に、顎をしゃくり上げたガチョウが連なって彫られている。
Siemreapの*TOP*

彫刻 Sculptures
・Siemreap
・Kompong Thom
・出土不明・ Ta Keo ・Kandal ・Svay Rieng ・Battambang ・Kratie ・Prea Vihear ・B.Meanchey