実際的なロケット工学

ロケットのはじまり

 最初のロケットは、中国で作られた「火箭」であったが、あまり信頼性が高いというものではなかった。多くが発射の時に爆発してしまったりした。また飛んでいったものも、コースが狂って、どんでもないところに落ちたりした。火箭時代のロケット技術者は、非常にエキサイティングな仕事ではあったが、また非常に危険でもあった。
 今ではロケットはずっと信頼できる。あらかじめ決められたコースに正確にそって飛んでゆき、地球重力から脱出する十分な速度を得る性能を持っている。現代のロケットはより効率的である。それは今日私たちはロケットについての科学原理に基づく理解をもっているからである。理解は、幅広い高度なロケットのハードウエアーと、より長い飛行と強力な発射が可能な推進剤の開発に導いた。

ロケットエンジンと推進剤

 大部分のロケットは今日固体燃料、液体燃料のどちらもが使用されている。よく考えられるように推進剤という言葉は単に燃料を意味しない:それは燃料と酸化剤を意味する。燃料は化学ロケット燃焼であるが、燃焼が起こるためには酸化剤(酸素)の存在が必要である。ジェットエンジンは外気から酸素をエンジンの内部に引き入れる。ロケットはジェットのように楽は出来ない。ロケットは酸化剤を空気のない宇宙空間まで運んでいく必要がある。
 固体燃料推進薬(触った感じが乾燥状態)は、燃焼剤と酸化剤を混合して含んでいる。通常燃焼剤は水素複合炭素化合物であり、酸化剤は酸素複合物である。液体推進剤は、冷却して液化したガスで、酸化剤と燃焼剤を別々の容器に格納している。そして燃焼する際は、エンジン内で混合される。
 固体ロケットは、エンジンが最も単純な構造になっている。それはノズル、ケース、絶縁材、推進剤と点火具からなる。エンジンケースは推進剤が異常燃焼しないように内面を絶縁材で被服された比較的薄い金属である。推進剤は絶縁体層内でパックされている。
 中心部に空洞がないロケットは、推進剤の後方端部で点火され、燃焼面は前方に向かって進行していく。推進剤は表面燃焼する。もっと大きな推力を得るために、中心部に空洞を持つものが使用される。これは燃焼面が大きく取れる。推進剤は高い効率で内部から外部に向かって燃焼する。そして作り出される燃焼ガスは、より高い速度でエンジンから噴出する。よってより大きな推力を発揮する。さらに燃焼面を大きくするために、星型の空洞を持つ推進薬形状もある。
 固体燃料に点火するために、多くの種類の点火具が用いられる。火箭は導火線で点火された。しかし時々早過ぎてロケット技師を燃やした。現在使用されているより安全で信頼できるのは電気点火方式である。電線は推進薬の発火点まで温度を上昇させる。他の点火具は熱電線より高度である。それらのいくつかは初期燃焼を誘発するような化学薬品が使われてい手てそれが推進薬発火を誘発する。さらにもっと大型ロケットではロケットエンジンそのものが点火装置として使用される。小さなエンジンが中央の空洞部にしかけられていてそれが炎と高温のガスを発生して、短時間で推進剤の全面積に燃焼を誘発する。
 固体推進薬エンジンは後方が開いていてそこから高温膨張燃焼ガスが噴射する。ノズルは手前が一旦狭くなっていてスロートと呼ばれる。スロートの後方は円錐状に広がっている。一旦狭くなって圧縮された排気ガスは、ノズルで最大に加速されて大きな推力を発揮する。それがどのように働くかは、庭の散水ホースのノズルアタッチメントで実験できる。この種類のノズルには、出口が円錐状ではないが、そのことは実験上問題ではない。ノズルについての大切な要点は、開口部の寸法を変えることができることである。最も開いた状態から始める。水がどれくらい遠くに飛ぶか、水によって発生する推力がどれくらい手に感じられるかを観察する。水の吐出口を絞って、水の飛ぶ距離と手に感じる推力がどう変わるか観察する。ロケットノズルは同様の働きをしている。
 ロケット外函内部表面と同様に、絶縁材で高温ガスからノズルを保護する必要がある。一般的な絶縁体では、ガスが通過するにつれてだんだん腐食していく。絶縁体の小さな破片は非常に熱せられてノズルから取れてしまう。熱はそれらを吹き飛ばしてしまう。
 他のロケットエンジンの種類は、液体燃料を使用するものである。これはずっと複雑なエンジンである。そしてそれは、最初の液体ロケットエンジンが成功するまで、固体ロケットエンジンが少なくとも700年以上にも渡って使われていたということが物語っている。液体推進薬は、燃料と酸化剤が別々の貯蔵容器に納められている。またそれぞれがポンプとノズルを持ち、燃焼室まで導かれる。
 液体ロケットの燃料は、一般的にはケロシンまたは液体水素である。酸化剤は一般的に液体酸素である。それらは燃焼室と呼ばれる空洞で混合される。ここで推進剤は燃焼し、高温と高圧を発生し、膨張したガスは後方のノズルを取って噴射される。推進剤が高い力を発揮するには、出来るだけ完全に混合されなければならない。燃焼室の天盤には小さな噴射器があり、噴霧して燃焼剤と酸化剤と混合する。燃焼室は高い圧力になっているので、推進剤にはもっと高い圧力がかかっていなければならない。推進薬容器と燃焼室の間には、強力な軽量タービンポンプが取り付けられており、その働きをしている。ロケットなら、特に液体ロケットでは、重量はもっとも大きな要因である。一般的にロケットが地上から持ち上がるためには、少なくともロケット自体の重量より、推力の方が大きくなければならない。液体ロケットエンジンは固体ロケットエンジンより、ポンプや燃料系統が必要な分、重くなってしまう。
 液体エンジンの軽量化の方法として、超軽量金属でノズルなどをつくる方法がある。しかし非常に高温高速の噴射ガスが薄くて軽い金属を溶かしてしまう。そこで冷却系統が必要になる。いくつかの液体ロケットエンジンで使われている高度な冷却方法は、液体水素の超低温を利用している。水素の液化温度は氷点下253℃である。液体水素は燃焼室に噴射される前に、小さな管でロケットエンジン噴射コーンの壁を、ぐるぐると紐を巻きつけたように回されている。ロケットエンジンの噴射コーンの断面を見ると、ダンボールの切り口に良く似ている。チューブの中の液体水素は、エンジンの過剰な熱を吸収して、その壁が溶けてしまうのを防いでいる。また熱を吸収した水素も活性化する。この方法はリジェネレーティブ冷却システムと呼ばれている。

エンジン推力制御

 エンジンの推力を制御することは、ペイロード(積荷)を軌道に送り出すために、大変重要である。過大な推力とか、時間を間違うとかすると、衛星が間違った軌道に行ってしまったり、あまり遠くに行ってしまって役に立たなくなってしまう。また過小な推力では、衛星が地球に戻ってきて、落っこちてしまうようなこともありえる。
 液体ロケットエンジンは、燃焼室に入る推進剤の量を変化させることで、推力を調整する。ロケットの誘導装置にコンピュータが入っていて、必要な推力を制御するために推進剤の流量を刻々決めている。月に行くような複雑な飛行では、何度もエンジンを止めたり動かしたりする。液体エンジンでは、燃料を送ったり止めたりすることで、単純にこれが行える。固体ロケットでは液体ロケットほど制御が簡単ではない。一旦指導すると燃料が尽きるまで燃える。燃焼を止めたり、推力を絞ったりすることが困難である。ときどき飛行中のエンジンを停止するために、消火器をロケットに組み込むことがある。しかしかなり扱いにくい手順が必要で、必ずしも働かない。いくつかの固体エンジンでは、遠隔制御でエンジン側面壁に設けた扉を開いて、エンジン内の圧力を開放して推力を終了する機構が設けられる。
 固体ロケットの燃焼速度は、前もって慎重に計画される。推進薬中心部の長さ方向に設けられる空洞は、星型の形状にしたりされる。燃焼開始時は推進薬表面を広く確保し、星型部分の燃焼が進むと、表面積は減っていく。燃焼する推進薬が減るので、推力が減少する。スペースシャトルは軌道への飛行の初期に振動を減らすため、この技術が用いられている。

注意:

 政府や研究機関によって使用されているロケットのほとんどは信頼できるものであるが、今だロケットの製作や使用には大きな危険が含まれている。ロケット工学に興味を持つ人は、決して自身の創作エンジンを作ろうとしてはならない。最も単純な見かけをしているロケットエンジンでも、非常に複雑でデリケートである。壁の防爆強度・燃料装填密度・ノズル設計・推進剤化学などは、ほとんどの素人ロケット家の知力や力量が及ぶ範囲ではない。ほとんどの自作ロケットエンジンは製作している人を巻き込んで爆発し、悲劇的な結果を招いた。

安定飛行と制御装置

 高性能のロケットエンジンを作ることは、ロケットの成功のためのまだまだほんの出発点に過ぎない。ロケットは安定飛行しなければならない。安定したロケットとは、決められた方向に滑らかに飛ぶものである。不安定なロケットは突飛な方向に飛んだり、いきなり方向を変えたりする。どこに飛んでいくのかわからないので、不安定なロケットは非常に危険である。いきなりひっくりかえったり、発射台をめがけて飛んできたりするかもしれない。
 ロケットの安定確保にはいくつかの制御方式がある。能動方式と受動方式の2つに分けられる。初めに何がロケットを安定にするか不安定にするかを知ることが重要である。どんな物体にも寸法・質量・形に関係なく、質量中心(CM)と呼ばれる点がある。質量中心は、その物体の質量の全部が完全に平衡する地点である。指の上天秤のようにのせれば、定規のようなものの質量中心を簡単に見つけることが出来る。定規の形や材料が均一であれば、質量中心は両端から等距離の場所(定規のまんなか)にあるはずである。木で出来た定規の片方に釘を打ち込んだりすると、もう質量中心は定規のまんなかではない。つり合い点は、釘のある方にちょっと近づくだろう。質量中心は飛行中のロケットでたいへん重要である。なぜなら不安定なロケットは、このポイントを中心にして回転する。実際飛行中のどんな物体でも回転するような傾向がある。棒を投げ上げると、それは上端と下端が入れ替わるような(タンブル)回転する。ボールを投げると、飛ぶ間にスピンする。スピンやタンブルという動作は、飛行中の安定的な調和状態である。フリスビーにきちんとスピンをかけて投げると、思うところに飛ばすことが出来る。ではスピンをかけずに投げてみるとよい。フリスビーは変な飛び方をして、目的の場所まで飛ばないだろう。
 飛行中、スピンやタンブルは、それぞれが3つのうちのひとつの軸のまわりにおこる。それはロール(横揺)、ピッチ(縦揺)、ヨー(偏揺)と呼ばれる。この3つの軸が全部交差するポイントが質量中心である。ロケットの飛行のためには、ピッチ軸とヨー軸は、ロケットの飛行する軌道に直接関わるので、大変重要である。ロール軸は軌道そのものには直接影響しないがやはり重要である。実際ローリング運動は、スピン回転をかけられたラグビーのボールがまっすぐ飛ぶように、ロケットの軌道を安定させる補助的な方法として用いられる。ラグビーボールならタンブル回転したり、ピッチ回転していてもなんとか目標に到達することもあるが、ロケットはそうはならない。ラグビーボール軌道では作用反作用のエネルギーは投げる瞬間だけである。ロケットでは軌道飛行中にエンジンの推力が働いている。ピッチ軸とヨー軸の不安定な運動によって、ロケットは計画軌道からズレてしまう。この防止のために、制御装置は不安定な運動を防いだり、できるだけ小さなものに抑える必要がある。
 質量中心の他に、飛行に影響を与える重要な点がもうひとつ存在する。それは圧力中心(CP)である。ロケットが動くとその周りに空気の流れがあるとき、圧力中心は存在する。流れる空気は、ロケットの外表面を擦ったり押したりして、3軸のうちひとつの軸の周りにロケットを動かすことがある。しばらくの間、風向計(風見)について考えてみよう。風見とはときどき屋根の上についている、風向きを知るための矢のような棒である。矢は垂直の棒の上に、ピボット(旋回軸)で取り付けられている。質量中心が正確に旋回点になっていて、そこで矢はつり合いが取られている。風が吹くと矢は回って、矢の先端が風が吹いてきた方向を指し示す。矢の尾は風下方向を示す。風向計が働く理由は、矢の尾が先端よりかなり大きな面積をもっているということである。流れる空気は先頭より尾に大きな力を働かせて、尾を押しのける。前後の表面積が同じになる点が矢の中にある。このが圧力中心と呼ばれている。この圧力中心は、質量中心とはおなじ場所にはない。もし同じ場所なら風は前部と後部のどちらもより強く押さないので、風向計は風向きを示さない。圧力中心は、質量中心と矢尾の間にある。これは先端より後尾に多くの表面積があることを意味する。
 ロケットでは、圧力中心が質量中心と後端部の間にあり、質量中心が先端側にあるkとが重要である。もしそれらが同じ位置か、非常に接近していると、飛行中のロケットは不安定である。そのロケットはピッチ軸とヨー軸で、質量中心の周りに回転しようとして、危険な状態を招く。適正な位置に圧力中心が存在することが、安定したロケットの条件となる。
 ロケットの制御装置は、飛行中のロケットの安定を保ったうえで、それを操縦する。小型ロケットは、通常安定装置だけを必要とする。衛星を軌道に運ぶような大型のロケットは、飛行中の安定だけではなく、その飛行コースを変えることができるような仕組みを必要とする。ロケットの制御も、能動式・受動式のどちらかである。受動制御はロケットの外部に固定した装置を取り付ける。能動制御は、ロケットが飛行中、航空機の操舵翼のように、動かすことが出来る。
 もっとも単純な受動制御装置は棒である。中国の火箭は、後方に棒を取り付けただけの単純なロケットであった。棒は質量中心の後方に圧力中心を保った。しかしその方法の火箭は悪名高く不正確であった。圧力中心はロケットに気流が発生していなければ効果がない。地面にあって静止している間、矢はよろめくかもしれないし、間違った方向に発射されてしまったりする。
 何年も後になって、火箭の正確度は、矢を目標に向けた長い箱に装填することでかなり向上した。十分な速度を得て自分で安定するまで、矢を正しい方向に向けられた。
 次の節で説明するように、重量はロケットの能力と到達範囲についての重要な要因である。火箭に取り付けられた棒は、自重を増やし、飛行距離を短くしてしまった。
 ロケット工学の重要な改良は、機体後端部のノズル周辺に、軽量の翼(尾翼)数枚取り付けて、これを棒の代わりにすることであった。尾翼は、軽量の材料で流線型に作ることが可能であった。それはロケットをダーツのような形にした。尾翼の大きな表面積は、圧力中心を質量中心の後方にした。またある実験者は、尾翼後端を曲げて、回転花火のように飛行中のロケットに速いスピン回転を与えた。このスピンフィンでロケットは飛行中かなり安定したものとなる。しかしこの設計は抗力を増大して、ロケットの到達範囲を短縮する。
 20世紀に近代ロケット工学が始まって、ロケットの安定を改善して、同時にロケットの全体的な重量を軽量化することが探求された。この答えは、能動式制御システムの開発である。能動式制御システムは、ベーン・可動フィン・前方尾翼・ジンバルノズル・バーニアロケット・燃料噴射・姿勢制御などを含む。フィンや前方尾翼を操作することは、概観上互いに似ている。その差は、取り付けられている位置である。前尾翼はロケットの前方に、尾翼は後方に取り付けられる。それぞれ飛行中に傾けることで方向舵のように、そこにあたる気流の流れをそらせて、ロケットのコースを変える。ロケットに搭載された運動センサーが、計画軌道と現在の軌道の差を見つけて、それを調整するように尾翼や前尾翼をわずかに傾ける。この2つの装置の有利性は、重量と寸法である。小さいこと・軽いこと・小さな翼は大きなものより抗力が小さい。

他の方法は、尾翼や前尾翼を必要としない。ロケットからの噴射ガスを傾けることで、飛行中にコース変更することができる。排気方向を変える方法は複数ある。ベーン(排気翼)はロケットエンジンの出口にある小さな尾翼のような装置である。ベーンを傾けて排気をそらせ、作用反作用によって、ロケットは反対方向に頭を向ける。
 排出方向を変えるもうひとつの手段は、ジンバルノズルである。ジンバルノズルは排気しながらその方向を左右に動かすことができる装置である。適当な方向にノズルを傾けることによって、ロケットのコース変更に応じる。
 バーニアロケットもまた方向の変更に使用することが出来る。大きいエンジンとは別に取り付けられた、小さな副ロケットである。必要なとき点火される。そして要求されたコース変更に応じる。
 宇宙空間では、スピン安定か能動制御方式によってのみ姿勢安定が可能である。真空中では、尾翼や前尾翼は働かない。(SF映画で主翼や尾翼を備えた宇宙船は、科学的ではなく虚構である。)宇宙空間での最もよく使われる能動制御は、姿勢制御用ロケットである。小さなロケットエンジンを束ね式にして、宇宙船に取り付けられている。これらの小さなロケットは適当な組み合わせで噴射されて、宇宙船をどんな方向にも向けることが出来る。姿勢制御用エンジンによって宇宙船が正しい方向にむけられた後、メインエンジンに点火され、新しい方向に宇宙船は飛行する。

質量

 ロケットの性能に影響を与える重要なもうひとつの係数がある。ロケットの質量は成功するロケットと、発射台の上でのたうちまわるロケットの差となる。ロケットの基本的な飛行原理として、地上から離れるためにはその全重量より、大きな推力をそのエンジンが発揮しなければならない。不必要な質量をいっぱいつけたロケットが、余分なものを取り去って本質だけにしたロケットほど効率的でないこと、それは明らかである。
 理想的なロケットでは、全体質量は以下に述べる一般的な定則によって配分される。
 全重量の91%が推進剤であること。
 3%がタンクやエンジン、尾翼そのほかロケット構造体であること。
 そうすると残り6%を積荷(ペイロード)に充てることが出来る。
 ペイロードは人工衛星、宇宙飛行士、または他の惑星や月に旅行する宇宙船ということもある。ロケット設計で、ロケット技師は質量比(MF)という専門用語を用いる。ロケットの推進剤質量をロケットの総質量で割って求められる:


MF=推進薬質量/総質量


前述の理想ロケットの質量比は0.91である。質量比から、式1は1.0が理想的と考えるかもしれない。その推進薬の塊そのものの完璧なロケットは、一気に火がついて単なる火の球になってしまう。
質量比が大きいことは運べる荷物が小さいことを表す;質量比が小さくなると到達範囲が小さくなる。0.91の質量比は、積荷の運搬能力と到達範囲が程よくつり合っている。スペースシャトルの質量比はおよそ0.82である。スペースシャトルミッションでは、それぞれのミッションや異なる積荷によって質量比は変化する。
 大きなロケットは、大きな重量を有する宇宙船を運ぶことが出来る。宇宙空間に達するためには適当な速度が必要であり、多くの推進剤が必要である。従ってタンクやエンジンなどの設備がより大きくなる。ひとつのポイントまで、より大きいロケットは小さいロケットより遠くに飛ぶ。しかしそれがあまりに大きくなると、その構造が重量を増して、結局質量比は不可能な数となる。
 巨大な重量をもつロケットの回答は、16世紀の花火製造者Johann Schmidlapであると考えられる。Schmidlapは小さなロケットを、それより大きなロケットの先端に取り付けた。大きいロケットが使い尽くされたとき、ロケットの外殻は外れて、残っているロケットに点火する。非常に高い高度への到達がこの方法によって実現された。(スペースシャトルが燃焼終了後の固体補助ロケットを切り離すのは、多段式ロケット原理に基づいている。)Schmidlapが使ったロケットは、ステップロケットと呼ばれていた。
 今日このロケットの制作方法はステージング(多段式)と呼ばれている。この多段式のおかげで、大気圏外はおろか月や他の惑星への飛行も可能となった。

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