ヤエヤママルヤスデ 1
 石垣島に棲息しているらしい。深みのある赤と黒のストライプに機械のように動く細かな足、実に美しい生き物である。手の上を這わせて持ち上げれば、しがみついた無数の肢が剥がれるミチミチミチといった独特の感触を味わうことが出来る。
 顔(頭部)は派手な体色からすればやたら可愛らしい。小学館の図鑑NEO「昆虫」にはちゃんと載っている。やはり日本で一番大きなヤスデだそうな。
 
 綺麗だからとあまりいじりまわしていると分泌物を出してくる。爪の間など皮膚が軟らかい場所に付くとヒリヒリする。そして皮膚が茶色に変色してしまう。この変色は翌日には分らなくなっているが、いじめちゃあダメなのだ。
 
 腐葉土と人参を一番よく食べていたが、さらなる大好物を見つけた。それは地衣類である。古木や朽ちた木の表面が青緑になっているが、それが大好きなようである。
 これで、彼らが木に登る理由が分かった。夜になると地面から出てきて食べている(写真下左)。写真下中央の木片は3日で木の地肌が全部出た。
可愛いお顔。平和だなーって雰囲気。
当然ウンチは食べ物の色で変わる。
脱皮の頁
2004年 3月28日公開、5月9日更新、6月12日脱皮の頁追加
2005年更新日 1月4日、5月22日、8月10日、8月21日
2006年更新日 2月11日、5月28日、8月 6日
2007年更新日 1月1日、4月15日、8月14日、11月25日
↑左から右、一晩でこの程度食べてしまう。
 雌雄の見分け方は、他のヤスデより簡単である。裏側から見るまでも無く、オスは生殖器のある節は幅広くなっているのだ。(今でこそこう言っているが、導入当初は雌雄の判別ができなかった)
 
 当初導入した2頭はどちらもメスであることにしばらくして気が付き、お婿さん探しに1年以上かかった。
 
 ほとんど諦めかけていたが、非常に幸運なことにE様のご親切、K様のご好意によって、2005年4月にお婿さん候補を入手することができた。初めて見たオスはまだまだ小さいながら一目で♂であることが分る。
↑ お局様
↑ 若造
←ムクゲの古木についた地衣類を食べている
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2005年8月10日     あれから3ヶ月経った。特に変化は無いようだが体重を計ってみた。
 
 すると新入り3人は0.1gの増加、お局2人は激ヤセ!一体どうしたのだろう、やっぱりお局様はもう高齢だったのだろうか。と、寂しく思っていたところ、「産卵による体重減少の可能性」があることとCさんに示唆していただいた。
 
 そうかも!と早速土を掘り返してみると、なにやら見慣れない土団子がいくつもある。これがうわさの卵糞かとドキドキした。
 この見慣れぬ土団子の経過は別頁(誕生の頁)に記録した。結論から言えば、これがヤエヤママルヤスデの誕生だったのだ。
誕生の頁
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2006年2月11日 
  お嬢様の1人が★になり、それでも残るものたちは子供たちと一緒に恙無く生活をしているようである。
ただ、若造の体重がかなり落ちているのが気になる。脱皮直後でもなさそうだが、乾燥した場所にいたから脱水気味になってしまったのかもしれない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2006年5月28日 
 春の訪れと共に皆食欲も出て、木に登ったりキュウリや人参をかじったりと活発になってきた。全員体重が増加、お局様は11cmほどになり、1年前からすれば1〜2cm大きくなった。去年の8月に生まれた子供らも鮮やかに色付いてきており、4cmほどになっていた。
更新記録
関連頁
〇印の黒いバンドの幅が広い方がオス
誕生の頁へ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2006年8月5日
 なんとも情けないことながら、去年の産卵時期にきて子供がもうすでに孵化してウロウロしていることに気が付いた。子供の大きさには数日の開きがあるようで、産卵したのは1匹ではないだろう。お局様の2頭と、はたしてお嬢様は?
 
 2005年の5月末からこれまでの体重をグラフにしてみた(下記2007年1月を参照)。我が家の環境では7月の終りから8月にかけてが産卵時期となっている。産卵により体重は落ちるようだが、産卵後の脱皮のせいもあるかもしれない。終生脱皮を繰り返すようだが、脱皮によっても体重は落ちる。
 
 去年の子供らは、すっかりヤエヤママルヤスデらしくなっている。生まれた直後から体節の数を数えているといいのだが、写真判定すればいいや、と思っているうちにうやむやになってしまった。
 
 産卵は何度もあるとは思わなかった。嬉しい誤算である。しかしながら、今1g未満の子供らが繁殖してくれるのは何時の日やら・・・。いやいや、気長に待ちましょうとも。
← 母と子。生後10ヶ月でそこらで見かけるヤスデの大きさになっているが、母の大きさに到達するには一体何年要するのだろうか。
←お局様
↑ お嬢
←去年の子供
今年のベビー
     ↓
ヤエヤママルヤスデの体重変化とイベント
ヤエヤママルヤスデの体長と体重の相関
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2007年1月1日 
  2007年元旦から体重測定。2年と4ヶ月となる子供らはだいぶ大きくなってきた。体重は0.7〜0.9とばらつきはあるものの、美しいヤスデの姿である。雌雄はまだはっきりとしていない。体重と体長との相関関係を図にしてみた。1 gから2 gまでの間がまだかけ離れており、どうみてもあと2年は要すると思われる。
 さて、今年の8月もまた産卵してくれるのだろうか、これも今年の大きな楽しみである。
成長記録最終更新日 2007年11月25日
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2007年8月14日 
 
  お局様は我が家に来て3年半となった。そして今年も誰かが産んでくれた。体重変化から見ると、お局様1はきっと産卵しているだろう。お局様2は最近脱皮したばかりだった。お嬢様2も産卵した可能性はある。それにしても毎年8月に産卵するのは何が関係しているのだろう。
 
 そして今年の新たな展開として、2年前に生まれた第一子にオスと判別できる個体が現れた。性成熟時期は雌雄違うかもしれないので、メスについては何とも言えないのだが、これで累代していける見通しができたと思う。第二子についても急激に成長を遂げている。
 
 そろそろ過密になってきているし、来年の夏にはいよいよ暖簾分けしてみようか。
2歳にしてオスの性徴が現れた個体
             (1.3g、6cm)
↓ 幅広くなったオスの印
 
← 第三子
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2007年11月25日 
年齢の推定  上記の月数と体重のグラフから、おおよその近似曲線を求めて計算した。
 
お局様1の場合
y = 0.0457x + 4.4313 体重(y)がゼロとなるときの月数(x)は−96.96(約8年前)で、現時点からは10〜11年前に誕生したことになる。10年も生きているのかしら?全く大違いでも無さそうな気がしてきた。
 
お嬢様の場合
y = 0.0416x + 2.4372 体重(y)がゼロとなるときの月数(x)は−58.59(約5年前)で、現時点からは7.5年前に誕生したことになる。
 
第一子の場合は、3 gになるまでの年数
y = 0.045x - 0.1223 体重(y)が3になる時の月数(x)は69.38(約5.8年)で、今からおよそ3年先、10cmクラスになるには体重は4.5gで、生まれてから8年半、今からは6年先である?
 
もっとも、♂と♀では成長は全く違うようで、若造は2年半の間、体重に全く変化が無い。そろそろ第一子では雌雄別に体重測定をする必要がある。
 
 
 
 
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