ツボカビ事件顛末記
2007年3月18日公開
 カエルツボカビ症とは何ぞやといった話は抜きにして、ここれは単刀直入に、我が家で発生してしまったカエルツボカビ症の報告をする。
 ツボカビ陽性と判定されたのは、CBキンスゲクサガエルである。セオリー通り、オタマジャクシの間は感染部位が口角に限局するため、感染には気が付かない。そのため、どの時点で感染したのか分らない。そしていざ上陸、カエルになった途端に全個体7匹が死亡した。
 
 まずは、主役キンスゲクサガエルのバックグラウンド
 
入手

 キンスゲクサガエルを繁殖なさっている方から、2006年1027日にオタマジャクシを入手。

 

飼育環境

 当初温室外で22℃ないしそれ以下、成長が遅いので2007年1月から25〜27℃温室。水交換を容易にするため、小型プラケにメッシュ入りの内容器を入れて飼育。

 

 デンドロビットとテトラミン。

 

水換え

 毎朝1回、ほぼ全交換。

 

特記事項

 入手時から入っていたポトスの葉っぱ、途中からDIYの熱帯魚コーナーで売っていたウイローモスを入れる。

← 親元と比べて成長が遅いものの、この頃までは何の問題も無くオタマジャクシは成長していた。(1月26日)
 ところが、待ちに待った上陸が上手く行かない。最初の失敗(死亡)では溺れさせてしまったのかと思った。しかし、見ているとキンスゲクサガエルは他のカエルたちでもあるように、尻尾のあるうちからスルスルと壁をよじ登り、上陸時に溺れるとは考えがたい。
 
 そして次々と上陸失敗をするうちに、噂になっている「ツボカビ症」を気にするようになった。親元では兄弟たちが随分前に上陸を果たし、カエル生活を楽しんでいるというのに。
 
 以下は、写真に納めた死亡例である。
← この画像はHPトップでも上陸を喜んで紹介したものである。写真を写した後に陸上生活用のケースに移し、壁をよじ登ったり腐葉土の中を跳ねたりしているのを確認したが、およそ3時間後、浅い水入れの中で仰向けになって死んでいるのを発見。
 (2月5日死亡、ホルマリン固定で病理組織の検体)
↓ これらの画像は2月11日の左から午前1時、9時、13時である。本当にあっという間に死んでしまった。尻尾は順調に吸収されているのだが、完全に吸収し切るまで生きていた個体はいない。肺呼吸になり、上陸して1〜3日の命である。 (2月11日死亡、凍結してPCR検査用検体)
← この個体は写真を撮ろうとして死亡に気が付いた。死後変化かもしれないが、全身がむくんだようになっていたので、以前経験したキオビヤドクガエルの病と同じ症状かもしれないと思ったものの、ツボカビを疑いteam240へ連絡した。
(2月2日死亡、凍結してPCR検査用検体)
 2月15日 検体発送。疑いを持って相談し、それから実際に検査に出すまでは少々時間がかかった。PCR検査だけならば早々に受けることができたと思うが、やはり病理組織用の程度良い標本を作ってから送付しようと思っていたのだ。治療は考えていなかったので、ツボカビおよび何らかの感染症扱いで飼育し、死亡個体を収集することにした。勤めに出ていると、新鮮な標本はなかなか作れない。2月18日には西尾先生が直接麻布大に持ち込みをして下さった。
 
 2月25日 PCR検査の結果、「陽性」との連絡を受ける。ツボカビ陽性を前提としてはいたものの、本当に陽性であったこと、そしてその原因を考えるとさらに気持ちが落ち込んでしまった。なぜならば、
 
理由その1:感染経路が不明なため、全く予想外な結果であった。
 
理由その2:新規導入生物はこのキンスゲ以外には無く、ツボカビ感染の経路はウィローモス以外には無い。この水草をアマゾンツノガエルのケースに入れたかどうか記憶が無い。
 
理由その3:ツボカビ宣言以来は飼育水の消毒に気をつけていたが、去年の暮れは飼育水を普通に流していた。
 
理由その4:水草が感染源とすれば、そのDIYペットショップの水はとても危ないことになっているのではないか。魚用に使われているから気が付かないだけではないか。
 
理由その5:親元のキンスゲクサガエルはすごく元気である。我が家のブレイクアウトでイヤな思いをされるのではないか。
 目下、麻布大学で病理学的検査をしている最中である。変態が完成していない小さなカエル1例であるからにして、色々判断が難しいところがあると思う。
 ツボカビ感染と死因がどう結びつくのかは容易な課題ではなさそうだが、麻布大学の宇根先生に心から応援を送りたい。
 
 そして今回の例からして、ツボカビ感染の経路は新規個体導入の有無にかかわらず起こりうる。輸入された水生動植物には充分な注意を払い、飼育水の排水は基本的に消毒する姿勢を忘れないでいきたい。ツボカビが決して野外のカエルたちを汚染しないよう、特にこれから暖かくなる季節は心して飼育に向かいたいものである。