トビムシ Collembola   
 最も古くから地球に出現した「翅を持たない」昆虫。かなり特殊な器官を持っているようだが、残念ながら顕微鏡レベルでなければ観察できない。唯一実感できるのはお腹の下にある跳躍器官により、飛ぶことはできないがピンピンと跳ぶことができる点である。世界で6000種以上、日本には360種が分類されているという。
 
 トビムシとヤスデの赤ちゃんがそっくりなのは、ヤスデの赤ちゃんがより原始的なトビムシの形態を再現して繰り返しているとも考えられ、素人は「そうそう、人間の胎児だって魚やトカゲだもの」と思うが、そうそうたやすい解釈ではなさそうだ。古生物学とかは専門用語が難解で哲学的であり、私たちが慣れ親しんでいるのは、ネオテニーくらいのものか。
 
 当初トビムシを飼育し始めたのは、キオビヤドクガエルやアズマヒキガエルの幼体の餌としてだった。ピートモスに酵母を振りかけて小さな容器で細々と飼育していた。 テトラフィンを入れるとよく繁殖すると聞いても、飼育数が少ないためにすぐカビが生えるので酵母ばかり与えていた。また、小規模飼育で世話を怠るので何度でも乾燥させて絶やし、そのたびにたまみずさんから購入することを繰り返したものだった。
 
 ところが、ヤスデなどの土壌動物を飼育し始めてから、彼らの飼育は全く違うものになってきた。上の写真はタマヤスデとキセルガイの同居場所であるが、無数のトビムシが同居している。別に一生懸命飼育しなくとも繁殖してくれるのだ。好きな時に好きなだけ使えるようになってきた。
 
 彼らを飼育していても、生態についてはほとんど分らない。雰囲気的にある種のダニ、といってもヤスデ環境に出てくるのはコナダニではなくササラダニの仲間なのだが、彼らとはある程度勢力争いで拮抗しているような気がする。ダニたちを邪険にするつもりはないが、何となくトビムシの方が気持ちよいので、、ヤスデを初めとする土壌動物の土には積極的に導入している。また、彼らがいることにより、生き物に優しい環境が出来上がるような気もしている。
 
 現在我が家にいるトビムシは、大きく分けて3種類である。小型で青紫色のもの、中型で白く細長いもの、大型で白〜淡褐色で活発に動くものである。ツチトビムシの仲間のようだが分類、同定はとてもできない。他にも1mmに満たないほどの小さな種類を時々見かけることがあるが、「いる」というだけで、餌ともペットとも認識されていないので紹介はしない。
 
 このようにヤスデ飼育の恩恵で、キオビたちは好きなだけトビムシを食べることができるようになった。主食には出来ないが、でっぷりとしたキオビたちが夢中で食べる姿は余程好きなように思え、勤めて与えるようにしている。但し、それが美味しいからなのか、大きさに食指が動くのかは不明である。
 
ご飯のご飯: 野菜、果物、テトラフィン、腐葉土、朽木など、それこそ何でも分解してくれる。
 
ペットとしての価値: ペットとするにはあまりにも地味である。また、単体で飼育するにもあまりに小さく手がかかる。ということで、各種土壌動物のエキストラ的な存在と考えている。彼らの殖え方、活動の様子から土壌のコンディションを掴むことができるので、その役割は大きい。
 

 
2004  5/29 公開
2006  2/19  全面改訂
2008  3/23  写真追加
写真上左:青紫色の小型種で、群がっているのはキュウリ。カビが生えてもお構いなし。腐りかけが好みのようだ。八重山産ヤスデのケージにのみ棲息。
 
上中央:白色中型種、いわゆるシロトビムシ(Sphero Aquaオリジナルとは違うかもしれない)。体が透けているので、食べ物によって色が多少変わって見える。写真トップの一部を拡大したもの。
 
上右:大型種。肉眼で見ると白っぽく見える。人参を食べているところだったので、カロチン系の色が強く出ているようだ。白色中型種より温度がやや高い方がよく繁殖する感じだが明らかではない。活発な動きはヤドクらの格好の餌食である。
 
 下左:大型種の恐らく卵(矢印)。ヤエヤママルヤスデのケースにおいて、彼らが好んで密集している朽木の裏である。
 
下右:大型種と私の爪先との大きさ比較。案外大きいことが分る。
 この大型種は大きさとその全体的なスタイルに加え、退化して首のようになった第1節、幅広い第4節、フサフサと生えた毛から、アヤトビムシ科のいずれかであると思う。2008年までに本種が最も安定して我が家に定着した。元々は朽木か何かに付いてきて自然繁殖したものだから、環境が合って繁殖してくれても不思議ではない。
 
 この種を含め色々なトビムシを、単独で飼育繁殖して餌にする試みは何度か挫折している。長毛のピートモスやらトビムシの餌とか購入するも、飽きてしまうせいで乾燥させたりカビだらけにして絶やしてしまう。
 
 やはり彼らは脇役として殖えていただくのが効率的で継続できる方法だと、少なくとも我が家ではそう思う。そして主役は土壌生物のヤスデたちが一番ではなかろうか。