Support discontinued サポート打ち切り (連載第464回)

 家内が仲間との連絡に使っていた某通信アプリの画面に突然、旧バージョンのサポート終了に伴いソフトウェアをアップデート(update, 更新)しない限り利用できなくなる旨の通知が表示されて面食らった。

 家内の古い通信端末では新バージョンに更新できないと知った私は、急いで新しいのを買うように促したものの、うちでは情報通信機器の選定と調達は私の役割だ。翌月のサポート終了まで日数も無いし、感染リスクを冒して街中で探し回るのも剣呑なのでネットで見繕って急遽注文したが、届いた製品が不良品(defective item)で全く通信不能と分かり愕然とした。製品保証(product warranty)が付いているし通信大手系列の販売会社から買ったものだから大丈夫と安易に信じて連絡したら、あれやこれや試してみろという操作の指示をメールや電話で何度も繰り返された挙句の果てに自分の手で製造元の直営店に持ち込む羽目に陥り、良品と無償交換してもらうまで3週間以上もかかった。今回は旧機種からの乗り換えではなく新規購入だったので、その間、家内の外界との通信が途絶しなかったのは不幸中の幸いだった。

 うちと同様に旧式の携帯電話やタブレットを使ってきたユーザー、特にこの種の機器に不慣れな高齢者はこの度の突然のサポート終了には難儀したことだろう。ツイッターで検索してみたら、親の携帯電話の機種変更のため帰省せざるを得ないといった苦言をいくつも見かけた。

 新しい技術への移行により旧型製品の製造やサービスが終了するのはやむを得ないとしても、多数のユーザーが日常利用している通信サービスを突然の通知(short notice)の直後に打ち切る(discontinue)ような所業は、社会の公器たる企業の姿勢としていかがなものかと思う。最近の通信事情に疎い私のような消費者もいるのだから、せめてもう少し早く周知するなり、最低限の基本的な通信機能くらいは旧機種でも引き続き使えるように互換性(compatibility)を持たせるなり、もっとユーザーに優しい(user-friendly)対応があっても良さそうなものだ。

 今回、サポート終了通知に追い立てられるように買った製品が不良品でその交換品を手にするまでに延々とたらい回しにされるという苦い経験をした私としては、テレビCMで見かけるしゃべる犬の言い草ではないが、この類の製品はややこしいからもう買いたくない。

(『財界』2020年11月4日号掲載)

【注】本稿で取り上げた英語表現については筆者ブログに解説記事を載せてあるのでクリックしてご参照ください。→ discontinue 【終了(中止)する、打ち切る】


※掲載日:2020年11月21日
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