液体燃料推進ボトルロケット
目的:
論題:
説明:
- 飛行する液体推進ロケットを、ペットボトルで製作する。
寄稿:
編集者:
- Roger Storm(NASAグレン研究センター)
材料と用具:
- ペットボトル
ミストスプレー瓶(霧吹き)
モデルロケット用点火具
モデルロケット用電気点火装置
モデルロケット用発射台
ミルクセーキ用ストロー
液体可燃剤(ナフサ・ガソリン・アルコールなど)
マスキングテープ
ハンマー
太釘(3mm径程度)
木片
手順:
- 1、ペットボトルから、底部分(現在のものは一体成型なので、この手順は必要ない)を取り外す。塩化ビニール製の平底パーツは、接着剤で取り付けられていて、時間を掛けて強く引くと外れる。外れにくい場合は、ハサミで切れ目を入れてみると、取り除きやすい。その際に、ボトルを傷つけないように注意すること。ペットボトルの代わりに、ネジ式キャップのアルミビールボトルを使うこともできる。
2、太径のまっすぐなストローを、ボトル側面延長方向にテープで固定して、発射方向誘導突起(ランチラグ)にする。
3、ボトルキャップを取って、内側から釘で穴をあける。木片を地面に置いて、その上にキャップを裏返しにおいて、ハンマーで釘を打ち付ける。穴の径は3mm程度とする。
4、広い場所を選んで、発射台をセットする。
5、適当な量の燃料を貯蔵缶から霧吹きに移す。周囲に火気がないことを確認して、空気中に数回スプレーする。
6、〔この後は、教師が実施すること〕
ボトルキャップを取って、ボトル内部へ1〜2回(それ以上は禁止)、燃料をスプレーする。キャップを戻す。発射台のランチロッドへ、ボトルのランチラグを通す。
7、電気式点火具(イグナイター)をキャップから差し込んで、先端が燃料ミストを吹き込んだ燃焼室に届くようにする。イグナイターが壊れたり、導線が途中で接触して回路が短絡しないように注意する。(キャップがプラスチックの場合は、問題はないが、金属の場合は絶縁に注意すること)
8、セットが終わったら、周辺から人を遠ざけて、手短に秒読みをして、点火装置のボタンを押す。(モデルロケットの安全確認・発射手順を参考にすること)
もし続けて打ち上げしたいなら、2セット目の機体を準備しておくこと。使用済みの機体は、残存する燃焼ガスや余熱を放出するまで、しばらくの時間が必要である。
討議:
学習要点と質問:
- 点火後、ボトルロケットは排気ノズルからヒユーッと音を立てながら、5〜6m上昇する。ライター燃料や揮発油(ナフサ)は、噴霧されて気化したので、瓶内の液体燃料は一気に燃焼した。一定量のナフサは、小さな液粒状態のとき、大きな液粒に比べて全体として大きな表面積を持つ。よって燃焼表面積が大きくなり非常に速い燃焼をする。液体式の宇宙ロケットは、この原理を非常に発達させたものである。液体燃料はロケット本体に内蔵されたタンクから、エンジンの燃焼室にポンプで送られる。燃焼室には噴霧装置がつけられていて、燃料と酸化剤を混合してスプレーされる。スプレーされた混合物は燃焼室で速い反応が進み、高温高圧のガスを発生する。膨張した燃焼ガスは、エンジンノズルを通って外へ噴射して、強力な推力を作り出す。
液体燃料推進ボトルロケットの場合は、空気抵抗がロケットをタンブル(縦回転)させて上昇運動を邪魔するまえに、発射台から飛び上り6m程度の高さに達する推進力を発生して停止する。打ち上げの後、かなり過熱しているので、プラスチックボトルはフニャフニャになっているかも知れないが、内部の燃料は完全に燃焼終了している。冷たい外気が内部の燃焼ガスと入れ替わる速度は遅い。外部の気圧によって、多少ボトルに取れないへこみが残ることもある。次回の打ち上げで内部の圧力が働くので、数回程度ならおなじボトルを再使用してかまわない。
警告:
- 燃焼を伴う他の実験と同様、点火前に十分周囲の安全と、必要な距離を確保すること。最低限度、5m程度は必要である。一回の打ち上げで、ボトル内に2回以上の燃料噴射をしないこと。圧力の調整は、キャップにあけたノズル直径によって調整すること。もしロケットに過剰な圧力が発生した場合、大音量とともにキャップは破壊して、下にたたきつけられる。ボトルは驚くほど強い。そのロケットは破棄して新しいものを作ること。生徒が勝手に液体燃料を使用させないことを勧告すること。必ず「教師のみが行うことの出来るロケット燃料」ということに言及すること。