F6Aエンジン&ミッションオーバーホール記



マイカプも10万Kmを過ぎて、あちこち老化が進んで来ました。ブーストアップもしているからか、以前より高回転でパンチが無くなってきました。またカプの持病でもある「シンクロ弱い病」を発症してしまい。これはシフトアップは問題なく5速まで入るのですが、シフトダウンしていくと3rdから2ndにシフト出来なくなりました。シンクロが逝ってしまったようです。そこでリフレッシュしたくエンジンとミッションをオーバーホールする事にしました。 Netではご自分でオーバーホールしている方も多々いらっしゃいますが、私はスキルも場所、時間も無いため、引き受けてくれるショップを探すことにしました。将来はタービン交換も視野に入れて、そこそこチューニングも出来て実績の有る信頼できるショップ、また場所的に近い方が連絡など取りやすいので関東に限ります。


どこでやってもらおうかな!!


ショップ探しにNetを徘徊していると、ありました。 ガレージ ウチイデ さん。場所は自宅からおよそ1時間ほど、もちろん県内です。HPを覗いてみると、スズキ車、特にF5A,F6Aに強くて、施工した例を見ても「一度、話しを聞いてみよか!」と思いました。何せ軽自動車のツインターボなんてのも作ってますし。F6A未対応のe-マネージで燃調を取ったりとセッティングにも強いので信頼も有り、行って来ました。そこでウチイデさんと話すうちに「やっぱりここにお願いしよう」となりオーバーホールが始まりました。


7月代1週、エンジン、ミッション降ろし。



エンジンとミッションが降りたマイカプです。エンジンルーム内を見てもこれと言った。錆も出ていなく、ちょと安心しました。ここで錆が進行していたらエンジンが無いうちにリペアしておこうと思ったので、バンパー、メンバーを外さなくてもエンジン 降りるんですね。


エンジン全景



エンジンからタービンやらスターターやらの補助機が外され、エンジンスタンドに乗せてあります。カプの持病の一つにカムホルダーからのオイル漏れが有りますが、マイカプは普段「そんなに漏ってないじゃん」と思ってましたが、やはり漏ってました。ちょうどエンジンの後ろ側、デスビの下あたりがひどくて、これはエンジン降ろさないと目視出来ませんね。やはり汚く汚れてます。


給排気ポート



給排気口のアップです。10万km走ったのでそこそこのカーボンとスラッジが付着してます。ウチイデさん曰く、ターボ車は流速が早い(加給して押し込み、排圧も高い)のでNAよりはカーボン等の蓄積は少ないとのこと。しかしF6Aの宿命、ブローバイが多いのでIn側は結構汚れてます。ここで受け売りのうんちくを申しますと、F6Aはカムがカバーでは無くホルダーとなってます。いわゆるカム2本を全体的に覆うカバーではなくIN、OUTカムが独立したカバーでおまけにタイベルなのでカム室の容積が少ないのでカム室からのブローバイがカム室だけでは吸収されずカムタワー部から結構な量が循環されます。故にインクラ内部などにスラッジがたまりやすいそうです。K6Aなどのカム2本とカムチェーン室までの容積が多いエンジンはブローバイはそれほどでも無いとの事、また日産のRBなどは6気筒はそれ自体容積が有るので吸収されるとの事、3気筒な上にタイベルなので構造上F6Aはブローバイが多いのは致し方ないとの事でした。キャッチタンク付けましょう。


カムホルダー外し



カムホルダーを外した所です。カムも一緒に外れてきます。カムは山の摩耗もそれほどでもなく、再利用OKでした。カム山が摩耗すると、タイミング及びリフト量も変わるので交換になります。


ピストントップ



ヘッドをはぐった所です、カーボンの蓄積もほどほどです。ここでうんちく2談、私はプラグコードを社外品に交換して、プラグカバーは付けませんでした。ウチイデさん曰く、F6Aのヘッドはプラグの取り付け部が深部に有るのでプラグキャップはDOHC専用の深いタイプでないとヘッドとプラグの間に長年のゴミやオイルと混ざったスラッジが溜まり悪さするとの事、出来ればプラグカバーは有った方が良く、プラグコードも良く選んでくださいとの事、今回のオーバーホールでプラグ&プラグコードも交換します。プラグも電極がかなり摩耗していました。ちなみにスプリットファイアのコードはSOHCエンジン兼用のキャップ形状だそうです。


ヘッド周り



ヘッド側です。白い方がEX側のバルブです。バルブヘッド、ブロック共に面研とバルブシートはシートカット&摺り合わせを行います。バルブにもカーボンの蓄積は許容範囲で曲がり等も無く、再利用可能でした。


腰下分解



エンジンをひっくり返して、オイルパンをはぐります。メタルの具合も傷も無く摩耗も許容範囲でした。親メタルですが、クランクを上下方向に位置決めしているメタルはピストンの上下運動の関係上、下側のメタルの方が摩耗します。またクランクの前後方向に位置決めしているメタルは運転席側の方が摩耗が早いとの事、これはMT車特有の減り方でクラッチを踏んでいるとクランクは運転席側から前方に力が掛かる為との事、これはなるべく停車中はクラッチは踏まず、ニュートラルに入れましょとの事、フットレスト代わりにクラッチペダルに足を置くのもメタルいじめに繋がります。メタルは親、子共々全て交換します。


ピストン抜き



メタルを外しピストン&コンロッドを抜きます。シリンダ壁にはホーニング跡も残っていて状態はまずまずでした。ピストン一個にスカート部に軽いかじり跡が有りましたが、許容範囲でした。それよりホーニング跡が残っていてほっとしました。現在ズズキからは純正のオーバーサイズピストンは出ないのでピストンかシリンダがNGの場合は社外品のピストンでボアアップするしかエンジンを延命する手段が無いのです。これはK6Aも同じです。ダイハツはオーバーサイズピストンが出るのにスズキは廃盤だなんて、ちょっとひどくないですか?


タービン周り



タービンの状態です、10万Km使用した割には綺麗でした。後々にはもう少し大きいのに交換する予定ですがもう少しがんばってもらいましょう。プレートの曲がりやガタも無いようですが、それにしても小さいですな、


以上、今回は分解までのレポートですが、いかがでしたか?ちなみにウチイデさんはここまで、私に説明しながら、途中休憩を入れても2時間でエンジン全バラまで持っていきました。おじゃま虫の私がいなければもっと早いでしょうね。後はひたすら洗浄と終われば内燃機屋さんに加工にだします。それでは、次回はミッションの状態をレポート予定です。


ミッション分解



ミッションも分解は終わっていました。予想通り、1速、2速のシンクロのキー溝の所が段付きにかじっていました。シンクロ交換です、良かったのはギア歯は無事でバックギアは摩耗していましたが(バックはノンシンクロなので良しとしました)他のギアは無事なのでシンクロ交換のみのメニューになりました。


7月第3週 ヘッド周り修正終了



ヘッドは面研とバルブシートカット、等も終了し組み立てまで終わっていました。後はカムを乗っけて組み付けです。ヘッドガスケットは保険のつもりでメタルガスケットで行きます。


ブロック修正終了



シリンダーブロックも内燃機屋さんから帰ってきて、面研と洗浄まで終わっていました。組み付け待ちでエンジンスタンドに乗ってます。大変なのはこれからでメタルのあたりを見ながら組み付け、クリアランス測定、分解、洗浄、組み付け、クリアランス測定、、、と規定値になるまで数種類のメタルを組み付けては測定します。


今回はミッション分解と一部エンジン周りの修正終了に伴い組み立てをレポートしました。これからの予定はエンジンは組めるので組み立てと車体に載せていきます。ミッションはシンクロと付随するベアリングも交換になるので部品待ちです。とりあえずエンジンは車体に載ります。あとウチイデさんとの話しでちょっと面白い事をするかもしれません。これはこうご期待(プチネタです。)

8月第1週 エンジン組み立て



やっとエンジンが組み上がりました。外見は大変綺麗になっています。キャラ用のクランクプーリーとちょっと細工したDefiの水温センサーも取り付けが終わっています。センサーは以前に自分で取り付けた時はセオリー通りラジエターホースのアッパー側にホースを切断して取り付けましたが、今回は取り付け位置を変更しました。 他にはサージタンク下側の冷却水ホースなども交換してます。ここは普段点検出来ないし、交換するにも大変なのでこの機会にホース類は全て新品にしました。あとエンジンブロックの水プラグなども交換しています。


水温センサー取り付け位置



水温センサーの場所ですが、純正サーモスタットの下側に穴を開け、ネジ山を切り、取り付けました。以前のラジエターホースではサーモスタットが開いてからでないと温度センサーに温水が回らないので水温計の針は一気に70度位までまで上がります。 今度はサーモスタットの開閉に関係なく計れます。最後の画像はここにも水温センサーを打とうか迷った所です。ここは純正の温度センサーが入る所でなんでも水温が異常に上がるとエアコンを止める為に有るセンサーだそうです。(純正の水温計センサーでは無い)ここにセンサーを入れると3番シリンダーの温度を直に見れるので面白いかもしれません。


次回はミッションも組み終わっているはずなのでいよいよ完成か?馴らしはどうしよう?

8月第2週 OH終了



OH終わりました。プラグコード等が変わってます。またプラグカバーも付けました。あと余計な配管(ブースト制御のソレノイドや配管等、純正ブローオフの配管など)も外してすっきりしています。


インプレッションですが、馴らし中で有るにも関わらず、低回転でトルクがしっかり有ります。(きっと新車のF6Aはこんな感じなんでしょうね)ピストンが一回爆発する毎にトルクがタイヤに伝わる感じです。早く馴らしを終わりにせねば!

08年3月第2週 ミッション再OH

OHが終わり半年過ぎた所、ミッションの入りが又悪くなりました。症状は前回と同様で3から2にシフトダウン出来なくなりました。ウチイデさんの所に再入院です。ミッションを分解してみると前回と同様にシンクロが逝っていました。半年でこの様になるはずもなく、シンクロ以外に問題が有るのではと言うことで今回はシンクロリングとシンクロキー以外にローとセカンドのギア周りも交換しています。ミッションの構造を少しでも知っている方は解ると思いますが、各ギアの中間にシンクロが入っているわけですがシンクロの機構上、位置決めをしているのは各ギアの為、ギアとシンクロリングとのかみ合いがギアとシンクロの当たり面が摩耗していくとうまくいきません。カプチーノのシンクロは弱いと巷では言われていますが、距離を乗っているか競技に使用している筐体はシンクロ周りだけではなくギアも交換したほうが良いと思われます。ちなみに2回目のOHは部品代だけで行って頂きました。ウチイデさんに感謝です。